介護保険制度における要介護認定とは?基準や申請の流れについて解説
作成日:2019年6月18日
親御さんが70〜80代になると、病気などもあって体が弱ってきます。近い将来に介護が必要になるかもしれないと感じている方もいるでしょう。もし介護をするのであれば、「要介護認定」についても押さえておきましょう。
この記事では、「要介護認定」の全体像や、具体的な進め方について説明します。ぜひ参考にしてください。
目次
介護保険制度における要介護認定とは?
「要介護認定」とは、介護保険サービスを受けたい人に対して、必要な介護の内容と程度を判定する制度です。
65歳を迎えると「介護保険被保険者証」を受け取りますが、保険証があってもすぐに介護保険サービスを利用できるわけではありません。最初に、市区町村の窓口に要介護認定の申請を行い、現在のレベルが「要介護」ないし「要支援」にあてはまるか、判定してもらう必要があります。
要介護認定には認定基準があり、7種類の認定区分に分かれています。申請すると、自宅訪問による聞き取り調査や主治医の意見書をもとにしたコンピューター判定と、学識経験者による認定審査会の2ステップを経て、どの認定区分にあたるかが判定されます。
要介護認定の基準
ここでは、要介護認定における判定基準について説明します。
基準を決めるためのチェック項目
要介護認定では、その人にはどのくらいの時間の介護が必要かを表す「要介護認定等基準時間」を推計します。
まず、市区町村の職員などが聞き取り調査を行い、次の5種類のチェック項目における行動レベルを確認します。たとえば、「生活機能」は食事や衣服の着脱、排泄などの行動がどの程度できるかのチェックです。
1)身体機能・起居動作
2)生活機能
3)認知機能
4)精神・行動障害
5)社会生活への適応
聞き取り調査の結果をもとに、次の5分野において介護がどのくらいの時間必要かをコンピューターが推計し、分野ごとの合計を基準時間とします。
1)直接生活介助:食事や入浴、排泄などの介護
2)間接生活介助:掃除や洗濯などの家事援助
3)問題行動関連行為:徘徊や弄便などの問題行為に対するサポート
4)機能訓練関連行為:歩行訓練などの機能訓練
5)医療関連行為:輸液管理など、診療の補助行為
要介護認定の区分
このように算出した要介護認定等基準時間をもとに、要介護認定のレベルが次の7種類のうちどれにあたるかを判定します。
レベル | 算定された要介護認定等基準時間 |
要支援1 | 25分以上32分未満 |
要支援2 | 32分以上50分未満 |
要介護1 | 32分以上50分未満 |
要介護2 | 50分以上70分未満 |
要介護3 | 70分以上90分未満 |
要介護4 | 90分以上110分未満 |
要介護5 | 110分以上 |
要支援2と要介護1における基準時間は同じですが、心身状態の分類(認知症など)が異なります。
また、要介護認定等基準時間は、介護に要する実時間ではなく、あくまで要介護認定を判定するための基準に過ぎません。
要介護認定の申請をするには
要介護認定の申請方法について説明します。
申請に必要なもの
要介護認定の申請には、次に挙げるものが必要です。
・介護保険要介護(または要支援)認定申請書
市区町村の窓口でもらえます。また、市区町村のホームページからもダウンロード可能です。申請書にはマイナンバーを記入します。
・65歳以上:介護保険被保険者証
40歳〜64歳の場合は、健康保険被保険者証が必要です。
・主治医の意見書
主治医に直接依頼するのではなく、主治医名や病院名といった必要事項の提出により、市町村から主治医に作成を依頼してくれます。
・印鑑
申請する場所
要介護認定を望む本人が居住する、市区町村の窓口に申請を行います。
窓口は、市区町村によって名称などが異なるため、市区町村のホームページや問い合わせなどをし、どこに申請すればよいかを確認しましょう。
申請を代行することもできる
基本的には本人が申請を行いますが、認知症の進行などにより本人が申請できない場合は、代わりに家族が申請することもできます。
家族がサポートできない場合は、以下の場所で代行を依頼することも可能です。
・地域包括支援センター
・居宅介護支援事業者
・介護保険施設(すでに入所している場合)
入院中の場合は、病院のソーシャルワーカーが、市区町村の介護保険窓口などに連絡して代行することもできます。
要介護認定の認定調査
ここでは、要介護認定において、具体的にはどのように認定調査を行うのかを説明します。
訪問による聞き取り調査
まず、市区町村の職員または委託されたケアマネジャーなどが、自宅を訪問します。
本人への聞き取り調査を行い、「生活機能」など先述した5つのチェック項目における行動レベルを確認します。誰もが納得できる認定のためには、調査に家族も同席して、本人が認知症などのために自分の状況を誤って認識している点などを補足できるようにしておきましょう。
聞き取り調査の結果と主治医の意見書をもとに、コンピューターが要介護認定等基準時間を推計し、7種類のレベルに振り分ける「一次判定」を行います。
介護認定審査会による区分の判定
次に、医療や保健、福祉などの学識経験者をメンバーとする「介護認定審査会」において、一次判定の結果と主治医の意見書、聞き取り調査時の特記事項をもとに「二次判定」を行い、最終的に要介護度のレベルを判定します。
要介護認定の結果通知
要介護認定を申請してから30日以内に、認定結果が記載された「認定通知書」と「介護保険被保険者証」が郵便で送られてきます。
認定結果は、「要支援1」など先述した7区分、または「自立」のいずれかです。
認定結果には、新規認定は6ヶ月、更新認定は12ヶ月の有効期間が設定されています。
認定の効力が発生する日は、原則的には認定を申請した日です。
要介護認定は自動的に更新されず、有効期間が過ぎると介護サービスが利用できなくなる点にも注意する必要があります。
有効期間以降も介護サービスを受けたい場合は、期間満了日の前日から60日前〜満了日の間に、更新申請の手続きが必要になります。更新時にも、聞き取り調査が行われます。
認定結果に不服がある場合は、次の対応を取ることができます。
1)各都道府県の介護保険審査会に、不服を申し立てる
申し立ては、通知を受け取った日の翌日から60日以内に行わなければなりません。調査結果が出るまでに数ヶ月かかるケースもあります。
2)区分変更申請を行う
申請方法は要介護認定と同じで、申請はいつでも可能です。結果通知は30日以内に郵便で送られます。ただし、希望どおりの区分に認定されるとは限りません。
介護サービス利用の流れ
要介護認定の結果を受け取ってから、介護サービスを利用するまでの流れについて説明します。
支援センター・事業所に連絡する
認定区分によって、どこに連絡するべきかが異なります。
「自立」「要支援1〜2」と認定された場合は、連絡先は市区町村の地域包括支援センターです。住んでいる地区がどこの地域包括支援センターなのか分からない場合は、市区町村の窓口に問い合わせて紹介してもらいましょう。
「要介護1〜5」と認定された場合は、連絡先は利用したい居宅介護支援事業所です。どの事業所がよいか分からない場合は、市区町村や地域包括支援センター、主治医などへの相談も可能です。
ケアプランを作成する
介護サービスの活用に必要な「ケアプラン」は、地域包括支援センターに連絡した場合は保健師が、居宅介護支援事業者に連絡した場合はケアマネジャーが作成します。
作成にあたっては、こちらの希望を述べつつ、どのように介護サービスを活用するのがよいかを一緒に考えて作ってもらうようにしましょう。
サービス事業者と契約する
ケアプランの内容に同意したら、サービスを提供するサービス事業者と直接契約を行います。サービスの内容や費用などについての説明を聞き、最終的な確認をしましょう。
契約は本人が行い、認知症などで判断ができない場合は、選任した代理人が契約を行います。
まとめ
要介護認定を受けるには、市区町村の窓口への申請が必要です。申請後は訪問による聞き取り調査などを経て、7種類ある認定区分のどれかに判定されます。認定結果は有効期間があり、更新が必要な点にも注意しましょう。
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