便秘の解消に役立つ食事とレシピ
作成日:2019年10月10日
便秘はその原因によっていくつかの種類に分けられます。原因によって対処の方法が異なる場合がありますが、食事についても同様です。便秘の種類別に食事のポイントとレシピを紹介します。
目次
便秘とは?症状と簡単チェック
便秘とは、何らかの原因で大腸内に便が長時間停滞し、便中の水分が必要以上に吸収されて便が硬くなり、排便の回数や量が少なくなる状態を指します。数日間排便がない、排便に苦痛がある、毎日排便があっても不快感が残っている、などの症状があらわれます。必ずしも毎日排便がなくても、良い状態の便がスッキリと出れば便秘とはいいません。
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便秘を種類に分けて考えてみる
便秘は大きく機能性便秘と器質性便秘に分けられます。機能性便秘はさらに急性便秘と慢性便秘、医原性便秘の3つに分けることができます。
急性便秘
急性便秘は、大腸の動きが鈍ることで一時的におこる便秘です。食物繊維の少ない食事や、水分の摂取不足、過剰なストレス、環境の変化など、いろいろなことが原因となっておこります。
慢性便秘
慢性便秘は、大腸内に便が留まり数日間排便がなかったり、排便に不快な症状が伴うことが日常的にある状態です。原因別に3つの種類に分けることができます
・弛緩性便秘
大腸の蠕動運動が低下して便を運ぶ力が弱くなったり、排便にかかわる筋力が低下して、便を押し出すことが困難になることが原因でおこります。便秘の中では最も多く、高齢者に非常に多い便秘です。
・けいれん性便秘
自律神経が乱れて腸の運動がひきつった状態になり、便の通りが悪くなることでおこります。下痢と便秘を交互に繰り返す症状があらわれることもあります。下剤の乱用によってもおこることがあります。
・直腸性便秘
便が直腸まで運ばれているにもかかわらず、便意を感じないためにおこる便秘です。習慣的に便意を我慢していたり、浣腸の乱用でおこることがあります。
医原性便秘
医原性便秘は、薬の副作用によっておこる便秘です。ある種の鎮痛剤や制吐剤、抗がん剤などは腸の動きを抑制したり、自律神経やホルモンに影響を及ぼすため、便秘になることがあります。
病気の治療中に便秘の症状が出た場合は、担当の医師に相談しましょう。また処方された便秘薬は指示通りに服用し、効果を医師に報告しながら排便のコントロールをしましょう。
器質性便秘とは?対処法は?
器質性便秘は腸の異常や病気が原因でおきる便秘です。基本的には原因となる病気を治療すれば治りますが、先天性の疾患が原因の場合は、排便について医師と相談し、上手にコントロールしていく方法を考える必要があります。
便秘の種類と便の性状について
便秘の種類によって、便の性状にも特徴があらわれることがあります。
良い便とは、どんな便?
良い便とはバナナのような形状で黄褐色や茶褐色、においは強くなく、水に浮くのが理想的です。長時間いきむことなく、するりと気持ちよく出るのが理想的な便です。
便の性状と便秘の関係
便秘の種類によって特徴的な便の性状があります。
弛緩性便秘の場合は、腸の蠕動運動低下や筋力の低下によって、便を押し出す力が弱くなることで便が大腸内に長く留まります。そのため便中の水分が余計に吸収されることで、硬い便になります。
けいれん性便秘の場合は腸の運動が不規則に乱れるため、ウサギの糞のようなコロコロとした小さく硬い便が出ます。
直腸性便秘では、便が直腸まで運ばれていて、直腸付近に詰まったような状態であるため、太くて硬い便が出ます。
便の性状と腸の疾患
鉛筆ほどの細い便が出る場合は、腸の一部が閉塞していて、便が通りにくくなっている可能性があります。腸閉塞や大腸がんの可能性も疑われます。またコロコロとした硬い便と下痢を交互に繰り返している場合は、過敏性腸症候群の可能性もあります。他にも便に血液や粘液が混ざっていたり、黒っぽい便や灰白色の便が出るなどの場合は自己判断で便秘薬を使用せずに、医療機関を受診しましょう。
医原性便秘、器質性便秘の場合、治療の過程で便秘が予想されるときには、医師があらかじめ便秘薬を処方することがあります。医師の指示に従って服用し、排便の状況について医師に報告しながら排便コントロールをしていきます。
便秘の種類別、食事と生活のポイント
便秘の種類によって、食事と食生活について注意するポイントが異なります。
便秘の種類 | 特徴 | 食事と生活のポイント | |
急性便秘 | さまざまな原因で一時的におこる便秘。 | ・食物繊維を十分に摂る。 ・水分を十分に摂る。 ・発酵食品を摂る。 ・良質の油脂を適量摂る。 ・朝食を抜かない。 ・決まった時間にトイレに行く。 ・適度な運動を心がける。 | |
慢性便秘 | 弛緩性便秘 | 大腸の蠕動運動が弱くなったり、筋力の低下によっておこる。 | |
直腸性便秘 | 便意が脳に伝わらないためにおこる。 | ||
けいれん性便秘 | 自律神経の乱れなどによって腸の運動に問題が生じることでおこる。 | ・水溶性食物繊維を十分に摂る。 ・刺激性の食品は控える。 ・物理的刺激を控える。 ・脂質を摂り過ぎない。 | |
医原性便秘 | 薬の副作用によっておこる。 | 排便状況を医師に相談し、指示を受けましょう。 | |
器質性便秘 | 腸の病気など腸自体の問題でおこる。 |
それぞれのポイントを参考にしながら、バランスの良い食事を心がけましょう。
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急性便秘、弛緩性便秘、直腸性便秘の食事のポイント
1.食物繊維を十分に摂る
食物繊維は便の量を増やします。野菜類には食物繊維が豊富に含まれていますが、特にゴボウやレンコンなどの根菜類やきのこ類には不溶性の食物繊維が多く含まれます。
野菜類やいも類の中でも粘りのあるものや海藻類には、水溶性の食物繊維が多く含まれます。大豆製品やいも類は食物繊維を多く含むだけではなく、腸管内で発酵しやすく、大腸の運動を促進するので積極的に摂りましょう。
2.水分を十分に摂る
十分に水分を含んだ便はやわらかく、大腸内をスムースに移動することができます。せっかく食物繊維を積極的に摂っても、水分が不足していると食物繊維の効果も十分に発揮されません。
3.適度な油脂を摂る
油脂に含まれる有機酸は、大腸を刺激して蠕動運動を促進します。動物性の脂に偏らないように、良質の油脂を摂りましょう。
4.発酵食品を摂る
ヨーグルトや納豆、ぬか漬けなどの発酵食品を意識して摂りましょう。腸内細菌のバランスが整い便秘の解消に役立ちます。
5.オリゴ糖を摂る
オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなります。オリゴ糖はリンゴやバナナなどの果物や野菜にも含まれています。
6.適度に香辛料をとり入れる
適度な香辛料の使用は腸の蠕動運動を促進します。
急性便秘、弛緩性便秘、直腸性便秘の解消レシピ
朝食は便秘を改善するためにとても重要です。朝食を摂る習慣のない人は、簡単にすぐ食べられるものから始めましょう。
腸内細菌の善玉菌を含むヨーグルトと、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を含むフルーツを一緒に摂ることは、腸内環境を整えるためにはとても効果的です。
<フルーツヨーグルト>
材料(1人分)
バナナ 1本
リンゴ 1/6個
ヨーグルト 100ml
砂糖 好みの量(入れなくても可)
作り方
1.バナナとリンゴをひと口大に切って、器に入れます。
2.バナナとリンゴにヨーグルトをかけて完成です。
※ 甘味を足す場合は、はちみつかオリゴ糖を加えるとさらに効果的です。
※ フルーツはお好みのものに代えても大丈夫です。
みそ汁は便秘解消に適した料理のひとつです。みそは発酵食品であり、腸内環境を整えるために効果的です。いろいろな食材を具に使うことでバリエーションも広がり、毎日続けることができます。
<根菜みそ汁>
材料(2人分)
だし汁 300~400ml
酒 20ml
ごぼう 10g
れんこん 10g
大根 20g
にんじん 10g
長ねぎ 10g
生しいたけ 20g
みそ 大さじ1.5
かつお節 ひとつまみ
作り方
1.ごぼうはたわしでよく洗い、半分に割ってから斜めの薄切りにして水にさらします。
れんこんは皮を剥いて食べやすい大きさのいちょう切りにして水にさらします。
2.大根とにんじんはよく洗って食べやすい大きさのいちょう切り、長ねぎは斜め切り
にします。しいたけは軸を取って食べやすい大きさのスライスにします。
3.鍋にだし汁と酒、切った材料を入れて、やわらかくなるまで煮ます。
アクが出た場合はすくいましょう。
4.野菜が煮えたら、みそを溶かします。
5.お椀によそって、かつお節を盛って完成です。
※ 他にもお好みの野菜で、バリエーションが広がります。
※ 仕上げにごま油を少し加えるとコクが出ます。
おからにはとてもたくさんの不溶性食物繊維が含まれ高い保水性があるので、便の量を増やす効果があります。オリゴ糖も含まれているため、腸内環境を整える働きも期待できます。
<おから入り鶏つくね>
材料(2人分)
生おから 100g
鶏ひき肉 100g
卵 1個
ごま油 小さじ1
豆乳 適宜
ニラ 1/2束
長ねぎ 10㎝
おろししょうが 少量
塩 ひとつまみ
作り方
1.ニラと長ねぎは刻んでおきます。
2.豆乳以外の材料をボールに入れてよく混ぜます。
3.全体がよく混ざり粘りが出たら、豆乳でかたさを調節します。
4.食べやすい大きさの小判型に成型します。
5.フライパンにごま油(分量外)を適量温めて焼きます。
片面に焼き色がついたら裏返し、フタをして中心に火が通るまで焼いて完成です。
お好みでしょう油やポン酢などをつけて食べましょう。
豆乳は牛乳や水でも代用できますが、豆乳に含まれるオリゴ糖も腸内環境を整えます。
豆乳などの加える水分が少ないとパサパサすることがありますので、混ぜながら調整しましょう。
急性便秘、弛緩性便秘、直腸性便秘の生活のポイント
1.規則正しく食事を摂る
1日3食きちんと摂りましょう。特に朝食は欠食しないようにしましょう。
2.決まった時間にトイレに行く
朝食後、便意がなくても決まった時間にトイレに座る時間を作りましょう。
3.適度な運動をする
散歩など、無理のない運動から習慣化しましょう。おへその周りを時計回りに、ひらがなの「の」を書くようにゆっくり撫でる「の」の字マッサージも効果的です。
けいれん性便秘の食事のポイント
1.水溶性食物繊維を積極的に摂る
不溶性食物繊維を摂り過ぎると、腸の動きが鈍くなってしまうことがあります。繊維の強い根菜類などは適量に摂り、水溶性食物繊維を含む食品を意識的に摂りましょう。
2.刺激物は控える
極端に辛いものや酸っぱいもの、アルコールは腸管が過度に緊張するため控えましょう。
3.脂質は摂り過ぎない
脂の多い肉類や揚げ物などは、食べ過ぎないようにしましょう。
4.物理的刺激のあるものは控える
熱いものや冷たすぎるもの、極端に硬いもの、味の濃すぎるものは控えましょう。
けいれん性便秘の解消レシピ
粘りのある食品には水溶性食物繊維が豊富に含まれています。積極的に摂りましょう。
<オクラとモロヘイヤのお浸し>
材料(2人分)
モロヘイヤ 1袋
オクラ 4~5本
めんつゆ(濃縮タイプ) 小さじ1
顆粒だし ひとつまみ
ゴマ油 小さじ1/3
白すりごま 小さじ1
かつお節 適量
作り方
1.モロヘイヤは洗って葉をちぎり取ります。
2.オクラはヘタを切ってガクの部分を剥き取ります。
塩をまぶしてこすり、うぶ毛を取ります。
3.鍋にお湯を沸かして、オクラをやわらかくなるまで茹でます。
4.オクラを取り出したら、同じお湯でモロヘイヤをさっと茹でてザルにあげます。
5.モロヘイヤは水にあてて冷まし、水気を絞ってから細かく刻みます。
オクラは自然に冷まし小口切りにします。
6.オクラとモロヘイヤをボールに入れてかつお節以外の材料を混ぜて和えます。
7.器に盛ってかつお節をかけて完成です。
※ ごはんや冷奴にのせたり、そうめんに絡めて食べてもおいしいです。その場合は、お好みでしょう油を少量足して下さい。
※ めんつゆは水で薄めて使うものと、そのまま使うものがあります。商品によっても濃さが異なるため、味をみながら量を調節してください。
<なめことめかぶのみそ汁>
材料(2人分)
だし汁 300~400ml
なめこ 50g
めかぶ 1パック(80g前後)
みそ 大さじ1.5
かつお節 ひとつまみ
青ねぎ 適量
作り方
1.鍋にだし汁を温めます。
2.なめこはサッと水で洗います。青ねぎは小口切りにしておきます。
3.なめことめかぶを鍋に入れてひと煮立ちさせます。
4.火を止めてみそを溶かします。
5.お椀によそって、青ねぎとかつお節を盛って完成です。
※ パック入りのめかぶは、味のついてないものを選びましょう。
生めかぶでも、きざんで同じように作ることができます。
けいれん性便秘の生活のポイント
1.ストレスをため込まない
趣味や好きなことに集中できる時間を持ち、上手にストレスを発散しましょう。
2.規則的な生活を送る
不規則な生活も体にとっては大きなストレスとなります。食生活を含め、規則的な生活を送るようにしましょう。
3.入浴はシャワーで済まさずに湯船に浸かる
ゆったりとお湯に浸かると、心身ともにリラックスできます。副交感神経が優位になり、腸の動きが活発になります。
便秘の種類と解消に役立つ食事まとめ
便秘の種類によって、食事のポイントには違いがあります。正しく食生活の見直しをするためにも、便秘の状態を確認することは大切です。症状が強い場合は自己判断せずに医療機関を受診しましょう。