ソフト食を自宅で作る方法|調理のポイントや注意点を詳しく解説
作成日:2018年12月3日
親の食事介護をしていて、「最近飲み込む力が落ちてきた」「おいしそうに食べてくれず健康状態が心配」「飲み込みやすい食事にしようと思うと見た目が悪くなり困っている」と思われる方はいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな悩みを抱えた方にオススメなのが、ソフト食です。
この記事では、ソフト食とは何か、その作り方や作る際の注意点を詳しく解説しています。
ぜひ一読し、介護食を作る際の参考にしてみてください。
目次
ソフト食とは?
ソフト食とは、ミキサーにかけた食材をゲル化剤で再度固めた介護食です。こうすることで、食べかすが口の中に残りにくく、飲み込みやすくなります。また、食材ごとに分けて固めるので、色を保つことができ、見た目や香りも楽しむことができます。
ソフト食以外の介護食
ソフト食以外の介護食には、主に「きざみ食」「ペースト食」「ミキサー食」の3つがあります。それぞれについて簡単に見ていきましょう。
1)きざみ食
きざみ食は、食べやすいように大きめの食材を細かく刻んで作った食事のことです。噛む力が衰えてきたが飲み込む力はある、という方に向いています。
2)ペースト食
ペースト食は、食材をミキサーにかけるなどしてつぶしているので、飲み込みやすくなっています。ポタージュのようなとろみがあります。噛む力だけでなく飲み込む力も衰えてきた、という方に向いています。
3)ミキサー食
ミキサー食とは、食材をミキサーにかけてやわらかくした介護食です。噛む力と飲み込む力の両方が衰えてきた方に向いています。
きざみ食やミキサー食との違い
きざみ食は、食材を包丁で細かくきざんでいるため、食べかすが口の中に残りやすいです。
ミキサー食は、出来上がった料理をミキサーにかけているため、すべてがドロドロに混ざり合っていて、全体的に茶色っぽくなります。
一方でソフト食は、食材を一つずつ個別にミキサーにかけて固め直しています。
まとまりがよいので口の中に食べかすが残る心配がなく、元の献立と食材の色がほとんど変わらず、見た目と香りを楽しむことができます。
違いをまとめると、以下のようになります。
ソフト食 | きざみ食 | ミキサー食 | |
---|---|---|---|
調理方法 | 食材ごとにミキサーにかけ、ゲル化剤で再度固める | 食材を細かく刻む | ミキサーにかけ、とろみをつける |
見た目 | 元の献立と色がほぼ変わらず、香りも楽しめる | 元の献立と色がほぼ変わらず、香りも楽しめる | 茶色っぽい似たような色になりやすく、美味しそうに見えない |
食べやすさ | 口の中でよくまとまり飲み込みやすい | 口の中に残りやすく誤嚥も起こしやすい | ペースト状なので飲み込みやすい |
ソフト食のメリット
ソフト食には、次のようなメリットがあります。
1)舌で押しつぶせるほどの硬さなので、噛む力が弱くても簡単に食べることができる
2)一つひとつがすでに塊になっているため、口の中でばらばらになりにくい
3)ゲル化剤を使っていて、喉に詰まりにくい
4)食材ごとに固めているため、見た目がよく、食材の色や香りをそのまま楽しめる
ソフト食の作り方
ソフト食の作り方を説明します。
1)まず、普通の食事を作り、具材ごとに分けます。
2)具材ごとにミキサーにかけます。
3)スベラカーゼを加えて再びミキサーを回します。スベラカーゼとは、酵素でできている増粘剤です。これを食材と一緒に混ぜ合わせることで、食材に粘り気を付けることができます。片栗粉でも代用可能です。
4)鍋に移し、イアナガーを入れて弱火にかけ、固まり始めたら火を止めます。イアナガーとは、ぶどう糖、寒天などでできているゼリーの素です。ゼラチンでも代用可能です。
5)容器に入れて冷蔵庫で冷やします。最後に形を作ってお皿に盛ったら完成です。
食材選びのポイント
野菜は、ブロッコリーやトマト、にんじんなど繊維が少ないものを選びます。繊維が多いアスパラやごぼうは、ミキサーにかけても繊維が残ってしまう可能性があるためです。
肉や魚は、脂肪が多く含まれる部位を選び、赤身は避けます。介護食を利用している方は栄養不足に陥りやすいので、脂肪が多めでも問題はありません。
調理のポイント
ソフト食は、食材を選ぶ必要があったり、わけて調理したりと、気を付ける点が多く、一見作るのが大変そうに見えます。しかし、調理の仕方を見直すだけでとても作りやすくなります。調理のポイントは「とろみをつける」「食材を蒸す」「油を使う」「つなぎを活用する」の4つです。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
とろみをつける
食材にとろみをつけることで、飲み込みやすくします。噛む力・飲み込む力が弱くなっている高齢者にとって、お味噌汁などのサラサラとした食材は誤って飲み込んでしまう危険性があります。片栗粉やゼラチンを使って食材にとろみをつけることができます。
食材を蒸す
蒸すことで食材は柔らかくなり、食べやすくなります。また、茹でて栄養を逃がすこともないので、栄養をしっかりと閉じ込めたまま食材を柔らかくすることができます。さらに、肉は加熱すると固くなるため、揚げるなら蒸してからにする、などの工夫をすると食べやすくなります。
油を使う
油やバターなどの油類を加えて調理すると、飲み込みやすくなります。また、オリーブオイルやごま油などの香りがついた油類は食欲をそそりますので、「おいしそうに食べてくれない」という悩みを抱えている方にぴったりです。
つなぎを活用する
口に入れた食材が口の中でまとまりにくいと、飲み込みずらくなり、気管に入ってしまう恐れがあります。これを防ぐために、つなぎ、つまり食材同士をくっつける卵や片栗粉、油などを活用します。ミキサーで一度つぶした食材とつなぎを合わせることで、舌でつぶせる程度のほどよい柔らかさにできます。また、卵をつなぎとして使えば一緒にタンパク質を摂取できるのでオススメです。
食材ごとの調理のポイントとは
食材ごとに調理のポイントは異なります。肉、魚、野菜を調理する際に気を付けるべき注意点がいくつかあります。それぞれの注意点をご説明します。これらのポイントをしっかりとおさえ、食べやすいソフト食を目指しましょう。
肉を調理するときのコツ
肉を調理する際のポイントには以下の3つがあります。
1)柔らかくて食べやすい脂肪が多い部位を選びます。
2)赤身など硬い部位を使う場合は、筋を切り、たたいて柔らかくします。
3)ひき肉を使う場合は、卵などのつなぎを使って、口の中で肉がばらばらにならないようにします。
魚を調理するときのコツ
魚を調理する際のポイントは以下の3つです。
1)加熱してもばらばらになりにくい脂分が多い部位を選びます。脂分が多いと喉越しが良くなります。
2)骨はあらかじめ取り除いておきます。
3)魚は身が細かくまとまりにくいので、つなぎを活用して一つにまとめます。
野菜を調理するときのコツ
野菜を調理する際のポイントは以下の3つです。
1)トマトやブロッコリーなどの繊維が少ない野菜を選びます。
2)ごぼうやアスパラのような繊維が多い野菜は、繊維と直角に切ることで繊維を切断します。
3)皮は口の中に残りやすいので、あらかじめ剥いておきます。
まとめ
ソフト食は、口の中で食べ物がまとまりやすく、舌でつぶせる程度の柔らかさなので噛む力が弱くても食べやすい、といったメリットがある介護食です。調理の際はポイントをしっかりとおさえましょう。
ソフト食は見た目・香りを楽しむことができるのでオススメの介護食ですが、きちんとしたソフト食を作るのは手間がかかり、大変です。食事は毎日のことですので、「まごころ弁当」のような宅配弁当サービスを積極的に利用して家族の負担を減らすのも、長い目で見れば大切なことです。
「まごころ弁当」は高齢者向けに味付けし、栄養バランスに配慮した、日替わりのやわらか食(ソフト食)を毎日自宅までお届けします。普段の手作りにプラスして、作る負担を減らしてみてはいかがでしょうか。
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