介護老人保健施設とは?入所の流れや特養との違いまで分かりやすく解説
作成日:2019年3月18日
ご高齢のご家族が退院して、すぐに自宅で介護をスタートするのは大変なことです。自宅で無理なく動けるようになるには、リハビリが必要なこともあります。そこで、病院と自宅介護の中間に位置するリハビリメインの施設が重要になります。それが、介護老人保健施設です。
こちらでは、介護老人保健施設をわかりやすく解説していますので、参考にしてください。
目次
介護老人保健施設とは?
介護老人保健施設とは、病院を退院してから自宅で生活するまでの間に入所する施設です。介護老人保健施設では、医師や理学療法士、看護師によるリハビリを中心とした医療サービスが提供されています。
退院する高齢の方の中には、入院での治療が必要ない状態になったものの、継続してリハビリが必要な方がいます。また、入院生活が長くなるほど、足腰が弱るものです。そこで、一度介護老人保健施設に入所し、自宅での生活に支障がないレベルを目指してリハビリを行うのです。
介護老人保健施設は、あくまでも病院から自宅に戻るまでの一時的な居住施設であり、入所できる期間には制限があります。3ヶ月を基本とし、継続が認められればさらに3ヶ月ごとの延長となります。一般には、6ヶ月が限度といわれていますが、長期となる場合もあります。
介護老人保健施設の入所条件
介護老人保健施設の入所条件は、要介護1以上の認定を受けている、65歳以上の高齢の方であることです。また、特定疾病による介護認定を受けている、40歳~64歳の方も入所対象となります。その他、施設ごとに感染症の有無などの条件を設定している場合があるため、確認が必要です。
介護老人保健施設のサービス内容
介護老人保健施設のサービス内容の特徴は、理学療法士や作業療法士といった専門家によるリハビリ、機能訓練です。リハビリ以外のサービスとしては、入浴や排泄などの身体介護のほか、医師や看護師による医療サービスがあります。
リハビリの中身としては、1回20~30分、週2回以上の頻度で車椅子に乗ったり、歩行訓練をしたり、入所者に応じた訓練を行います。一般に、病院でのリハビリより少ないとされていますが、週2回以上であれば上限はないため、多く実施する施設もあります。
介護老人保健施設の設備
介護老人保健施設には、個室と4人以下の多床室があり、多床室の方が多いといわれています。各部屋の広さは、規定により多床室が1人あたり8㎡以上で、ユニット型個室の場合は10.65㎡です。室内には、ベッドや収納、ナースコールなどが設置されています。
また、施設内には診察室やリハビリルーム、食堂、トイレ、浴室、レクリエーションルームなど必要な設備が整えられています。
特別養護老人ホームとの違い
介護老人保健施設と比較されやすい施設として、特別養護老人ホームがあります。このふたつの施設はまったく異なるものです。
特別養護老人ホームは、充実した設備やサービスを比較的少ない負担で終身利用できることから人気が高く、基本的に待機期間が長いです。一方で、介護老人保健施設は、自宅へ戻るまでのリハビリ中心の短期利用なので、待機期間も短く比較的入所しやすいです。
介護老人保健施設のメリット・デメリット
次に、介護老人保健施設のメリットとデメリットについて確認しましょう。
介護老人保健施設のメリット
まず、介護老人保健施設のメリットについて解説します。
リハビリの専門家が常駐
介護老人保健施設の一番のメリットは、なんといっても理学療法士などリハビリの専門家が常駐している点です。リハビリのための施設ですから当然ですが、リハビリ設備も充実しています。自分にあったプログラムで効果的なリハビリを期待できます。
医療面でも安心
介護老人保健施設には医師が常駐しており、看護師の24時間勤務体制をとっている施設も増えています。リハビリ以外の面でも安心感を持てるのは大きなメリットです。
費用の負担が軽い
介護老人保健施設は介護保険制度下にある施設です。そのため、入所一時金などの初期費用が発生しません。また、毎月の利用料金も介護保険の適用で1~3割負担ですみます。民間施設と比較すれば、少ない負担で入れる施設です。相場的には15万円までで済むことが多いです。
入所の条件が厳しくない
要介護1以上であれば入所できる点や待機期間が短い点など、入所しやすいこともメリットのひとつです。
介護老人保健施設のデメリット
メリットだけでなく、介護老人保健施設にもデメリットはあります。
3ヶ月ごとに退所の可能性がある
原則として3ヶ月の入所期間が設定されおり、自分の希望で居続けることはできません。3ヶ月ごとの判定で退所すべきと認定されれば出て行くことになります。
医療保険が適用されない
介護保険適用施設では原則としてすべてを介護保険で賄い、医療保険では賄わないこととなっています。そのため、単価の高い薬や医療サービスが自己負担となってしまい、必要なサービスを受けられない可能性もあります。
居住性の面で制限が大きい
個室よりも多床室が主流とされる介護老人保健施設では、病院と同じような住環境で暮らすことになります。自分だけのゆったりとした生活は望めないでしょう。また、リハビリがメインとなるため、娯楽にも乏しいといえます。
介護老人保健施設の費用
介護老人保健施設の費用は、入所一時金がないため月額費用だけです。初期費用がかからないのはありがたいですが、月額費用は施設や要介護度によって異なるためよく確認する必要があります。月額費用の中身は、サービス費、食費、居住費、その他です。
相場としては8~20万円程度ですが、要介護度が高いほど費用も増えると考えておきましょう。施設によって差が出るのは、主に居住にかかる部分で、選ぶ部屋や食事内容などでも大きく変わります。
介護老人保健施設に入所するまでの流れ
介護老人保健施設は比較的入所しやすい施設ではあるものの、希望してからすぐに入所できるわけではありません。手続に要する時間だけでなく、施設によっては希望者が多く待機期間が長くなる可能性もあるため、早めに探しておくことをおすすめします。
介護認定を受ける
介護保険適用施設のひとつである介護老人保健施設の利用には、「要介護1以上」の介護認定を受けていることが必須条件です。手続は市区町村の担当部署へ申請して行います。原則申請から30日以内で結果が通知されますが、実際には調査員による訪問を経て最終的に認定されるまで1~2ヶ月以上かかることもあります。
適切な介護施設を探す
適切な介護老人保健施設を探すには、専門家に相談することが重要です。
ケアマネージャーに相談
ケアマネージャーは、要介護者の介護プランを作成し、介護施設と利用者をつなぐ役割を持っているため、適切な介護老人保健施設の情報を持っていると考えられます。
病院に相談
病院には医療ソーシャルワーカーがいたり、介護施設と関わりがあったりするので、入院中に相談するとよいでしょう。
自治体の窓口に相談
多くの自治体の窓口では、介護施設の一覧など利用者の役に立つ情報提供を行っています。
実際に施設に見学にいく
探した介護老人保健施設が本当に自分に合ったものであるかは、パンフレットや聞いた話だけでは判断できないものです。そのため、実際に施設に足を運んで見学する必要があります。その上で、申し込むかほかを探すかの判断をしましょう。
申し込み手続きを進める
自分に合った介護老人保健施設を見つけたら、申し込み手続を進めます。
申し込み
必要な申し込み書類をそろえて施設に申し込みます。その際、不安な点などはケアマネージャーに相談するとよいでしょう。施設との橋渡し役ともいわれるケアマネージャーなら、手続が円滑に進むように手助けしてくれます。
面談
身体の状態や治療中の疾患の有無など本人の状況を確認するための面談です。ご家族の意見や希望についても確認するため、一緒に面談を行います。
入所判定
書類と面談の内容で入所の可否が判定されます。入所可の判定が出れば契約に移ります。ただし、待機期間がある場合は順番待ちをすることになります。
まとめ(介護老人保健施設とは?)
介護老人保健施設は、病院から自宅へ戻るまでの間にリハビリをするための施設です。実際にどのくらいの期間入所するかはリハビリの進み具合にもよりますが、自宅に戻ってからの生活についても考えておく必要があります。とくに重要な食事面でのサポートについては、高齢の方向けの配食サービスの検討も視野に入れたいところです。
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