介護食とは?言葉の意味と、知っておくべき4種類を詳細に解説
作成日:2018年11月5日
親が1人でちゃんと食事できているのか心配されている方も多いのではないでしょうか。高齢者は食べ物を噛む力や飲み込む力が徐々に衰えることで、食事がとりづらくなることがあります。そこで、おすすめしたいのが介護食です。
本記事では、介護食とは何かから、その種類、作り方、市販製品、宅配弁当まで、その選び方も含め詳細に説明いたします。
食事を取るのが困難になってきたご両親に、栄養バランスの整った、食べやすい食事を提供し、健康な毎日が送れるようにサポートしてあげましょう。
介護食とは
介護食とは、高齢者が食べやすいような工夫がなされた食事のことです。
人間は、加齢によって体の様々な機能が衰えていきます。噛む力や飲み込む力が衰えてしまうと、これまで食べていた料理が食べにくくなってしまいます。誤嚥を防いだり、食欲を維持したりするためにも、食事に工夫が必要となってくるのです。
介護食の種類
噛む力や飲み込む力の差によって、食べやすいものは異なります。
日本介護食品協議会で制定されたユニバーサルデザインフード(UDF)では、噛む力・飲み込む力に合わせて段階を4つに分けています。
・区分1
硬いものや大きいものでなければ噛むことも飲み込むこともできる方向けの「容易にかめる」食べ物
・区分2
噛む力はあっても歯がない・飲み込めるものが限られているといった方向けの「歯茎でつぶせる」食べ物
・区分3
噛む力がなく、細かく柔らかいものは食べられる方向けの「舌でつぶせる」食べ物
・区分4
小さく柔らかい固形物でも食べにくく、水やお茶も飲み込みづらい方向けの「かまなくてよい」食べ物
これらの区分ごとにどのような介護職があるのか、以下でご紹介します。
きざみ食(区分1)
きざみ食とは、通常の食事を細かくきざんだものです。「区分1:容易にかめる」に当たるもので、噛む力が弱くなり、硬いものや大きいものを噛み切ることができなくなった方でも食べやすくなっています。
特徴
・噛む力が弱くても食べやすい
・噛む力によってきざむ大きさを調整できる
・大きさによっては食感を楽しむこともできる
きざみ食は、噛む力が弱くなってきた方や開口障害のある方に向いています。しかし、細かくきざみすぎると口の中でまとめにくくなってしまい、誤嚥を招く可能性があります。片栗粉等でとろみを付けたり、きざむ大きさを調整したりするなどの工夫も大切です。
商品例:やさしい献立 鶏だんごの野菜煮込み|キユーピー
こちらの商品は、柔らかい鶏だんごや野菜が、ある程度の大きさを残してあり見た目も楽しめるものです。具材も豊富で消化器官に優しいものが多く含まれています。とろみもついていて飲み込みやすく、丼のようにするなどアレンジも楽しめます。
※参考:やさしい献立 鶏だんごの野菜煮込み|キユーピー
ソフト食(区分2~3)
ソフト食は軟菜食ともいい、よく煮込んだり茹でたりすることで柔らかく加工したものです。「区分2:歯茎でつぶせる」「区分3:舌でつぶせる」に該当する介護食ですが、その柔らかさは幅広く、ほとんど噛む必要のないものもあります。
特徴
・舌や歯茎で潰せる硬さ
・まとまった食塊状態なので、スムーズに飲み込める
・柔らかさによって様々な選択肢がある
ソフト食は歯のない方や入れ歯の方に向いています。また、固形なのでミキサー食や流動食と比べて盛り付けなど見た目を工夫しやすく、食欲を維持することにも役立ちます。
商品例:鶏とかぼちゃの煮物風ムース|介護食品 エバースマイル
こちらの商品は、素材をムース状にして再形成したもので、さらに潰したり煮込んだりと手を加えることで柔らかさを調節できます。本物の煮物のように大きさや形の工夫がされているので、見た目もよく食事を楽しめます。そのまま電子レンジで加熱可能なカップに入っているので、準備や片付けの手間が省け、忙しい時にも利用しやすい商品です。
※参考:鶏とかぼちゃの煮物風ムース|介護食品 エバースマイル (やわらか食・ムース食・とろみ付き飲料)|大和製罐
ミキサー食(区分4)
ミキサー食は、食べ物をミキサーにかけてポタージュのような液状にしたもので、「区分4:かまなくてよい」に分類される介護食です。
特徴
・ポタージュ状で、噛まずに飲み込める
・消化器官への負担が軽減される
・消化、吸収が素早く行われる
噛む必要のないミキサー食は、嚥下障害のある方や噛むことができない方、寝たきりの方にもおすすめです。ただし、液状にする際に出汁などを加えて味を整えているので、必要な栄養を取るためには量が多くなったり、粘度によっては誤嚥しやすくなったり、といった注意点もあります。
商品例:豆腐の中華五目煮 | 旭松食品
こちらの商品は、豆腐をベースに人参、しいたけ、豚肉、白菜などを煮込み、ごま油の風味をつけたミキサー食です。野菜を中心に様々な食材が含まれており、栄養バランスがとても良いです。同じシリーズで他にも色々な味があり、食事を楽しむことができます。
※参考:豆腐の中華五目煮 | 旭松食品
流動食(区分4)
流動食は、ミキサー食に比べ、さらに消化器官への負担を軽減した、液状の食事です。葛湯や具なしのスープ、果汁などが流動食にあたります。消化器官には優しいですが、エネルギーや栄養素が不足しがちなので、注意が必要となります。
特徴
・液状でそのまま飲み込める
・消化器官に負担がかからない
・寝たきりの方でも摂取しやすい
流動食は、飲み込む力が低下した方や、病気やその治療などで消化器官が弱った方に向いています。しかし、低栄養の方が利用する場合は、エネルギーや栄養素を考慮した上での量や種類の調整が必須となってきます。
商品例:MA-8プラス|流動食シリーズ|株式会社クリニコ
こちらの商品は、ナトリウムやビタミンなども含んでいる高栄養流動食です。1日あたり1,200?1,500ml(1,200?1,500kcal)の摂取で、必要な栄養素をしっかりと摂ることができます。また、バニラ風味になっていて飲みやすくなっています。
※参考:MA-8プラス|流動食シリーズ|株式会社クリニコ
介護食の提供方法・注意点
介護食を提供する方法としては、主に「自分で作る」「市販の製品を買う」「宅配弁当を頼む」の3種類があります。
自分で作る
一人一人の状況に合った介護食を用意するならば、いくらでも工夫ができる自作がおすすめです。しかし、栄養バランスはもちろん、食べやすさや食欲の維持なども考慮した介護食を作るのは簡単ではありません。
自分で作る際に気をつけるべき点に、次のようなものがあります。
栄養のバランスを考える
高齢者は栄養不足に陥りがちです。そのため、必要な栄養を補えるような献立を、介護食に落とし込んで考えなければなりません。
特に不足しがちなタンパク質・カルシウム・食物繊維・ビタミンを豊富に含んだ食材を多く用いましょう。また、あまり塩分は多くならないようにすることにも大切です。
食べやすいよう工夫する
噛む力や飲み込む力が弱くても食べやすいよう、細かくきざんだり、ミキサーにかけるなどの手間を加える必要があります。また、誤嚥を招かないように片栗粉等でとろみをつけるなどの工夫も大切です。
食べやすさのみを求めて見た目が悪くなってしまうと、食欲の低下にも繋がってしまいます。おいしく食べられるよう、盛り付け方などにも気を遣いましょう。
市販の製品を買う
市販の介護食はレトルト製品が中心となります。市販の介護食は手軽で扱いやすく、種類も豊富である一方、どれを選べば良いのかが難しいという面もあります。市販の製品を購入する際に気をつける点に、次のようなものがあります。
噛む力・飲み込む力に適したものを選ぶ
先ほどご紹介したUDFの区分のように、介護食の柔らかさには基準があります。どの区分に当てはまるかを考えれば、最適な製品を選びやすくなります。
ある程度であれば噛んだり飲み込んだりできるのか、それとも噛まずにそのまま飲み込めるものが良いのかなど、注意して選びましょう。
体調に適したものを選ぶ
人間が必要とする栄養は基本的に大差はありませんが、体調によってその必要度には違いが生じます。水分や食物繊維が不足すると便秘になってしまったり、摂取カロリーが足りないと低栄養状態となり免疫力が低下したりと、体に大きな影響が出てしまいます。
調理や後片付けが楽なものを選ぶ
素早く便利に活用するために、調理や後片付けに手間がかからないものの方が嬉しいでしょう。電子レンジで調理できるものや、カップ容器に入っていてそのまま出せるものなど、便利でおいしい製品も数多くあります。
宅配弁当を頼む
最近では、高齢者向けの宅配弁当サービスが増えてきています。栄養バランスが考えられたおいしいお弁当を自宅に届けてくれるこのサービスは、見た目にも気を遣ったものが多く、便利で食べやすい商品が揃っています。さまざまなサービスがあるので、以下のポイントをおさえつつ、最適なサービスを選びましょう。
食事のタイプと価格を考える
普通食や介護食などが選べたり、介護食の中でも柔らかさが選べたり、と多くの種類から予算に見合ったものを選びましょう。宅配時の状態も冷凍・冷蔵・常温どれなのか、利用する上で最適なものを探すと良いでしょう。単に安いものを選ぶのではなく、食材には何が使われているのか、栄養バランスや添加物の有無などを確認することも大切です。
サービス内容を考える
主食や主菜・副菜すべてが詰まったお弁当タイプや、主菜・副菜のみのおかずタイプなど、複数のタイプから選べる場合があります。また、管理栄養士によって考えられた献立など、各社によって様々なサービスがあります。また、飽きずに食べ続けられる程度のメニュー数があるかどうか、という点も重要です。
注文単位、宅配可能エリアを考える
1食ずつ購入できるものや、何食分かをまとめて購入するもの、継続的に毎日宅配されるものなど、注文単位も会社によって大きく異なります。お試しセット等、定期購入を始める前に試食ができる商品が用意されている場合もあります。
また、どんなサービスにも宅配可能エリアには制限があります。納得できるサービスがあっても、自宅や届け先がそのサービスの宅配対象外であれば利用できません。事前に宅配可能かどうかを調べておく必要があります。
まとめ
生きていくために欠かすことのできない食事。毎日の食事を楽しむためにも、どのくらいのものならば食べられるのかをしっかり把握して、最適な介護食を選ぶことが重要です。
また、介護食をどのように用意するのかも大きなポイントとなってきます。自宅で作るのか、市販品を購入するのか、宅配弁当サービスを利用するのかなど、これまでご紹介してきた中でもそれぞれの注意点もありました。
宅配弁当サービスであれば、自作したり栄養バランスを考えたりといった手間なく、様々な種類のメニューを楽しむことができます。
まごころ弁当の宅配サービスでは、安心・安全にこだわり抜いたお弁当を、日替わりメニューで提供しています。お身体やお好みに合わせて、柔らかいムース状のものや塩分控えめのものなどをお選びいただけます。
無料試食キャンペーンも行なっているので、ご興味のある方はこちらをご覧ください。