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お年寄りの方が食べやすい料理のポイント

作成日:2019年10月10日

お年寄りの方が食べやすい料理のポイント

高齢になってくると、誰でも噛む力や飲み込む力が低下してきます。そこで、お年寄りが食べやすい料理を工夫して作ることが大切になってきます。
とはいっても、どのような料理が食べやすいのでしょうか?そもそも、どうして高齢になると噛む力や飲み込む力が低下してくるのでしょうか?

今回は、食べやすい料理のポイントだけではなく、食べる機能の低下についてもお話することで、お年寄りが食べやすい料理のヒントになれば幸いです。

食べる量が減っていませんか?

気がつくと「あれっ?食べる量が減ってない?」ということがありませんか?
家族も本人も「年だから減って当然」と考えているかもしれませんが、実は「年のせい」ばかりではないかもしれないのです。

食べる力は健康の力

人は食べることでカラダに必要な栄養素を取り込んでいます。しかし高齢になると食べる量が減ってしまい、必要な栄養素を取り込むことが難しくなる場合があります。

いわゆる「食が細くなる」という現象ですが、確かにカラダの機能の衰えによって食事量は減ってくるかもしれません。しかし、そのまま減り続けると「栄養不足」になる可能性が高くなってきます。そして「栄養不足(医学的には低栄養)」は、ただ栄養が不足しているという問題だけでは終わらないのです。
というのも、カラダに必要な栄養素を取っていないことで、次のような問題がカラダに起こってくるかもしれないからです。

・筋肉量の低下
・筋力の低下
・骨密度の低下

これらを見て思いつくのは、

・歩くのが難しくなる
・立ったり座ったりが難しい
・簡単な運動も難しい

という状態です。これらは高齢者にとって、今後の暮らしに影響することばかりです。
そして、栄養不足は次のようなことにも影響してくることがあります。

・免疫力の低下
・基礎代謝の低下
・消化吸収の低下

これらが起こると、カラダの内側から病気の原因をつくることにもなりますので、認知症の原因になる場合も出てきます。
また、あまり気にされていないかもしれませんが、

・噛む力
・飲み込む力
・唾液の分泌量
・味覚
・水分補給

これらの低下を招く原因にもなりかねません。そして、こういった嗜好に関係する機能低下を招くと、誰もが同じですが「食欲の低下」を感じ始め、これまで以上に「食べない」ことが増えてきます。

こういった食事の量が減ることによる負のサイクルを「フレイルサイクル」と呼ばれることもあり、医療機関でも注目されている高齢者の機能低下の流れなのです。

食事サポートで知っておきたいポイント

お年寄りの食事を食べやすくするためには、食事サポートの基礎を理解しておくことが必要です。
食べるという行動を知り、どのように栄養素を取り込んでいるのかを知ることで、よりより食事サポートが実現できるでしょう。

では食事サポートの基礎として大切な2つのポイントをお話します。

(1)摂食

食事は無意識に口へ運んで食べているように感じますが、そんなことはありません。実は口へ運ぶ前に、目で見て「食べ物だ」という認識を行っています。
大変小難しいように聞こえますが、人は食べ物を認識してからでないと口へ上手に運べません。というのも、食べ物の特徴を理解することで、噛む力や味を予測し、適した食べ方を自分で選ぶからなのです。

ここで予想とは違う硬さや大きさ、味の食べ物が口の中へ入ると、かみ砕けなかったり、口の中で上手く塊にできなかったりすることもあります。

(2)嚥下

嚥下(えんげ)とは、口の中で作った塊を飲み込むことです。食べ物の塊を飲み込むと、反射的に気道に蓋がされ、食べ物は蓋が開いている食道の方へ流れ込んでいきます。そして内臓である「胃」へ到達し、消化されることを待ちます。

健康な方や若年層の方なら、ほとんどの食事でこのような流れを経験しますので、「むせる」という苦しいことが起こりにくいです。
しかし、高齢者になると、喉の筋肉が低下したり、気道を蓋するタイミングがあわなくなったりして食べ物の塊が気道へ。
そうすると「むせる」ようになり、大変苦しい体験をすることになります。

このような2つのポイントを食事サポートでは理解しておく必要があります。特に嚥下に関しては、雑菌のついた食べ物が気道を通り炎症が起きると「肺炎」になってしまうこともありえます。

高齢者の肺炎は、命に関わる病気ですから予防のためにも嚥下という複雑な運動を理解しておくことが必要でしょう。

お年寄りが食べやすい料理とは

お年寄りが食べやすい料理には、次のような特徴があります。

(1)やわらかい

噛む力を入れなくても、舌や顎でつぶせるような食べ物です。

(2)まとまりやすい

口の中で塊にしやすい食べ物です。パサパサしたものは「まとまりにくい」ので食べにくくなります。

(3)ねばりがある

ねばり過ぎると喉にくっついてしまうので食べにくいのですが、適度なねばりは塊にしやすく、ゆっくりと喉を通るので飲み込みやすくなります。

(4)とろみがある

とろみがあると、食べ物が早い速度で喉を通らないため、気道の蓋がゆっくり動いても間に合います。むせることも減ります。

(5)バラバラになりにくい

小さくしたものが食べやすいと考えている方もいらっしゃいますが、実はそんなことはありません。
確かに大き過ぎる食べ物は食べにくいですが、小さ過ぎてバラバラになる食べ物は塊になりにくいので、こちらも食べづらいものになります。

また、バラバラしたものは、塊にならず細かいまま喉を通るため、気道に入ってしまう可能性が高くなります。

これら5つのポイントを満足できると、お年寄りが食べやすい料理になります。

でも、具体的にどれくらいなのか分からないですよね?そこで試してみる意味で使いやすいのが、日本介護食品協議会が規格制定した「ユニバーサルデザインフード」です。

「ユニバーサルデザインフード」の選び方(区分表)

区分容易にかめる歯ぐきでつぶせる舌でつぶせるかまなくてよい
かむ力の目安かたいものや大きいものはやや食べづらいかたいものや大きいものは食べづらい細かくてやわらかければ食べられる固形物は小さくても食べづらい
飲み込む力の目安普通に飲み込めるものによっては飲み込みづらいことがある水やお茶が飲み込みづらいことがある水やお茶が飲み込みづらい
かたさの目安ごはんごはん~やわらかごはんやわらかごはん~全がゆ全がゆペーストがゆ
さかな焼き魚煮魚魚のほぐし煮(とろみあんかけ)白身魚のうらごし
たまご厚焼き卵だし巻き卵スクランブルエッグやわらかい茶わん蒸し(具なし)

※左右にスクロールします。

出典:日本介護食品協議会
URL:https://www.udf.jp/outline/udf.html

「ユニバーサルデザインフード」のとろみ調整食品

とろみの強さ+++++++++
とろみのイメージフレンチドレッシング状とんかつソース状ケチャップ状マヨネーズ状

※左右にスクロールします。

出典:日本介護食品協議会
URL:https://www.udf.jp/outline/udf.html

それぞれの区分によって、やわらかさやとろみ加減が変わっていますので、もっとも食べやすいものを手軽に探すことができます。

食べやすい調理ポイント

それではお年寄りが食べやすい調理のポイントを紹介していきます。

食材を選ぶ

食材選びによって食べやすさが変わります。加熱してもやわらかくならない食材や、むせやすい酸っぱい味のある食材などは避けるようにしましょう。
また、口に入れた後から「ジュワ~」と汁の出てくる高野豆腐などは「むせる」原因にもなります。

例えば、魚の場合ですと「お刺身」の方が「焼き魚」よりもやわらかく食べられます。

餃子は食べやすい食事なので重宝しますが、皮が厚いと食べづらくなるので薄いものを選ぶようにしておきましょう。

お肉はロースよりも薄切り、または、しゃぶしゃぶ用が噛みきりやすく食べやすいです。

おでんなら、中に汁が染み込んでいない練り物は食べやすいですね。

野菜は食物繊維が多いと噛みきりにくくなるので、葉先をサッと茹でると食べやすくなります。

ひと工夫で食べやすさが変わる

料理にひと工夫することで、お年寄りも食べやすくなります。
下ごしらえするときに、

・お肉は筋を切っておく
・お肉はミンチ状にしておく
・野菜は皮をむいておく
・野菜の繊維は断つように切っておく

など、食材の特徴にあわせて、ひと手間かけると大変食べやすい料理に変身します。

加熱でやわらかくするのもOK

食材によっては、加熱することでやわらかくなり、食べやすくなります。

キャベツなら茹でてから切っておく。
餃子は焼かずに茹でるとやわかくなります。

お肉は加熱しすぎると硬くなるので、他の食材と分けて入れる。
ハンバークは煮込むと、かなり食べやすくなります。

また、落とし蓋でじっくり煮る、蒸し焼きにする、などは食べやすい食事を作るのに欠かすことが出来ない方法です。

食べやすさには水分と脂分も必要

汁気が多すぎると「むせる」原因になりますが、適度に水分や脂分があると、スムーズに口の中でまとめられますし、飲み込みやすくなります。

食材によっては調理すると、水分や脂分が少なくなってしまうものもありますが、そういった場合は加えておくと「しっとり」とした食感になり、お年寄りが食べやすい料理になります。

まとめる、しっとりは大切です

食べ物を口のかなで塊にするのは、意外に難しいものです。そこで「つなぎ」を料理に加えることで、まとめやすくする工夫をしておきましょう。
例えば、マヨネーズなどは、しっとりした風味がありながら塊にしやすくなります。

ひとくち大が食べやすい!

口周辺の筋肉の力が低下してきている方の場合、大きく口を開くことが難しいかもしれません。
そういった場合は、大きく口を開かなくてよく、口の中がいっぱいにならないような大きさにするのが食べやすい状態です。

一口か二口で食べられる大きさが食べやすいので、ハンバーグや肉団子などは、少し小さめの大きさにしておくのがおすすめです。
野菜などをあえる場合も、メインの食材と同じくらいの大きさに揃えておくと、食べやすいので少し工夫をしておきましょう。

とろみで安心できる食べ物に

嚥下は、かなり複雑な動きをしています。そのため飲み込む力が低下すると、おもいのほか難しい動作になってしまい、食べることが億劫になる原因になりやすいです。
そこで、のどごしをよくしながら、安心して食べてもらうために「とろみ」をつけるようにしましょう。

片栗粉を使う、寒天を使う、あんかけにする、など「とろみ」をつける方法がありますので、ベタつかない程度に工夫するとスムーズに飲み込んでもらえるはずです。

食欲アップには、しっかりめの味付け

塩分の取りすぎは良くないですが、しっかりとした味付けもないと食欲が高まりません。

そこで香辛料の出番です。
カレー粉などは定番です。
また、一味唐辛子をふると食欲を刺激されます。

間違ってはいけないのが、酸っぱいものはNGです。若い人でも「レモン汁」などで酸味が強いと「むせる」ことがあります。

食べやすい料理の注意点

やわらかく食べやすいものが良いのですが、必要以上に食べやすいものばかりを選んではいけません。
食べやすい料理を選ぶ理由が、他にあるかもしれません。

入れ歯の場合

入れ歯だから「やわらかいもの」でないと食べられない。こうおっしゃる方もいらっしゃいますが、実は入れ歯が合っていないので食べられないということもあります。
やわらかいものを選ぶ前に、入れ歯が合っているのか、入れ歯のメンテナンスが出来ているのかを確かめてみましょう

残してしまう場合

1回の食事で残してしまうことが増えた場合、無理に1回で完食を目指すよりも、回数を増やして栄養補給することを考えてみましょう。
1日3食が理想ですが、おなかの調子や人によっては1日5回がベストということもあります。

食事でむせることが多い

確かめたいのは、食事の姿勢です。
姿勢によっては、気道へ食べ物が入りやすくなっている可能性もあります。

やわらかいものばかりでもいいの?

必要以上に「やわらかいもの」ばかり食べるのは、噛む、飲み込むという大切な機能を低下させる可能性があります。
できるだけ「噛む」「飲み込む」を訓練し、口を動かして食べる習慣を身につけましょう。

食べるときの姿勢は?

安定して姿勢を保つことが必要です。
斜めになったり、反り返ったり、前屈みになりすぎなのは食べたときに、上手く喉を通ってくれないかもしれません。
イスに座りにくい場合は、クッションを背中や座面に敷いて、安定した位置になるよう調整する工夫も効果的です。

食べやすい料理まとめ

お年寄りが食べやすい料理のポイントと注意点について紹介してきました。
このような部分に注意しながら、料理を作っていただくとお年寄りも食べやすくなり、低栄養を招く可能性が下がってくることでしょう。

しかし、こういった料理を毎日作るとなると、やはり大変であることは間違いありません。そこで最近は、お年寄りが食べやすい「やわらかさ」「とろみ」「必要な栄養素」を含んだ「宅配弁当」があります。私たち「まごころ弁当」では原材料からこだわった栄養バランスの良いお弁当をご用意しております。今なら無料試食キャンペーン中ですので、どのようなお弁当ならお年寄りに気に入っていただけるか、簡単気軽に試していただけます。

ぜひ、こういった宅配弁当も利用しながら、食べやすい料理を作っていってください。

この記事の作成者:日比野新(文筆業)
この記事の提供元:シルバーライフ

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