介護医療院とは?メリットから注意点までわかりやすく解説
作成日:2019年4月8日
高齢で、しかも大きな病気をした後などで医療的なケアを必要とする要介護者の介護は、素人である家族だけで担っていくには限界があります。医療や介護の専門的な知識やスキルを持った専門家の援助を得るためにはどうすればいいでしょうか。
この記事では、新しく設立された介護医療院について詳しく解説します。
医療面のケアを必要とするご家族の介護にお悩みの方は参考にしてみてください。
目次
介護医療院とは?
介護医療院とは、医療機能の双方が必要なケースに対応する要介護高齢者向けの介護施設です。長期的な医療と介護のサービスを連携させて入所者に提供し、また生活の場としての機能ももっています。
平成30年4月の介護保険法などの改正によって新たにつくられた施設で、介護保険法第8条29項で定義されており、都道府県知事の許可を受けて開所します。
介護医療院に入所可能な方は、重篤な病気の急性期を過ぎて病状は安定しているものの、長期の療養が必要で自宅での介護が難しいと判断された要介護者の方です。
介護医療院は、入所者に対して日常的な看護や医学管理、介護、リハビリ、ターミナルケア、看取りなど、必要な医療サービスを提供します。同時に、入所者がその能力に応じて自立して日常生活を営むことができるようにするためのサポートします。
個室化を進めたりなどでプライバシーに配慮したり、餅つきなどの季節ごとのイベントやレクリエーションを取り入れるなど、長期療養が必要な要介護者にとってよりよい生活環境も提供します。
介護医療院ができた背景
介護医療院は、これまで運用されてきた介護療養型医療施設の制度上の問題点を解消し、新しい施設に転換する目的で制度化されました。
介護療養型医療施設から介護医療院への転換の背景と3種類の施設の内容を解説します。
介護療養型医療施設の廃止
従来型の介護療養型医療施設はあくまでも医療施設であることから、主に医療法人によって運営されています。しかし、多くの介護療養型医療施設では、介護保険適用の介護療養病床と、医療保険適用の医療療養病床とが、同じような使い方をされているケースが見られました。
このため、医療サービスを提供しているにも関わらず、適用されるのが介護保険であるという、いわば「ねじれ」の状態にありました。
厚生労働省はこのねじれを解消し、適切な状態に是正することを目的として、2011年度末までの介護療養病床の廃止と、新しい形態の介護保険施設への転換を2006年に決定しました。現在、従来型の介護療養型医療施設から介護療養病床と医療療養病床を合わせた13万床を廃止し、介護医療院への転換を進めています。
現在は、新しい施設への転換が進んでいない状況を考慮し、2017年度末まで対応期間を延長、3年から6年の移行期間を経て新たな制度に基づく体制をスタートさせることにしています。
新たな3種類の施設とは?
介護医療院には3つの種類があります。居住・生活機能と医療機能を一体で提供する介護医療院と、居住する施設と医療機関が併設されている医療外付け型です。介護医療院は、さらに受け入れる入所者の要介護の度合いなどにより(Ⅰ)型と(Ⅱ)型に分けられます。
それぞれの要点を下表にまとめます。
介護医療院(Ⅰ) | 介護医療院(Ⅱ) | 医療外付け型 | |
---|---|---|---|
概要 | 要介護高齢者への長期療養と介護を合わせた サービスを提供する生活の場 | 居住スペースと医療機関を併設する | |
設置根拠法 | 介護保険法 | 医療機関:医療法 | |
居住スペース:介護保険法・老人福祉法 | |||
主な利用者像 | 比較的重篤な身体疾患を有するものや、 身体合併症を有する認知症高齢者 | 比較的容態が安定した患者 | 比較的容体が安定した患者 |
設置基準 | 介護療養病床相当 医師:48対1(3人以上) 看護:6対1 介護:6対1 | 老健施設相当以上 医師:100対1 看護:3対1 介護:3対1 | 医師:基準なし 看護:3対1 介護:3対1 |
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介護医療院のメリット
ここでは、介護医療院以外の有料老人ホームと比べた場合のメリットについて述べます。
医療ケアが充実している
介護医療院では、利用者100人に対して3人以上の医師がおり、看護師や介護福祉士、管理栄養士などの看護と介護に専門のスキルと知識を有する専門スタッフが常勤しています。そのため充実した健康管理やリハビリなど医療ケアが受けられます。
一時金が不要
一般的な有料老人ホームなどの介護施設では、入所の際に数十万円から数千万円以上の高額な入居一時金が必要とされます。介護医療院では、入居一時金が必要ありません。
介護度が高くても入院できる
介護医療院では要介護の度合いが高くても入居することができます。
元々が長期療養の要介護者を対象とした施設であり、要介護1以上の65歳以上の高齢者という基本条件があるので、伝染病などに罹患していないという条件を満たしていれば入所が可能です。
介護医療院の注意点
介護医療院を利用する場合の注意点は制度が導入されて間もないという点です。
まだ介護療養型医療施設からの転換が十分に進んでおらず、実際にサービスを運営している事業者は少ないため、現場からの十分なフィードバックがまだ揃っていないのが現状です。
今後、施設の運営や入居者の利用データなどが集まってきた段階で、実態やニーズに合わせた制度の見直し、変更などが行われる可能性があります。
入居期間が終身でないところもある
介護医療院は容態が比較的安定している寝たきりの方など、長期療養が必要とされる方のための施設です。症状が改善および悪化した場合は退去を要請される可能性があり、入所したとしても終身で利用できるとは限らないケースもあります。
費用が高額になることもある
入居スペース分の費用はそれほど高額にはなりませんが、医療的な処置が多く必要な場合は別途費用が加算されますので、症状によっては入院費用が想定よりも高額になってしまう可能性もあります。
プライバシーの確保が難しい場合がある
一般的な有料老人ホームと比べると、個人のプライベートゾーンが十分に確保されているとはいえません。また、集団生活をしている以上最低限のルールがあり、どちらかというと病院への入院と同じように考えるべきです。自宅と同じような居心地のよさなど、大きな期待をもつべきではありません。
まとめ
医療面のサポートが必要な要介護者のいる家族にとって、医療機関をベースとして質の高い介護を行ってくれる介護医療院は大きな支えになってくれます。
しかし、介護医療院での介護には多額の費用が必要になることもあり、また順番待ちのため希望する施設にすぐに入れないということもあります。さまざまな理由で、介護医療院を利用できず、在宅で介護をしなければならないこともあるでしょう。
在宅での介護は、家族に大きな負担となります。その負担を軽減するため、まごころ弁当では一食320円(税別)から、無料宅配で高齢者向けの配食を行っております。
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