「老人性うつ」かも!高齢者が食事を食べない|原因と対処法について
作成日:2022年12月16日
高齢のご家族がまったく食事を食べなくなった、とお悩みの方はいませんか?
ご家族が食事を食べなくなると、このままどうなるのかと心配してしまいますよね。ここでは、高齢者が食事を食べなくなる原因と対策を解説します。
高齢のご家族の食事を食べない問題を解決するために役立ててください。
目次
高齢者が食事を食べない原因とは
高齢者が食事を食べなくなる原因には2つあります。1つ目は「食べたい思いはあるが、食べられない」というものです。
2つ目は、高齢者自身が「食べたくない」と感じているものです。それぞれの主な原因を紹介します。
加齢による味覚・臭覚の低下
味覚・嗅覚が衰える原因として、加齢があげられます。
私たちは、食べ物を口に入れると舌の表面や口腔内の粘膜にある味蕾(みらい)という場所で味の成分を感知し、脳へ信号が送られることによってさまざまな味を感じています。
加齢とともに味蕾の数は減少し、新生児期に比べると高齢者は半分〜1/3にまで減少すると言われています。
嗅覚は、加齢によりにおいを感じるための嗅細胞が減少したり機能が衰えたりしてきます。個人差はありますが、40代半ばから徐々に機能が衰えてくると言われています。
そのため、健康な人でも、70代から80代には徐々に味覚や嗅覚が衰えていきます。嗅覚が弱くなると、料理の風味を感じられず、食事を楽しみに思えなくなります。
味覚は、「甘味」に比べて「塩味」「酸味」「苦味」が衰えやすく、いつもの味付けが物足りなく感じるようになって味の濃いものばかりを好んだり、特定の食材ばかりを食べ続けたりなど食生活の偏りにもつながります。
入れ歯が合わないなど口腔トラブル
高齢になるとさまざまな口腔トラブルが発生し、食欲が低下します。中でも多いのは、入れ歯が合わずに食ベ物が食べづらくなっているというものです。
入れ歯が合っていないと、食事をしても違和感があったり、うまく噛み切れなかったりして、ストレスを感じてしまいます。
そうすると食事を楽しいものと感じなくなり、特定の食べやすいものだけを食べるようになります。
さらに高齢になると噛む力が衰えてくることなどにより唾液の分泌量が減り、口の中が乾きやすくなります。
口やのどが渇くと、食べ物を飲み込む際にのどに痛みを感じることがあり、これも食欲低下の原因です。
嚥下障害による食欲低下
嚥下とは、食べ物を飲み込み胃に送ることです。高齢になると、筋力の低下やのどの炎症、喉頭がんなどの病気、うつ病などの心理的要因により、嚥下障害が起こります。
嚥下障害になると、食事中にむせたりせき込んだりしてしまう、固形物が飲み込みづらくなる、食事に時間がかかり途中で疲れてしまうなどの症状が現れます。
食べものをうまく嚥下できないと、食事を楽しみに思えなくなり食欲が低下してしまうほか、食べ物が誤って気道に詰まり窒息につながる恐れもあります。
また、嚥下だけでなく、食べ物を口の中で小さく噛み切る咀嚼の機能も低下するため、これらが組み合わさり、さらに食欲を低下させます。
食事量が減少すると低栄養や脱水症状を引き起こす原因にもなりかねません。
認知症・老人性うつ病による食欲低下
認知症になった場合、箸の使い方といった食事の仕方そのものがわからない、食べものがなにか理解できないなどの症状が現れます。
認知症が進行すると、一人では食事をとれなくなることも多いです。
こうした場合は食事の際にメニューや食材の名前を声に出す、食べる動作の見本を示し真似してもらうなど、食事と認知させることが必要です。
また、老人性うつ病になると、何事にも無気力になる「アパシー」という症状が多く現れます。
この状態では、一日を寝たまま過ごしたり、何をするにも気分が落ち込んでしまったりします。
そのうちに食事にも興味を示さなくなり、食欲が低下する場合があります。
がんなどの罹病による食欲低下
高齢によるさまざまな病気にかかることによって、食欲が低下する場合があります。
・うつ病
食欲の低下につながる代表的な病気として、うつ病があげられます。
老人性うつは、息苦しさや頭痛、めまい、胃痛、食欲不振などの身体的な不調が現れることや、不安、焦燥感を感じる、妄想などの症状が現れることが特徴です。
症状によっては食事が苦痛に感じるといううつ病患者もいます。
・がんなど、病気の症状
がんをはじめ、胃腸に関する病気、甲状腺機能の低下などで食欲が低下します。
特にがんは食事前に強い吐き気や嘔吐があるなど、食欲が急激に低下する病気として知られています。
一般的な風邪やインフルエンザ、虫歯や口内炎も、食欲が低下しやすい病気です。
・薬の副作用
病気のために服薬している薬が原因で食欲が低下することがあります。
食欲が低下する副作用として抗がん剤や抗生剤が知られていますが、気になる場合は医師や薬剤師に相談してください。
低栄養の危険性について
私たちの体は食べたものからつくられています。
健康を維持するためには、体をつくるために必要なたんぱく質やエネルギー源として必要な炭水化物、脂質に加え、体の調子を整える働きがあるビタミン、ミネラルをバランスよく摂取する必要があります。
食事量が少なくなることにより、これらの栄養が慢性的に不足した状態を「低栄養」といいます。
加齢により、噛む力や飲み込む力が衰えてくるだけでなく、消化吸収機能も徐々に衰えてきます。
栄養を吸収する能力も衰えてくるため、食べる量が少なくなるとさらに低栄養に陥ってしまうリスクが高くなるのです。
低栄養になると下記のような症状が現れます。
・免疫力の低下により風邪や感染症にかかりやすくなる
・筋肉量の減少や筋力の低下
・運動機能の低下
・骨が弱くなり骨折しやすくなる
・傷や褥瘡(じょくそう)が治りにくくなる
・認知機能の低下
低栄養になると体にさまざまな不調が現れる原因になり、長く続くと寝たきりになってしまう可能性も高くなります。
健康を維持するためにもバランスのいい食事を心がけ、栄養を補うことが大切です。
食事を食べないときにできることは
それでは、高齢のご家族が食事を食べなくなったときには、いったいどんな工夫をしたらよいのでしょうか。工夫したいポイントを5つご紹介します。
味覚・臭覚を刺激できるように調理の工夫をする
高齢になり食欲が低下すると、食事量が減って栄養不足になったり、特定のものばかりを好み塩分や糖分が過剰摂取になったりと、食生活が乱れることが懸念されます。調理の工夫が必要です。
・本人の好みを大事にした調理を
いくら栄養バランスや見た目にこだわった食事を作っても、本人の口に合わなければ食欲が増すことはありません。
食べ慣れた食材や好みのメニューを基本に、長年培ってきた本人の嗜好を大切にした調理を心がけましょう。
・見た目や味のバランスを大切に
季節感が出るメニューを積極的に取り入れましょう。
旬の食材は栄養価も高く、見た目でも食事を楽しませてくれます。また、甘味、塩味、酸味などさまざまな味の食材をバランスよくとることが大切です。
嗅覚や味覚が衰えてくる高齢者の方は味付けが濃くなりがちです。
味付けを濃くせず美味しく食べるためには、うまみ成分が豊富な昆布やかつお、椎茸などからとった出汁を活用するのがおすすめです。
また、カレー粉や唐辛子、こしょうなどの香辛料や大葉、ねぎ、しょうがなどの香味野菜を料理に加えるとアクセントになり、薄味でも美味しく食べることができます。
嚥下障害の高齢者が食べやすい食事を作る
嚥下障害になると、その方の噛む力や飲み込む力に合わせた食事作りが必要です。
食材を食べやすい大きさにする、噛まなくても飲み込めるよう食材をやわらかく煮込むなど調理の工夫をしましょう。
さらに嚥下障害が進むと、料理にとろみをつけたとろみ食や、噛まなくても容易に飲み込めるミキサー食などが必要です。
肉や繊維質の野菜などの噛み切りにくいものは細かく切るほか、切り込みを入れたり、筋を切ったりして食べやすくしましょう。
繊維質の野菜は繊維を断ち切るように切ると食べやすくなります。
また、肉はひき肉やしゃぶしゃぶ用の薄切り肉を使用するのがおすすめです。
魚介類は、骨が多い魚やえび、いかなどの噛み切りにくいものには注意が必要です。青背魚や白身魚を活用するといいでしょう。
すり身にしてつみれなどにしても食べやすくなります。
卵はゆで卵はパサパサとして飲み込みにくいので避け、水分を多く含むスクランブルエッグや茶碗蒸しなどの調理法が好ましいです。
口腔ケアを心がける
長い間使い続けている入れ歯は、今のあごや歯茎の状態に合わなくなっている可能性があります。
咀嚼の時におかしな動きをしていないか、食事をしているところを注意深く観察するほか、定期的に歯科医で点検やメンテナンスをしてもらうとよいでしょう。
また、高齢になると口腔内の自浄作用が低下するため、唾液が減少し、口内に細菌が繁殖しやすくなります。
口腔内の細菌が誤嚥によって肺に侵入すると誤嚥性肺炎を引き起こす可能性もあります。
虫歯などの口腔トラブルは目視でわかる場合が多いので、歯磨きのときなどに、ときどき口の中を見て異常はないかを確認するようにしましょう。
こまめに歯磨きやうがいをしたり、舌についている白い汚れ「舌苔」を舌ブラシで取り除いたりするなど、丁寧なケアが必要です。
舌苔は食べ物の残りかすや細菌などが集まったもので、口臭の原因や誤嚥性肺炎の原因にもなります。
舌はデリケートな部分なので、1日1回を目安にお手入れを行いましょう。力を入れず優しく行うこともポイントです。
認知症・うつ病などの場合は無理強いしない
認知症やうつ病など、罹病で食欲が低下しているときは、無理に食べさせないことが大切です。
栄養不足が心配でつい食べさせたいと思ってしまいがちですが、無理強いは本人のストレスになるだけでなく、誤嚥から肺炎につながる危険性もあります。
食事をとれなくても怒ったり責めたりせず、おおらかな気持ちで接し見守るようにしましょう。食事をまったく受けつけない場合は、必ず医師に相談してください。
また、今まで使ったことのない食材や調理方法にチャレンジする、テーブルの位置や食器を変えるなどの気分転換が食べる意欲を引き出すきっかけになることもあります。
無理のない範囲で、食事に変化をつけるよう工夫してみましょう。
抗がん剤治療中は、軽食を用意し食事回数を増やす
がんを患うと、抗がん剤の副作用やストレスから、著しく食欲が低下します。そんなときは簡単に食べられる軽食で一日の食事回数を増やしましょう。
手軽につまめるようなものが近くにあると、食欲がなくても手が伸びやすくなります。
ゼリーなどの冷たく飲み込みやすいもの、フルーツなどあっさりしたもの、豆腐など口当たりがよく飲み込みやすいものがおすすめです。
一度に食べる量が少なくても、複数回食事をすることで栄養を補えます。
食欲が著しく低下しているときは、本人が食べたいものを用意し、甘いものや味の濃いものを食べても構いません。
ただ、食材によっては胃腸に負担をかける場合があるので、医師や専門家に相談しましょう。
高齢者が食事を食べない原因まとめ
高齢者が食事を食べない原因、食欲を高める工夫、食事をとるのが難しい場合の対処法について紹介しました。
食事からしっかりと栄養を摂取することは低栄養を予防し、健康寿命を伸ばすことにもつながります。
そのためには、栄養バランスのいい食事を継続することが大切です。
加齢により、食事量が少なくなるのは自然なことですが、食欲が低下すれば、症状に合った適切な対応や調理が必要です。
噛む力や飲み込む力に合わせたバランスのいい食事作りを心がけたいですね。
また、食事を食べる環境に気を配ることも食欲を高めるのに役立ちます。
季節に合わせてランチョンマットやテーブルクロスを変えてみることや、盛り付けるお皿を料理に合わせて変えてみる、行事に合わせたメニューを作るなど、食事が楽しみになるような工夫もぜひ取り入れてみてください。
とはいえ、どうしたら食べてくれるのかを考えて毎日食事を作るのは大変です。
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私たちの体は食べたものからつくられています。健康を維持するためにも食事を美味しく食べられることは大切なことです。
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