グループホームとは?認知症でご高齢の方が入居できる施設の選び方
作成日:2019年8月10日
ここ最近、自分の両親、もしくは祖父母の認知症の症状が進行してきたのでは、と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
認知症でご高齢の方が入居できる施設を探している方におすすめなのが、グループホームです。この記事では、グループホームのサービス内容・費用相場・入居条件・選び方などを解説します。
目次
認知症の入居施設:グループホーム
日本の介護保険制度において、グループホームとは、認知症高齢者の方が少人数で共同生活をおくることができる地域密着型の施設を指します。住み慣れた地域で生活を続けることができるので、認知症の進行を遅らせる効果もあるといわれています。
もともとは、障とく者が共同生活をしながら自立生活を目指す目的で作られたサービスでしたが、現在では主に認知症高齢者の方対応の施設を指すことが多くなっています。認知症介護の知識・技術のあるスタッフがそろっているので、ご家族も安心です。
認知症の現状
認知症は、加齢により発症のリスクが高まり進行する、誰にでも起こりうる症状です。厚生労働省によると、2012年時点での日本の認知症患者数は約462万人であり、今後高齢化が進むにつれ認知症患者数が増加し、2025年には700万人前後に増加すると推測されています。
なお、若年性認知症に対応しているグループホームもありますが、ご高齢の方との生活に馴染めず退去する方も存在するため、グループホームの多くはご高齢の方が対象となっていることがほとんどです。
参考:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要|厚生労働省
有料老人ホームとの違い
グループホームは認知症高齢者の方のための施設で少人数制です。有料老人ホームは認知症以外のご高齢の方も入居しています。有料老人ホームは100名以上の方が入居している大規模な施設もあり、集団との生活が苦手な方は適応できない可能性があります。
グループホームのサービス内容
グループホームで受けられるサービス内容を説明します。
自立した共同生活を送るための支援
認知症の方は環境の変化が苦手なため、グループホームは少人数での共同生活・家庭に近い環境・地域社会との連携を重視しています。入居者は、住み慣れた地域から離れずにすむので、安心して生活を続けられます。
食事や掃除などもできる事は自分たちで行い、自立した生活を送ることで認知症の進行を遅らせられます。ケアスタッフがご高齢者の生活を援助するために付き添います。音楽療法や園芸療法など、認知症に効果が期待されるレクリエーションも充実し、入居者は心健やかな生活が送れます。
食事・入浴・排泄など日常生活の介護
グループホームでは、食事、入浴、排泄などの日常生活における介護を行います。食材の買い物・食事の準備・部屋の掃除などの生活支援も行います。この他、イベント・通院の付き添い・緊急時の対応なども行います。
認知症の緩和ケア
認知症の進行を遅らせる緩和ケアも、グループホームのサービスのひとつで、認知症ケアの知識・経験が豊富な職員が常駐しています。自立した生活や地域との交流を通して、生活に適度な刺激を与えることで、認知症の進行を遅らせられます。
グループホームの費用相場
グループホームにかかる費用には、初期費用と月額費用の2種類があります。初期費用は30~50万円、多くて100万円を見積もっておくといいでしょう。月額費用は、家賃・管理費・食費・介護サービス費として使われます。介護度によって月額費用が異なるため、15~30万円くらいを見積もっておきましょう。
初期費用は、入居時一時金と保証金の2種類があります。入居時一時金は、償却され、退去時に未償却分があれば返金されます。保証金は、退去時に部屋の清掃・修繕費として使用され、残金があれば返金されます。かかる費用は施設により異なるので、ケアマネジャーや施設に確認することをおすすめします。
グループホームに入居できる条件とは
グループホームの入居条件を説明します。
入居できる方とは
グループホームに入居できる方は、医師から認知症の診断を受けた65歳以上の方に限られます。さらに、要支援2・要介護1~5の方であること、グループホームと同じ地域の住民票の登録をしていること、共同生活ができること、感染症にかかっていないことも入居条件です。
要支援1の方は入居できません。
ペットも入居できる
最近は、ペットもいっしょに入居できるグループホームが増加しています。ペットとのふれあいにより、認知症の進行が遅らせられる効果があることが期待されているためです。認知症高齢者の方が高齢のペットを介護する老々介護のケースも増えています。
生活保護受給者の入居
生活保護受給者が、グループホームに入居することは可能です。食費などの負担は必要ですが、国が生活保護受給者に対し、1人あたり月額1万円を上限に家賃補助を行っています。ただし、生活保護受給者が入居できるグループホームは、生活保護法の指定を受けているグループホームに限られます。
参考:グループホーム・ケアホーム利用の際の家賃助成に係るQ&A |厚生労働省
グループホームに入居するメリット
グループホームに認知症高齢者の方が入居するメリットを説明します。
認知症の症状進行が緩やかになる
認知症ケアの専門スタッフが、普段どおりの生活ができるように支援してくれるので、認知症の症状進行が緩やかになります。入居者はすべて認知症の方なので、自分の症状を理解してもらいやすい環境と言えます。
入居者が少なくアットホームな雰囲気である
グループホームは入居者・スタッフ共に少人数なので、入居後わずかな期間で顔なじみとなり、アットホームな雰囲気で生活できます。認知症の方は環境の変化に対応するのが得意ではなく、規模が大きい施設での生活は大きな負担となることが多いです。
ずっと住んでいる地域で暮らせるので安心
グループホームは地域密着型サービスのため、自分がずっと暮らしてきた地域で生活できるので安心できます。施設内では家事なども自分で行えるため、自宅にいる感覚を保てるのもメリットといえます。
グループホームに入居するデメリット
グループホームに入居するデメリットを説明します。
施設内での医療ケアが受けられない
グループホームは医療スタッフを配置する義務がありません。そのため、施設内で医療ケアを受けることができないのがデメリットです。入居希望の認知症の方が医療ケアの必要な病気にかかっている場合は入居できません。
入居中に医療ケアの必要な病気になると退去しなければならないこともあります。
満室ですぐに入居できないことが多い
グループホームは、定員が少ないため常に満室で、すぐに入居できないことが多いです。認知症高齢者の方が対象で、少人数制のため、施設内の部屋数が少ないです。認知症の症状や・介護レベルが進み在宅での介護ができなくなる前に、入居の申し込みをしておく必要があります。
住民票がないと入居できない
グループホームがある地域に、自分の住民票がない方は入居できません。認知症の方が「ずっと暮らしてきた地域で」生活できるように配慮された施設のため、その地域に住んでいることが入居の条件となっています。入居のためだけに住民票を移すことを防止するため、住民票を取得してからの期間を問われる場合もあります。
グループホーム:施設の選び方
グループホームは施設によって特色があります。ここでは、グループホームの選び方を説明します。
生活の様子・職員の対応を下見する
グループホームを選ぶ際は、下見を行い雰囲気や入居者の生活の様子・職員の対応を観察しましょう。イベント・会議を開催しているグループホームが多いので、積極的に参加することをおすすめします。高齢のご家族もいっしょに参加し、納得のいく施設を選びましょう。
下見の際には、居室や食事、入居後の面会の可否・月額費用の内訳なども確認しておくとよいです。
自宅での介護が難しくなる前から施設を探しておきましょう
自宅での介護が難しくなる前から施設を探しておくことをおすすめします。グループホームは定員が少ないため、入居を希望しても、すぐに入居できないことが多いです。自宅で介護ができているうちから、施設を探し、入居の申し込みをしておきましょう。
転居の条件を確認しましょう
グループホームは施設によって、介護度が高い方には対応していない場合があります。看取りまで対応しているか、介護度が上がると転居しなくてはいけないかなどを確認しておきましょう。
グループホーム入居までの流れ
グループホームに入居するまでの流れを説明します。
問い合わせ
まず入居希望の施設に問い合わせをします。電話で問い合わるか、インターネットから資料請求をしましょう。入居条件を満たしているか、施設を見学ができるかなどを確認しましょう。
ホーム見学
実際にグループホームに行き見学します。複数のグループホームの見学を行い、比較検討することで、よりよい施設を見つけられます。入居予定のご家族といっしょに見学するとよいでしょう。見学時には、ホーム内の雰囲気や入居者の生活状況・職員の表情・態度をよく観察することをすすめします。
居室・食事内容・入居後の面会の可否・必要費用なども必ず確認しておきましょう。
診断書作成
グループホームに入居する際には、認知症の診断書と介護認定が必要です。医師に認知症の診断書の記載を依頼し、市町村で介護認定を受けましょう。
入居申し込み
グループホームのスタッフから説明を聞き、よく検討した上で入居の申し込みを行いましょう。
本人との面会
入居予定のご家族が施設に行き、スタッフと面会します。施設の雰囲気などを実際に体験し、入居しても大丈夫かを本人が確認しましょう。体験入居が可能な場合は、実際に宿泊してみることをおすすめします。
入居審査
グループホーム側が、入居条件を満たしているかの審査を行います。担当スタッフが直接自宅を訪問し、身体の状況などについて審査します。
契約
グループホームと入居契約を結びます。契約時にはプラン内容・費用・退去要件について確認することになります。契約に必要な書類や支払い手続きもあるので、必要なものは事前に確認して準備しておきましょう。
初期費用等支払い
入居前に、初期費用と1か月分の月額費用の支払いを行います。
入居
グループホームに入居します。施設には、自分が使っていた家具などが持ち込めます。
グループホームの選び方まとめ
グループホームは認知症高齢者の方のための施設です。自立した共同生活を送るための支援や認知症を遅らせるための様々なサービスを提供してくれます。入居を希望する際は、入居条件を確認した上で、高齢のご家族にあった施設を選んであげましょう。複数のグループホームに問い合わせをし、下見を行うことをおすすめします。
グループホームは少人数制のため、すぐに入居できないこともあります。入居できるまで在宅介護が必要になった際は、ご家族の負担を減らすために「まごころ弁当」などの手軽なサービスを利用することをおすすめします。無料で試食もできるので、お気軽にお問い合わせください。
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