老人ホーム・介護施設の費用相場とは?気になる平均額も紹介!
作成日:2022年8月30日
高齢のご家族がいらっしゃる場合、将来的に老人ホームや介護施設に入居してもらうことをお考えになっているケースが多いのではないでしょうか。
介護施設や老人ホームについて詳しくない場合、費用相場が気になるという悩みをお持ちの方も多いかと思います。
この記事では、老人ホーム・介護施設の入居費用の相場や全国の平均額、月額費用の内訳、費用の支払方法および軽減方法などを詳しく解説します。
介護施設や老人ホームに入居する場合に用意すべき資金や維持費の概要もわかりますので、ぜひ参考にしてください。
目次
老人ホームの平均の費用相場とは?
高齢の方を預かる介護施設や老人ホームには多くの種類があり、それぞれ必要とされる費用相場は異なります。
施設の種類や運営母体により、必要となる費用には大きな幅があります。
老人ホームの入居にかかる費用には、下記の2つがあります。
• 入居時に払う一時金
• 入居後毎月払う月額費用
ここでは、9種類の老人ホームについて費用相場を解説します。
民間施設の相場
まずは民間施設の費用相場について個々に解説します。
民間施設に該当するのは、次の5種類です。
• 健康型有料老人ホーム
• グループホーム
• サービス付き高齢者向け住宅
• 住宅型有料老人ホーム
• 介護付き有料老人ホーム
民間施設の場合、施設による金額の差が激しく、一概に相場に即して考えられない面がありますので、あくまでも一つの目安として参考にしてください。
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、自立した生活が可能な高齢の方向けの老人ホームです。より快適な生活を送るためのサポートを受けられます。
入居一時金が高い施設ほど、月額料金を低く設定している傾向があります。
健康型有料老人ホーム | 入居一時金 | 月額料金 |
0円~数億円 | 10万円~数十万円 |
グループホーム
グループホームは、認知症の高齢の方が少人数で共同生活を送るための施設です。
地域住民であり、要支援2以上の介護認定を受けている認知症患者が対象となります。入居一時金が100万円以上かかる施設もあります。
グループホーム | 入居一時金 | 月額料金 |
0円~数百万円 | 15万円~十数万円 |
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、「高齢者住まい法」に規定されている、原則として水回りや収納など住宅の各機能を備えたバリアフリー仕様の施設です。
安否確認も行われます。一般的に賃貸契約の施設が多く、入居一時金には敷金・礼金が該当します。
サービス付き高齢者向け住宅 | 入居一時金 | 月額料金 |
0円~数十万円 | 10万円~30万円 |
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、要介護度が低いか自立している高齢の方がメインのホームです。
生活の質を高めて楽しく過ごすためのコミュニティを形成しています。設備やサービス内容は施設による差が大きく、金額にもばらつきがあります。
住宅型有料老人ホーム | 入居一時金 | 月額料金 |
0円~数億円 | 10万円~30万円 |
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、要介護の65歳以上の高齢の方を対象とした施設です。
そのため、費用相場としては一般的に高めの傾向です。行政による規定があり、サービス水準にも安心感があります。
介護付き有料老人ホーム | 入居一時金 | 月額料金 |
0円~数千万円 | 15万円~35万円 |
公的施設の相場
次に、4種類ある公的施設の費用相場について解説します。
• ケアハウス
• 介護療養型医療施設
• 介護老人保健施設
• 特別養護老人ホーム
ケアハウス
ケアハウスは、軽費老人ホームとも呼ばれ、介護サービスの有無で一般型と介護型に分かれます。
所得によって、費用の軽減がある点が特徴のひとつです。介護型の方が入居時の一時金が多い傾向にあります。
ケアハウス | 入居一時金 | 月額料金 |
数十万円~数百万円 | 数万円~30万円 |
介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は、その名のとおり医療施設として設置されているため、常勤医師や看護師による手厚い医療サービスを受けられます。
対象は65歳以上の要介護1以上の認知を受けた方です。各種条件によって費用が大きく変わる可能性があります。
介護療養型医療施設 | 入居一時金 | 月額料金 |
0円 | 8万円~15万円 |
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、退院から自宅療養に移る段階のリハビリ生活に主眼を置いた施設です。
要介護1以上の認定を受けた65歳以上の方を対象としています。
一時的なホームとしての性格から、居住に関しては病院に似た施設といえ、相部屋だと費用を抑えられます。
介護老人保健施設 | 入居一時金 | 月額料金 |
0円 | 8万円~15万円 |
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、9種類あるホームの中でも人気の高いホームです。
その理由は、費用負担が軽いにもかかわらず受けられるサービスが比較的充実している点にあります。
待機人数が多く、入居者の状態による優先度もあるため、費用の相場よりも簡単には入れないことの方がさらに問題といえます。
特別養護老人ホーム | 入居一時金 | 月額料金 |
0円 | 6万円~15万円 |
全国の老人ホームの費用相場
全国の老人ホームの費用相場は、入居一時金が95.1万円、月額料金が15.2万円です。
ただし老人ホームによって、入居一時金がかからなかったり、費用が安く抑えられたりするケースもあります。
入居一時金 | 月額料金 |
95.1万円 | 15.2万円 |
東京の老人ホームの費用相場
東京都における老人ホームの費用相場は、入居一時金が415.7万円、月額料金が24.9万円です。
全国の相場と比較すると、入居一時金が約4.4倍、月額料金は約1.6倍です。
日本の首都である東京の物価指数は全国で最も高い値であり、「住居」に関しては特に高い平均値となっています。それが、老人ホームの費用にもつながっています。
入居一時金 | 月額料金 |
415.7万円 | 24.9万円 |
神奈川県横浜市の老人ホームの費用相場
神奈川県横浜市における老人ホームの費用相場は、入居一時金が185.4万円、月額料金が19.4万円です。
全国の相場と比較すると、入居一時金が約1.9倍、月額料金は約1.3倍です。
神奈川県横浜市の物価は東京都とほぼ同水準で、「住居」費用は全国平均と比較して高い傾向にあります。
そのため老人ホームの費用に関しても、東京都よりは安くなるものの、近隣県と比較すると高額です。
入居一時金 | 月額料金 |
185.4万円 | 19.4万円 |
大阪府の老人ホームの費用相場
大阪府における老人ホームの費用相場は、入居一時金が64.8.万円、月額料金が14.7万円です。全国平均よりも下回る結果となっています。
大阪府では「住居」費用も含めて物価がそれほど高くないので、老人ホームの費用も比例して比較的安いのが特徴です。
入居一時金 | 月額料金 |
64.8万円 | 14.7万円 |
老人ホームの月額費用の内訳
介護施設や老人ホームに入居するためには、入居一時金と月額費用の2つの費用がかかります。
しかし、なかには入居一時金支払いの必要のない施設や、介護保険が適用される施設もあります。
例えば、公的施設である特別養護老人ホームの場合は、入居一時金を支払う必要はありません。
入居後にかかる毎月の費用相場は、老人ホームの種別や老人ホームのサービス内容によって違いがあります。
老人ホームの月額費用の内訳としては、以下が挙げられます。
居住費
居住費とは家賃に相当するものです。公的施設の費用は一律で決まっています。
一方、民間施設では施設によって費用相場が異なります。老人ホームの立地や設備、グレード、医療サービスの有無によって様々です。
食事に関する費用
食事に関する費用には、1日あたり3食の食事代金が含まれるのが一般的です。
公的施設では所得に応じて1日あたりの負担額が定められています。一方民間施設においては、各施設で食材費や人件費などを勘案して定められます。
施設介護サービス自己負担額
施設介護サービス費は、生活するために必要な費用です。介護保険により助成金が支給されるので、全額自己負担する必要はありません。
要介護度に応じた自己負担額を、定額で施設へ支払うことになります。
サービス加算費
老人ホームによっては、基本的な施設介護サービスに加えて、独自のサービスを提供している場合もあります。
例えば栄養管理や口腔衛生の強化、認知症向け設備の整備など認可を受けたサービスに対して、「サービス加算」として月額費用に加算されることがあります。
上乗せ介護費
介護施設や老人ホームにおいては「入居者3人に対して介護職員が3人必要」という人員配置基準が介護保険法で定められています。
そして、その配置基準以上に介護職員や看護師を配置している場合には、「上乗せ介護費」としてその費用を追加請求されることがあります。
管理費・運営費
管理費・運営費に含まれる項目は、施設により内訳が異なります。
よくある項目としては、光熱費や水道代、事務にかかる費用などが挙げられます。
その他、レクリエーション費用などもこの項目に含まれる老人ホームもあるため、あらかじめ内訳を確認しておくとよいでしょう。
日用品にかかる費用
日用品にかかる費用には、ティッシュペーパーや石けん、歯ブラシなど身の回りの消耗品代金が含まれる場合が多くなっています。
おむつ代については、公的施設では自己負担に該当しませんが、民間施設の場合は自己負担の費用に含まれます。
医療費
持病や急病、けがをした時などに施設外の医療機関を受診したり、往診医の診療を受けたりした際には医療費を自己負担することとなります。
医師が常駐していない老人ホームでは、提携病院の医師による診断を受けます。
介護施設・老人ホームの利用料支払方法
ここでは、介護施設や老人ホームの利用料の支払い方法について解説します。支払い方法は4種類あります。
• 月払い
• 入居一時金方式
• 一時金方式
• 全額前払い
それぞれにメリットとデメリットがあり、ご家族のかたちや、費用の元手などにより向いている方法が変わります。
自分の家族の場合はどの方法がよいのか、参考にしてください。
月払い方式
月払い方式とは、入居期間中に必要な賃料やサービス料といった毎月かかる費用をその都度支払う方式です。
分割にした入居一時金を含む方法もあります。入居している間は支払いが続きます。
月払い方式のメリット
月払い方式は、入居時に必要な初期費用が少なくなるのがメリットです。
また入居中に室料の値下げがあれば、毎月の支払い金額が下がることが期待できます。
月払いであれば短期間の利用もしやすいので、他の施設への入居待ちのようなケースにおいての利用が考えられます。
月払い方式のデメリット
入居している間は毎月支払いの必要があること、入居途中に利用料が値上がりすると対応しにくいことがデメリットです。
支出の見通しが立てにくく、将来的な予算が組みにくいという問題もあります。
入居一時金方式
入居時に一定期間分の家賃を前払いする方式です。入居期間中に必要な費用の一部をまとめて支払い、残りは月々支払っていきます。
入居一時金方式のメリット
一部前払い方式では、償却期間が終了する前に退去した場合には、未償却分として返還金が受け取れるのがメリットです。
償却期間は、一般的に約5年〜15年で設定されています。
入居一時金方式のデメリット
月払い方式よりも毎月の費用が抑えられますが、一時金方式よりは高額になるケースが多いのがデメリットとなり得ます。
また未償却分の返還をメリットとして挙げましたが、老人ホームによっては入居一時金の一部または全部を、初期償却として入居時に償却する場合もあるので注意が必要です。
一時金方式
一時金方式とは、入居の全期間で必要な費用を全額一括で前払いする方式です。老人ホームの家賃等を、入居時に前払いするということです。
長期間老人ホームに住むことが予測される場合には費用が安く抑えられます。
一時金方式のメリット
入居前に入居中に必要となる費用の支払いが済んでいるため、入居後の予算計画が立てやすいことがメリットです。
支払った一時金については償却期間や償却率が前もって設定されており、期間前に退去することになった場合は償却されていない残額が戻ってくることも利点です。
一時金方式のデメリット
介護施設や老人ホームでは、入居後に月額費用が引き下げられることがあります。
一括前払いした場合、支払い済み賃料と引き下げられた賃料の差額が戻ることがないのが、デメリットと言えます。
全額前払い
将来にわたる費用も含めて、老人ホームへの入居時にすべての費用を一括で支払う方法です。
全額前払い方式では、居住する想定期間の家賃相当を入居金とします。
全額前払いのメリット
老人ホームへの入居期間中に掛かる費用をすべて前払いしているため、毎月の支払いは不要です。
そのため月々の費用負担が軽減される点がメリットとなります。トータルコストが抑えられるケースが多くなっています。
全額前払いのデメリット
老人ホームへの入居時にすべてを支払うため、費用が高い施設の場合には入居時のハードルが高くなります。
基本的にはトータルコストが抑えられますが、途中で老人ホームの月額費用が値下げされた場合にそれが反映されない点には注意が必要です。
老人ホームの費用を抑える方法
続いて、決して安いとはいえない老人ホームの費用を抑える方法を解説します。
老人ホームの選び方や費用の支払い方法が重要ポイントとなります。
以下を参考にしていただき、老人ホームの費用を少しでも安く抑える方法を検討してみてください。
公的施設に入所する
公的施設の場合、ケアハウスを除いて入居一時金が必要ありません。
また、月額料金についても民間施設より比較的低い金額になっています。入居には条件はありますが、公的施設に入れないか検討してみることは有効です。
地方の老人ホームに入所する
老人ホームの費用の中で、施設そのものの運用にかかる部分がかなりのウエイトを占めます。地価の高い都市部ならなおさらです。
地方は、地価、人件費やその他の物価も都市部に比べると安いことが多く、地方の老人ホームを選べば、費用を抑えられる可能性が高くなります。
個室より安い相部屋を選ぶ
同じ老人ホームを利用する場合でも、居室を個室にするのと相部屋にするのとでは費用相場が大きく異なります。
どうしても個室でなければならないケースでは仕方ありませんが、相部屋を選択することで費用を抑えることが可能です。
ただし、同室の入居者との相性や生活音などの問題が生じる可能性もあわせて考慮しておきましょう。
入居一時金のない施設を選ぶ
数十万円から施設によっては数百万円以上もかかる入居一時金は、年金生活者など経済的に余裕のない方には大きな負担です。
その場合は、入居一時金のない施設を選ぶことがポイントです。
入居一時金のない老人ホームといえば公的施設が思い浮かびますが、民間施設にも入居一時金がない施設は多数あります。
入居一時金を一括で払う
高額な入居一時金を毎月の分割払いにする方法がありますが、注意したいのは、その分だけ総負担額が増加するケースです。
支払い方法の設定は施設によって異なりますが、一括払いが可能で資金の問題もなければ一括での支払いを検討することで、割高な分割より負担を抑えられます。
介護施設・老人ホームの費用のまとめ
介護施設や老人ホームの費用相場についてご紹介しました。老人ホームにはいくつもの種類がありますが、毎月の費用負担を考えると年金だけで入るには難しい面があります。
負担を減らすためには、入所する介護施設や老人ホーム選びが重要です。
公的施設や地方の老人ホーム、入居一時金のない施設、あるいは個室より安い相部屋を選択するとよいでしょう。
入居一時金を一括で払うことで、トータルの費用を抑えるのも方法の一つです。
本記事を参考にしていただき、費用を抑えるための対策を考えてみましょう。