年金が受給される年齢とは?手続きから金額まで解説
作成日:2019年8月10日
私たちの老後の生活の支えとなるのが年金です。テレビニュースやインターネットの記事などでも、たびたび話題になります。しかし、自分が将来、実際にどれくらいの年金をもらえるのか、何歳になればもらえるかきちんと知っている方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
この記事では年金の種類や受給可能な年齢、もらえる金額の計算方法まで解説します。年金についての不安や悩みを払拭していきましょう。
年金の種類を知ろう
まずは加入している年金の種類について理解しましょう。公的年金は国内に住所があれば加入が義務付けられているもので、国民年金と厚生年金の2種類があります。
国民年金
国民年金は日本国内に住所をもつ20歳以上60歳未満の全ての人が加入します。また、次の3つに分類されます。
・第1号被保険者:農家の方、学生、フリーター、無職、個人事業主など
・第2号被保険者:厚生年金保険の適用を受けている事業所に従事する方(65歳以上の老齢年金を受ける方を除く)
・第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の方(年収が130万円以上で健康保険の扶養とならない方を除く)
加入期間は40年が満期となり、原則、40年間保険料を支払います。国民年金の保険料は令和元年度で16,410円です。
厚生年金
厚生年金に加入できるのは、厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤めている方です。一般的な会社員や公務員が対象となります。就業規則などで定められた所定の労働時間と労働日数の4分の3以上を満たす70歳未満の方が加入対象です。
厚生年金は加入年齢に下限がありません。未成年者も条件を満たすと加入できます。保険料は毎年4月から6月の給与をもとに計算して、従業員と事業所が折半して支払います。また、厚生年金は国民年金の第2号被保険者に該当するため、国民年金に自動加入となります(年齢を満たしている場合)。
老齢基礎年金
老齢基礎年金とは、国民年金に加入して保険料を納めてきた方が受け取れる年金です。加入期間に応じた年金額が計算されて、受給となります。
国民年金の加入期間は40年間ですが、保険料の納付を免除されたり減額されたりすると受給額は減っていきます。
老齢厚生年金
老齢厚生年金とは、厚生年金に加入して保険料を納めてきた方が受け取れる年金です。ほとんどの場合で、厚生年金と国民年金は同時に加入します。そのため、受給の際は老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受け取ることが多いです。
また、移行措置があり支給開始を早めることもできます。男女により受給年齢が違うものの、報酬比例部分を早期に受け取ることが可能です。報酬比例部分は、厚生年金の加入期間と報酬によって決まります。
年金が受給できる年齢とは
長年、保険料を支払うことを考えると、気になるのは受給開始年齢です。基本的に受給年齢は決まっていますが、繰り上げや繰り下げして受け取ることもできます。
基本的には65歳から支給
老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給は基本的に65歳からです。65歳の誕生日前日の翌月分から支給されます。たとえば、1955年7月26日生まれの方は2020年8月分から、1955年4月1日生まれの方は2020年4月分から受給可能です。以前の受給対象は60歳でしたが受給年齢が引き上げられています。
男女で受給開始の年齢は変わる
男女で受給開始年齢が異なるのは、老齢厚生年金の報酬比例部分です。報酬比例部分は60歳になると受給が可能です。
受給額は厚生年金の加入期間と報酬から計算します。そのため、長期間加入した方と途中で退職した方では受給額に差が出てきます。受給開始年齢は男女で異なり、生年月日でも受給できる年齢が違ってきます。
受給可能年齢 | 対象生年月日(男性) | 対象年月日(女性) |
60歳 | 1941年4月2日~1953年4月1日生まれ | 1946年4月2日~1958年4月1日生まれ |
61歳 | 1953年4月2日~1955年4月1日生まれ | 1958年4月2日~1960年4月1日生まれ |
62歳 | 1955年4月2日~1957年4月1日生まれ | 1960年4月2日~1962年4月1日生まれ |
63歳 | 1957年4月2日~1959年4月1日生まれ | 1962年4月2日~1964年4月1日生まれ |
64歳 | 1959年4月2日~1961年4月1日生まれ | 1964年4月2日~1966年4月1日生まれ |
報酬比例部分は表を参考に受給年齢を検討しましょう。
繰り上げで受け取る場合
公的年金は、一定の条件を満たせば、1ヶ月単位で最大満5年間繰り上げができます。なお、老齢厚生年金の繰り上げは、老齢基礎年金とセットで行われます。老齢基礎年金を繰り上げ受給できる方は、60歳以上で受給資格期間である25年以上を満たす必要があります。老齢厚生年金の繰り上げ受給の条件は次のとおりです。
・受給資格期間が25年以上
・男性は1961年(昭和36年)4月1日以前に生まれた方
・女性は1966年(昭和41年)4月1日以前に生まれた方
・年齢が60歳以上
また、受給年齢を繰り上げるため、老齢基礎年金の受給額の減額があります。老齢基礎年金の減額率は1941年4月1日以前に生まれた方と1941年4月2日以降に生まれた方で異なります。
最初に1941年4月1日以前に生まれた方の減額率を示します。
請求時の年齢 | 減額率 |
60歳0ヶ月〜60歳11ヶ月 | 42% |
61歳0ヶ月〜61歳11ヶ月 | 35% |
62歳0ヶ月〜62歳11ヶ月 | 28% |
63歳0ヶ月〜63歳11ヶ月 | 20% |
64歳0ヶ月〜64歳11ヶ月 | 11% |
続いて、1941年4月2日以降に生まれた方の減額率です。(単位は%)
請求時の年齢 | 0ヶ月 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | 6ヶ月 | 7ヶ月 | 8ヶ月 | 9ヶ月 | 10ヶ月 | 11ヶ月 |
60歳 | 30.0 | 29.5 | 29.0 | 28.5 | 28.0 | 27.5 | 27.0 | 26.5 | 26.0 | 25.5 | 25.0 | 24.5 |
61歳 | 24.0 | 23.5 | 23.0 | 22.5 | 22.0 | 21.5 | 21.0 | 20.5 | 20.0 | 19.5 | 19.0 | 18.5 |
62歳 | 18.0 | 17.5 | 17.0 | 16.5 | 16.0 | 15.5 | 15.0 | 14.5 | 14.0 | 13.5 | 13.0 | 12.5 |
63歳 | 12.0 | 11.5 | 11.0 | 10.5 | 10.0 | 9.5 | 9.0 | 8.5 | 8.0 | 7.5 | 7.0 | 6.5 |
64歳 | 6.0 | 5.5 | 5.0 | 4.5 | 4.0 | 3.5 | 3.0 | 2.5 | 2.0 | 1.5 | 1.0 | 0.5 |
※左右にスクロールします。
1941年4月2日以降に生まれた方については、60歳0ヶ月の30.0%から1ヶ月単位で0.5%ずつ減額率が少なくなります。
繰り下げで受け取る場合
年齢を繰り上げるだけではなく、繰り下げての年金受給も可能です。基本的に65歳になってから受給しますが、66歳以降70歳までの期間で繰り下げができます。受給年齢を繰り下げると、年金額が増えます。
請求時の年齢で増額率が設定されていますので、以下をご覧ください。老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに同じ増額率です。
・66歳0ヶ月〜66歳11ヶ月:8.4%〜16.1%
・67歳0ヶ月〜67歳11ヶ月:16.8%〜24.5%
・68歳0ヶ月〜68歳11ヶ月:25.2%〜32.9%
・69歳0ヶ月〜69歳11ヶ月:33.6%〜41.3%
・70歳0ヶ月〜:42.0%
老齢基礎年金について、1941年4月1日以前に生まれた方は増額率が異なります。
・66歳0ヶ月〜66歳11ヶ月:12%
・67歳0ヶ月〜67歳11ヶ月:26%
・68歳0ヶ月〜68歳11ヶ月:43%
・69歳0ヶ月〜69歳11ヶ月:64%
・70歳0ヶ月〜:88%
繰り上げ受給に注目しがちですが、受給年齢を先にすることで老後資金に有効になるでしょう。
年金の支給金額はどのくらいか
受給開始年齢だけではなく、支給される金額も気になるでしょう。ここからは、年金の受け取り金額について計算方法などを解説します。
最新年度の平均受け取り金額
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概要 平成29年度」によれば、厚生年金保険(第1号)の平均受け取り金額は144,903円(月額)です。また、国民年金受給者の平均受け取り金額は平成29年度末現在で50,000円(月額)となります。
平成30年の月額支給例をみていくと、国民年金は64,941円、厚生年金は221,277円です。この金額は総務省の「平成29年平均の全国消費者物価指数」から公表されています。なお、厚生年金の支給例は夫婦2人分の国民年金を含んだ標準的な年金額です。
年金受給額の計算方法
年金受給額は計算方法があります。国民年金と厚生年金それぞれで違う計算式になります。国民年金受給額の計算方法は以下になります。
780,100円×加入期間(月数)(保険料納付期間)÷480
※780,100円は平成31年4月分の満額支給額
国民年金は20歳から60歳まで40年間(480ヶ月)加入すると満額もらえる計算です。一方の厚生年金は以下のとおりです。
平均月給(賞与含まず)(万円)×900×加入年数(平成15年3月まで)+平均月収(年収÷12)(万円)×660×加入年数(平成15年4月から)
少し複雑に見えますが、加入年数と平均月収がわかれば問題なく計算できます。
「ねんきん定期便」「ねんきんネット」を活用しよう
将来の年金受給額を確認するには、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」が便利です。ねんきん定期便は日本年金機構から年に1回、誕生日が含まれる月に自宅に届きます。これまでの加入記録や受給見込額の確認が可能です。35歳、45歳、59歳といった節目には全ての加入記録を確認することができます。
ねんきんネットはパソコンやスマートフォンで気軽に年金情報を確認できます。24時間、いつでも閲覧できますので上手に活用しましょう。利用するには登録が必要ですので、まずは日本年金機構のホームページから登録しましょう。
年金を受け取る手続きを忘れずに
年金を受け取るには、自ら請求する必要があります。受給年齢になれば自動的に支払われるものであはりません。年金受給の時期が来たら、最寄りの年金事務所で手続きをします。手続きには3つのものが必要です。
・戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
・受け取り先金融機関の通帳など(本人名義、コピー可)
・印鑑(認印可)
上記の必要物に加え、年金請求書の必要事項を記入して提出します。その他、条件により提出物が追加されますので、間違いのないよう確認しましょう。
年金受給についてのまとめ
多くの方が20歳になったり、会社勤めをしたりすると年金保険料を支払います。受給できるのは基本的には65歳からですが、繰り上げや繰り下げによる受け取りもできます。また、将来受け取れる年金額については計算も可能ですが、受給額を手軽に確認したいときは、ねんきん定期便やねんきんネットを活用してみましょう。
老後の生活を支える年金は誰もが気にします。しかし、老後は年金だけで生活の全てをカバーするのは難しいとも言われており、元気に生活していくための工夫も欠かせません。
健康な生活には食生活も重要です。
食生活をサポートする存在として、まごころ弁当があります。希望日を選んで宅配してもらえるので、手軽に栄養バランスのとれた食事を取り入れることができます。無料試食も行なっていますので、ぜひ、ご利用ください。