サービス付高齢者向け住宅とは?他の施設との違いをわかりやすく解説
作成日:2019年3月15日
身体は元気で老人ホームへ入居するほどではないが、一人暮らしは心もとない。そんな高齢の方に人気があるのが、サービス付き高齢者向け住宅です。
この記事では、サービス付き高齢者向け住宅について、シニア向け分譲マンション・有料老人ホームとの違い、入居条件や費用、サービスについて解説します。
ご家族の入居や今後の生活スタイルを検討する際の参考にしてください。
サービス付き高齢者向け住宅とは?
「サ高住」や「サ付き」と略される事もある「サービス付き高齢者向け住宅」は、高齢の単身者もしくは夫婦が住めるバリアフリー設備の整った住宅を指します。入居する高齢の方が安心して生活できるように、医療や介護と連携しているのが特徴です。
国土交通省と厚生労働省が管轄する「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」に基づき7、2011年に創設されました。しかし、2015年には厚生労働省が、有料老人ホームであると指定したこともあり、両者の違いがなくなりつつあります。
「一般型」と「介護型」の2種類があり、それぞれ以下のような違いがあります。
一般型
生活に不安があるものの自立できている、もしくは軽度の介護があれば生活できる方向けの住宅。一人暮らしはもちろん、高齢の夫婦も入居できます。
介護型
建物内にスタッフが常駐し、介護・生活支援などのサポートが提供されている住宅で、厚生労働省が「特定施設」として指定しています。要介護の高い方も入居できます。
シニア向け分譲マンション、有料老人ホームとの比較
サービス付き高齢者向け住宅と、シニア向け分譲マンション・有料老人ホームとの違いを解説します。
サービス付き高齢者向け住宅 | シニア向け分譲マンション | 有料老人ホーム | |
---|---|---|---|
特徴 | ・賃貸契約 ・バリアフリー | ・所有権あり ・分譲マンション | ・終身利用可 ・要サービス契約 |
入居条件 | ・60歳以上 ・自立した生活ができる方 ・軽度の要介護者 | ・年齢制限なし ・自立した生活ができる方 ・軽度の要介護者 | ・65歳以上 ・自立した生活ができる方 ・要支援1~5 |
費用 | ・初期費用:数十万~数百万 ・月額費用:10~30万円 | ・購入費用:1,500万~数億円 ・修繕積立金:毎月10~30万円ほど | ・入居一時金:0~数千万円 ・月額費用:15~40万円ほど |
居室面積 | ・個室 ・25平方メートル以上 | ・多様なプランあり | ・個室 ・13平方メートル以上 |
サービス内容 | ・安否確認 ・生活支援 | ・見守り ・生活支援 ・緊急時対応 | ・食事の提供と ・介護サービス ・健康管理 |
シニア向け分譲マンションとの比較
共通点
両者共に、自立した生活ができる方、または、介護度の軽い方のみ入居でき、生活の自由度が高いです。見守りなどの安否確認、食事・掃除・買い物などの生活支援など、ほぼ同等のサービスが受けられます。
相違点
両者の一番大きな違いは、賃貸か、購入かという点です。シニア向け分譲マンションには、一般向けマンションと同様で、居住設備の他に、レストラン・プールがあるなど共有設備も充実しています。
おすすめの方
自立した生活ができる、もしくは介護度の軽い方であれば、どちらの施設も選べます。サービス付き高齢者向け住宅は、60歳以上の人であることが入居条件となっています。対象年齢に満たない方や、老後の資産を持ちたいと考える方の場合は、シニア向け分譲マンションをおすすめします。
有料老人ホームとの比較
共通点
両者共に、初期費用・月額費用が発生します。
相違点
設備・サービスに大きな違いがあります。サービス付き高齢者向け住宅には、バリアフリーにする義務のみがあります。有料老人ホームには、設置基準・人員基準があり、自治体による監督指導が行われます。有料老人ホームは終身利用可能で、契約時に各種サービスも同時に契約します。サービス付き高齢者向け住宅の契約には各種サービスは含まれないので、別途契約する必要があります。
おすすめの方
身体は元気で自立した生活ができるけれど、一人で暮らすには心もとないという高齢の方には、サービス付き高齢者向け住宅がおすすめです。65歳以上で現在もしくは将来的に介護サービスが充実した環境で暮らしたいと考えている方には、有料老人ホームをおすすめします。
サービス付き高齢者向け住宅の入居条件
サービス付き高齢者向け住宅へ入居する際の条件は、一般型か介護型かによって以下のように異なります。
一般型 | 介護型 | |
---|---|---|
年齢 | 60歳以上 | 60歳以上 |
介護レベル | 自立~軽度の要介護 | 自立~要介護5 |
認知症の受け入れ可否 | 基本的に受け入れ不可 | 受け入れ可 |
連帯保証人の有無 | 必要 | 必要 |
一般型の場合は、自立できるが生活に不安を感じている高齢の方や、軽度の介護が必要であるなど、比較的元気な高齢の方が受け入れられます。そのため、義務付けられているサービスは安否確認と生活相談だけです。介護が必要になった場合は、外部の介護サービスなどを利用しなければなりません。
介護型の場合は、入居条件は「自立~要介護5」まで対応しており、認知症の方の受け入れも可能です。老人ホームと同じようなサービスを受けられるので、将来的に心配がある場合は介護型を選ぶ事をおすすめします。
サービス付き高齢者向け住宅の費用
サービス付き高齢者向け住宅の費用について、一般型と介護型に分けて解説します。
一般型 | 介護型 | |
---|---|---|
初期費用 | 家賃の2~5ヶ月分など数十万円 | 数百~数千万円 |
月額費用 | 5~25万円ほど | 15~40万円ほど |
一般型の場合は見守りと生活相談などの基本的なサービスがあるのみで、基本的には賃貸借契約を結んで入居します。そのため、初期費用と月額費用が必要となります。
介護型は、利用権契約なので、高額な入居一時金が発生します。介護型でも賃貸借契約を結んで入居する場合がありますが、その際は家賃の前払い分として数百万~数千万円の初期費用が必要になります。
サービス付き高齢者向け住宅で提供されるサービス
提供されるサービスの違いについて、一般型と介護型に分けて解説します。
一般型 | 介護型 | ||
---|---|---|---|
義務付けられているサービス | 見守りサービス 生活相談サービス | 見守りサービス 生活相談サービス | |
将来的に右記サービスが必要になった時の対応 | 生活支援 | 外部サービスを利用 | 施設職員が対応 |
身体介護 | 外部サービスを利用 | 施設職員が対応 | |
リハビリ | 外部サービスを利用 | 施設職員が対応 | |
レクリエーション | 共有スペースがある場合はオプションで利用できるケースもある | 頻繁に行われる |
一般型の場合は、比較的、自立した生活ができる高齢の方の入居を想定しています。そのため、提供されるサービスは義務となっている「見守り」と「生活相談」のみである場合が多いです。
介護型の場合は、一般型に比べて初期費用や月額費用はかかりますが、提供されるサービスは充実しています。要介護5の方まで入居できる上、老人ホームと同じようなサービスが提供されます。
サービス付き高齢者向け住宅の設備
サービス付き高齢者向け住宅は、専有部分・共有部分共に、館内はバリアフリー対応となっています。専用部分の床面積は原則25平方メートル以上、共有で利用できるキッチンやリビングなどがある場合は18平方メートル以上と決められています。夫婦で入居することを想定している場合は、これよりも広めの部屋が用意されている事もあります。
その他、緊急通報装置・見守りセンサー・レストラン・シアタールーム・温泉施設などが併設されている事もあります。
サービス付き高齢者向け住宅のメリット・デメリット
サービス付き高齢者向け住宅に入居するメリット・デメリットについて解説します。
メリット
生活の自由度が高い
部屋は完全個室で、キッチン・お風呂があるため、これまでの生活スタイルを大きく変える事なく、自由に生活できます。そのため、プライバシーを守ることもできます。
外出・外泊・来客の制限なし
自宅と同様なので、外出・外泊したり、来客を迎えたりできます。ただし、受付に外出先・帰宅時刻などを伝えておかなければならない事や、体調不良の場合には制限をもうけられる事があります。
バリアフリーで安心
サービス付き高齢者向け住宅は、設置基準として、バリアフリーだけが義務付けられています。安否確認のサービスも提供されるので安心です。
入居時の初期費用が安い
シニア向け分譲マンションや有料老人ホームの場合、入居時に高額な費用が発生するケースが多く見受けられます。サービス付き高齢者向け住宅の場合は、初期費用はそこまで高額にはなりません。
デメリット
介護度によっては退去させられる事がある
サービス付き高齢者向け住宅の入居条件は、60歳以上で自立した生活ができるか、もしくは軽度な介護が必要な方です。そのため、要介護度が高くなった場合は対応が難しくなり、有料老人ホームなどへの転居が必要になるケースもあります。
夜間サービスが受けられるとは限らない
サービス付き高齢者向け住宅では、老人ホームのようにスタッフが常駐しているわけではありません。夜間は警備会社へ緊急通報が行くようになっている施設もありますが、スタッフ不在のためすぐに対応ができない事もあるので注意が必要です。
まとめ
サービス付き高齢者向け住宅とシニア向け分譲マンション・有料老人ホームとの違いについてまとめました。自立した生活ができるが一人暮らしは不安な方は、サービス付き高齢者向け住宅を検討してみてください。
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