老人ホーム・介護施設の種類|各施設の特徴・費用から選び方まで解説
作成日:2019年4月1日
ご家族が高齢になったり、介護を要する状態になったとき、強い味方になってくれるのが介護施設です。しかし、介護施設にはさまざまな種類があり、要介護の度合いなどによって選ぶべき施設は変わってきます。
この記事では老人ホームや介護施設の種類について、それぞれの施設の特徴や費用の目安を紹介し、入居までの流れなどを含めて解説していきます。施設選びにお困りの方は参考にしてみてください。
目次
老人ホーム・介護施設の特徴を比較
ここでは老人ホームや各介護施設について、それぞれの特徴を表にまとめました。
主に要介護状態の方向けの施設
施設の種類 | 受け入れ可能な介護度 | 認知症受け入れ可否 | 看取りの可否 | |
---|---|---|---|---|
民間型施設 | 介護付有料老人ホーム | 要介護5まで | ○ | 施設による |
住宅型有料老人ホーム | 要介護5まで | 軽度まで | 施設による | |
グループホーム | 要支援2から要介護5 | ○ | × | |
公共型施設 | 特別養護老人ホーム | 要介護3から要介護5 | ○ | 施設による |
介護老人保健施設 | 要介護1から要介護5 | ○ | 施設による | |
介護療養型医療施設 | 要介護1から要介護5 | ○ | ○ |
主に介護を必要としない方向けの施設
受け入れ可能な介護度 | 認知症受け入れ可否 | 看取りの可否 | ||
---|---|---|---|---|
民間型施設 | サービス付き高齢者向け住宅 | 要介護3程度まで | 軽度まで | × |
健康型有料老人ホーム | 自立のみ | × | × | |
シニア向け分譲マンション | 要介護5まで | 軽度まで | 施設による | |
公共型施設 | 軽費老人ホーム(ケアハウス) | 要介護3程度まで | 軽度まで | × |
各老人ホーム・施設の概要と費用
ここでは上の表であげたそれぞれの施設について、概要とおおよその費用を解説していきます。
介護付有料老人ホーム
概要
介護保険法に基づき、「特定施設入居者生活介護」と呼ばれるサービスの提供を認可されている老人ホームです。高級志向の施設や介護に特化した施設など、それぞれ特色を打ち出して運営しています。
費用
入居時費用は0円という施設もありますが、施設によっては数千万円以上かかることもあり、月額費用も12万円から30万円ほどと幅広くなっております。
介護サービスを受けた場合、介護保険は適用されますが、介護付き有料老人ホームは医療施設ではないため、医療保険は原則として適用されません。
住宅型有料老人ホーム
概要
掃除や洗濯、買い物の代行、食事の提供などのサービスを受けられる老人ホームです。施設には介護職員が常駐していないため、介護サービスが必要な場合は訪問介護や通所介護などを利用する必要があります。しかし、同じ建物内に介護サービス事業者が入居しており、実質的には介護付有料老人ホームと同様のサービスを提供している施設もあります。
費用
入居時費用は0円から数千万円以上まで、月額費用も12万円から30万円ほどと、利用料金は施設によって幅広くなっています。介護サービスは外部の事業者を利用するため、施設の利用料には含まれておらず、介護保険は適用されません。また、住宅型有料老人ホームは医療施設ではないため、医療保険も適用されません。
グループホーム
概要
グループホームは、認知症の高齢者の受け入れに特化している介護施設です。認知症介護の専門知識と技術を持ったスタッフの支援を受けながら、入居者は家事などをお互いに役割分担し、自宅での生活に近い感覚で共同生活を行えます。
費用
入居時費用はゼロ円から数百万円まで、月額の費用は10万円から20万円程度である施設が多いです。介護保険は適用されますが、医療保険は適用されません。
特別養護老人ホーム
概要
特別養護老人ホームは公共型介護施設のひとつで、低価格でありながら充実したサービスが受けられる施設です。ただし、人気があり入居待ちが多く、入りたいときに入れないケースもあります。
費用
入居一時金は必要なく、月額費用はおよそ6万円から15万円ほどです。
介護保険は適用されますが医療保険は適用されません。
介護老人保健施設
概要
病気などで入院した後に入居する、自宅と病院の中間にあたる位置づけの施設であり、入居期間は原則3ヶ月とされています。入居者はリハビリをしながら在宅生活への復帰を目指します。
費用
入居一時金は必要なく、月額費用はおよそ8万円から17万円ほどです。
介護保険は適用されますが、医療保険は適用されません。
介護療養型医療施設
概要
介護療養型医療施設は要介護1以上の方を対象とした、入居者100人に対して医師3人が配置される医療機関です。病院などの敷地内に療養病床が併設されていることも多く、心臓疾患など長期の療養が必要と判断され、比較的病状の安定した高齢者が入居するケースが多いです。
費用
入居一時金は必要なく、月額費用はおよそ6万円から15万円ほどです。
医療施設であることから医療保険が適用されるのはもちろん、介護保険も利用可能です。
サービス付き高齢者向け住宅
概要
サービス付高齢者向け住宅は「サ高住」とも呼ばれ、バリアフリーに対応した高齢者向けの賃貸住宅です。医療や介護の資格を有するスタッフが常駐し、安否確認や生活相談といったサービスを提供します。
費用
他の有料老人ホームにおける入居一時金に相当するものとして、0円から数十万円ほどの敷金や礼金を必要とします。月額利用料金は施設によって異なりますが、10万円から30万円ほどです。
あくまで一般の賃貸住宅であることから介護や医療サービスは提供されておらず、介護保険、医療保険とも適用されません。
健康型有料老人ホーム
概要
健康型有料老人ホームは、介護を必要としない高齢者を対象としています。
入居者は掃除や食事の提供などのサービスを受けつつ、シアタールームやスポーツジムなどの設備を利用しながら、充実した生活を楽しめるようになっています。
費用
入居一時金は高額であることが多く、施設によっては1億円を超えることもあります。月額利用料は、およそ10万円から40万円という施設が多くなっています。
自立した高齢者向けの施設であることから介護や医療のサービスは行っておらず、介護保険、医療保険の適用はありません。
シニア向け分譲マンション
概要
シニア向け分譲マンションは、自立した生活を送れるシニアがより充実した老後を過ごすため購入します。
入居者が高齢者に限定されるという以外は通常の分譲マンションと違いはありませんので、介護や医療サービスが必要であれば、外部サービスを利用する必要があります。
費用
他の有料老人ホームにおける入居一時金に相当するものとして、数百万円から、物件によっては1億円にも上る物件の購入費用が必要です。その後も管理費、修繕積立金、固定資産税などの定期的な支払いが必要な場合もあります。
介護や医療は外部のサービスを利用するため、介護保険、医療保険は適用されません。
軽費老人ホーム(ケアハウス)
概要
60歳以上で身寄りが無い方や、さまざまな事情で家族との同居が難しい方が入居できるのが軽費老人ホームです。一般型と介護型のふたつのタイプがあり、介護型では施設に常駐するスタッフによる介護サービスが受けられます。有料老人ホームと比べると、費用が安く抑えられることから人気が高く、入居までは長い待機期間を要する傾向があります。
費用
入居一時金は10万円から数百万円ほど、月額費用はおよそ10万円から20万円ほどです。
介護保険を適用されますが、医療保険は適用されません。
入居までの流れ
施設への問い合わせから実際の入居までは、およそ1ヶ月半から2ヶ月ほどを要します。
実際の手続きの流れは下のようになります。
1) 施設へ問い合わせ
まず、入居が可能かどうか、見学が可能かどうかを問い合わせましょう。施設は利用者が生活をする場所ですので、見学は必ずアポイントメントを取ってからにしましょう。
2) 見学
実際に施設に行ってみて、その場の雰囲気やスタッフの対応、入居者の表情など、ホームページなどではわからない情報に直接触れてみましょう。
3) 仮申し込み
希望する条件に合致する施設があった場合、仮押さえの申し込みをします。
仮押さえができる期間は おおむね1ヶ月程度です。
4) 書類提出
診療情報提供書や健康診断書などの必要書類を提出します。
5) 面談・審査
施設側による入居希望者の健康状態や要介護度合いを見るための面談と審査を受けます。健康状態などに加えて、身元保証人など金銭面の条件もチェックされます。
6) 体験入居
実際に体験入居してみて、介護を含め、食事や掃除など実際のサービスを体験します。
7) 契約・入居
全ての手続きを終えたら入居の日を待ちます。
老人ホーム・介護施設選びのポイント
老人ホームや介護施設には多くの種類があるため、施設を選ぶ際には希望する条件を必須条件と希望条件などに分け、優先順位をつけて選んでいきましょう。
特に重要なポイントとなるのは下記4つです。
・サービス
介護サービスの有無、掃除食事の用意など
・費用
入居一時金、月額料金など
・周辺環境
落ち着いて過ごせる環境か、公共交通機関へのアクセスなど
・特徴
認知症に特化している施設、レクリエーションやイベントが充実した施設など
在宅介護と施設介護の比較
ここでは、在宅介護と施設介護それぞれのメリットとデメリットを解説します。
在宅介護のメリット・デメリット
在宅介護には2つの大きなメリットがあります。 まず1つは、本人が身内と一緒に住み慣れた家で安心して暮らせるということです。そしてもう1つのメリットは、デイサービスなどの必要な介護サービスを取り入れつつ、費用を安く抑えられるということです。
在宅介護のデメリットとしては、家族にかかる負担の大きさが挙げられます。介護は本人の健康状態などによっては昼も夜も休みなく毎日必要になり、終わりの見えない介護生活は家族とってに大きな負担となります。
施設介護のメリット・デメリット
施設介護のメリットとしては、まず第一に家族の負担が大きく軽減されるということが挙げられます。また、施設でプロによる介護が受けられ、入居者同士の交流を持つことができることから、孤独感を感じにくい点もメリットです。
デメリットとしては、まず、費用が高額であることが挙げられます。また、施設の規則などに 縛られたり、他人と共同生活をする中で、本人が窮屈な思いを抱えながらの生活を強いられる恐れがあります。
まとめ
要介護者が家族にいる場合、介護の負担の軽減などを考えると、介護施設の利用も検討するべきです。要介護の度合いや本人が生活に望む事柄などにより、最適な介護施設を選びましょう。
同時に住み慣れた家で家族と一緒に過ごせる在宅介護のメリットにも目を向けてみましょう。ただ、在宅介護はどうしても家族の負担が重くなりがちであり、在宅介護を継続していくためには毎日の負担を軽減させる工夫が欠かせません。
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