冬の身体にあった栄養価の高い食品とメニュー
作成日:2019年11月10日
寒くなると、手足が冷えてあちこちが痛みだし、胃やみぞおちのあたりが冷えてしまい、冷たく感じることはないですか?人はだれしも、どこかに痛みがあったり、冷えをはじめとするストレスを感じたりすると、食欲が落ちてしまいがちになります。体を温め、このような冷えによる不調を改善し、少量でも栄養が取れる食材を上手に選んで食べることで、寒い冬も健やかに乗り切りましょう。
目次
冷えからくる肩こり・腰痛
冬の寒さから筋肉が緊張して、肩こりや頭痛を起こし、体を動かすことにも不自由を感じやすくなります。普段はつまずかない場所で転倒したり、手指が冷えてしまって更衣などに時間がかかったりしてしまうこともあります。
居室とお手洗いなどの温度差から、ヒートショックといって急激な血圧の変化をもたらし、脳出血や心疾患などを引き起こす危険も出てきます。
住居内は出来るだけ温度差ができないように調整し、すぐに入浴をすることが難しいときは蒸しタオルや湯たんぽ、使い捨てのカイロなどを利用するとよいですね。
乾姜で体を温め、血行を促進する
体を温める食材にはいろいろとありますが、冬の厳しい寒さのなか、しっかりと温めてくれるものの代表に生姜がありますね。しかし、しょうがには二つの性質があるのをご存じでしょうか?
生のままのしょうがに含まれる辛味成分、ジンゲロールは体の中心の熱を体表へと移動させ、放出させる働きがあります。そのため、はじめは血行がよくなり温かさを感じますが、次第に体の中心から冷えていき、強い冷えを感じる方にはあまりおすすめできません。しかし殺菌作用に優れているため、かぜの予防には効果的です。
一方、冷えを解消したい時におすすめしたいのが乾姜という乾燥させたしょうがや、しっかりと加熱したしょうがです。
しょうがを煮ものなどに使用して長時間煮込んだり乾燥させたりすることで、しょうがに含まれる辛味成分、ジンゲロールはショウガオールという成分に変化します。ショウガオールは、冷えて滞っている血液の流れを活発にし、体を芯から温める働きへと変化します。
そのため、冷えからくる関節痛の解消にも一役かってくれるといわれています。
作っておくと便利、ショウガオール豊富な乾姜
ショウガオールを多く含むようにひと手間加え、乾燥させたしょうがは、「乾姜」という漢方薬としても知られていて、家庭でも作ることができます。
作る際は、一度蒸したものを乾燥させるという手順を踏むため、少し手間がかかりますが、まとめて作っておくと、味噌汁や煮ものなどを作る時にひと切れポイっと入れるだけで、臭み消しとして利用でき、またショウガオールのパワーを手軽に得ることができるので、とても便利です。
【作り方】
1、しょうがは皮の傷んでいるところを取り除き、繊維に垂直になるように3~5mm程度にスライスする。(しょうがの皮には、むくみを解消する作用があります。むくみが気になるご家族がいる場合は、皮つきで作られることをおすすめします。)
2、蒸気のあがった蒸し器に(1)を重ならないように入れ、強めの中火で約30分蒸す
(しょうが特有のツンとした香りが、かんきつ系のさわやかな香りに変わります。この香りを目安に蒸しあがりとします。なお、冬に作る際は換気扇を弱めに回すことで部屋にしょうがの殺菌作用を持つ香りと湿気が充満し、風邪予防にもなります。)
3、(2)のしょうがをザルなどに重ならないように広げ、中心まで完全に乾燥させる。
4、湿気ないようにビンなどに入れて保存する。
※乾燥させるとかなり小さくなりますが、舌に感じる辛みは強くなっています。また、食べすぎると胃腸が荒れることがあります。召し上がる際は一人あたり一日に1~2個程度にとどめてくださいね。
乾姜入りラム肉の豚汁風
ラム(羊)肉は、私たちが手に入れやすい肉類の中でも特に体を温める作用に優れています。厳しい寒さに襲われる内モンゴルや北海道でよく食べられていることからも、納得できますね。
ラムと言えばジンギスカン、と思いがちですが、豚汁のように多くの根野菜やねぎ、味噌で味噌汁にしても、とてもよく合います。根野菜、ねぎ、そして発酵食品である味噌も体を温める作用に優れているうえに、野菜と肉を同時にバランスよく取ることができるメニューでもあります。
ラム肉特有のにおいは乾姜である程度抑えることができますが、それでも気になる方は、食べ慣れた豚汁に乾姜を加えていただいてもよいですよ。
【材料】 2人分
ラム薄切り肉 80g
乾姜 1~2片
里芋 中1個
ニンジン 3cm分程度
ごぼう 10cm分程度
大根 3cm分程度
長ねぎ 10cm分程度
煮干しだし 400cc
みそ 大さじ2
七味唐辛子 お好みで、適宜
【作り方】
1、野菜類はそれぞれ皮をむき、薄切りにする。ラム肉は大きければ一口大に切る。
2、鍋に煮干しだしとねぎ以外の野菜を入れて煮る。途中あくが出てくれば適宜すくい取る。
3、(2)の野菜がやわらかくなればラム肉を広げて入れ、火が通ったら長ねぎを入れてさっと煮る。
4、みそを溶き入れ、器に盛り、好みで七味唐辛子を振る。
※咀嚼・嚥下に不安がある場合
ラム肉は包丁で細かくたたいて片栗粉小さじ1、溶き卵1/2個分を混ぜてつみれにする。
野菜類は細かく切って煮るか、煮えたものをミキサーにかけてポタージュ状にし、必要に応じて市販のとろみ材でとろみを付ける。
冷えは胃腸の働きも鈍らせる
冷えは筋肉や血管の不調だけでなく、胃腸にも影響をもたらします。胃腸が冷えると働きが悪くなり、胃痛、消化不良、下痢、または便秘を起こすことがあります。
もとより食が細くなってしまう高齢者ですが、冷えからくるこのような症状のせいでさらに箸が進まなくなってしまうと、心配ですね。食欲が落ちないようにすることが一番ですが、栄養価の高い食品をバランスよく選び、食べることで、たとえ少量であっても低栄養の予防になります。
栄養価の高い雑穀を活用して
一時ブームになった雑穀、利用しておられましたでしょうか?雑穀にもさまざまな種類がありますが、それぞれの小さな一粒には多種多様な栄養素、特にミネラル類がバランスよく含まれているものが多いのが特徴です。
手に入りやすい雑穀に含まれる100gあたりの成分は、下記の通りです。
アマランサス | もちあわ | キヌア | |
エネルギー(kcal) | 365 | 363 | 357 |
タンパク質(g) | 11.3 | 12.3 | 11.3 |
脂質(g) | 7.2 | 4.5 | 6.4 |
糖質(g) | 60.4 | 67.1 | 60.8 |
食物繊維(g) | 6.6 | 2.4 | 7.0 |
カルシウム(mg) | 112 | 12 | 47.0 |
マグネシウム(mg) | 228 | 121 | 197 |
鉄(mg) | 6.2 | 2.6 | 4.57 |
これらをお粥やご飯に炊きこんで食べることで、食が細くなってしまった高齢者にも、少量でも多くの栄養素を取っていただくことができます。ただし、雑穀は米でいうところの玄米にあたります。殻をつぶさないと栄養を吸収することができないものもありますので、炊きあがりが固く、咀嚼できない場合は、あらかじめ下茹でしたものを加えてください。
雑穀はスーパーマーケットの穀類のコーナーに、小さなパッケージで、単体で売られているもののほか、五穀米、十六穀米、といった複数の雑穀をブレンドして販売されているものがあります。
お好みのものをご利用くださいね。
雑穀入りハンバーグ
持病により、糖質を控えておられる方でも、雑穀だけだと召し上がることができる場合もあります。あらかじめ医師に確認をしていただく必要はありますが、食べてもよいとの判断がでた場合は、雑穀のみを柔らかく茹でてハンバーグなどに練り込むことで、必要な栄養素を取ることができます。
牛肉には鉄分が多く、筋肉と血液を増やす効果が、豚肉には皮膚組織を再生する効果が、鶏肉には体を温め疲労回復する効果が期待できます。今回は合びき肉を利用していますが、ご家族の状況に応じて使い分けるとよいですよ。
【材料】 2人分
合びき肉 150g
パン粉 大さじ2
牛乳 大さじ2
(または雑穀の茹で汁)
塩こしょう 適宜
玉ねぎ 1/4個
卵 1個
茹でた雑穀 大さじ1~2
サラダオイル 大さじ3(玉ねぎを炒めるとき、ハンバーグを丸めるとき・焼くときにそれぞれ大さじ1ずつ使用する)
【作り方】
1、パン粉は牛乳または雑穀の茹で汁でふやかしておく。玉ねぎはみじん切りにしてさっと炒め、冷やしておく。
2、ボールに合びき肉、塩こしょう、卵を入れて粘りがでるまでよく錬り、(1)の玉ねぎ、軽く水分を絞ったパン粉、茹でた雑穀を加え、大きく混ぜる。
3、(2)を2等分に分け、サラダオイルを塗った手できれいに丸める。
4、フライパンにサラダオイルを熱し、(3)を入れて下の面を焼き固め、裏返したら蓋をして弱めの中火にして約7分、中心まで火が通るまで焼く。
「腎」の働きを弱めないために
中医学では、冬の寒さは「腎」を痛めるといいます。中医学でいう「腎」とは、腎臓のことではなく、先祖から受け継いだ生命力、泌尿器系・生殖器系を意味します。
腎は骨や髪、脳を育み、腎の機能が低下することで骨粗鬆症や脱毛、健忘などが現れます。また、泌尿器系も司っていることから、腎が弱まっていくことで尿失禁や排便に関するトラブルが出やすくなります。
腎の力は加齢と共に減少するほか、年齢を問わず、冬になり寒さでこもるようになることで、どんどんと落ちて行ってしまうのです。
中医学的な解釈は、西洋医学に慣れ親しんだ私たちには理解が難しいところもありますが、大阪大学大学院医学研究所様のサイトに、「腎」の考え方やそれにあう漢方薬も含めた紹介があります。ご参照ください。
http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kanpou/aboutsensin/zinkyo.html
腎を補う「黒い食材」を選ぶ
腎の働きを補うためによいといわれているのが、黒豆や黒米、黒ごま、黒きくらげ、牡蠣や海藻類などの黒い食材です。
これらは黒色の色素、アントシアニンというポリフェノールが多く含まれ、アンチエイジング効果の高い食材としても知られています。手軽なところでは、先ほどご紹介した雑穀ごはんや雑穀粥に黒米を入れたり、黒すりごまをいろいろな料理にふりかけたり、という方法があります。
たとえば、お正月に黒豆を食べるのは、「日焼けして真っ黒になるほど、マメに働けるように」という願いを込めますが、寒い時期に腎を補う、という意味からも理にかなっていることなのですね。
黒ごま豆腐
精進料理としても知られるごま豆腐は、白ごまで作られたものが一般的ですが、冬には黒ごまで作るとよいですね。黒ごまにはアントシアニンが含まれ、滋養に富み、抜け毛や白髪の予防、また、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも豊富に含むことから、精神安定にも効果があるといわれています。
また、ごま豆腐を固めるために使う葛粉はデトックス効果に優れ、冷え症の改善、筋肉や体の節々の痛みを取る作用があります。「葛根湯」の名で知られるように、節々やのどの痛みからはじまる風邪の引きはじめにもよいことから、やはり冬に取りたい食材といえます。
【材料】 15cm角のバット1個分
錬りごま(黒) 50g
昆布だし 300cc
葛粉 45g
わさび しょうゆなど
各適宜
【作り方】
1、葛粉をボールに入れ、昆布だしを加えて泡だて器などでよく混ぜ、固まりをほぐす。
2、錬りごまを別のボールに入れ、(1)を茶こしなどで漉しながら加え、練りごまを溶かす。
3、(2)を鍋にあけ、中火にかけて、木べらで底から大きくかき混ぜながら煮詰めていく。
4、だんだんと底の方から固まってくるので、全体に透明感、粘りが出てくるまでしっかりと錬りながら煮る。
5、全体がムラなく加熱出来れば、熱いうちにあらかじめ濡らしておいた流し缶に流し入れる。
6、2~3回、10cm程度の高さから流し缶を落とし、中に入った空気を抜いて表面をラップで密閉し、冷やす。
7、中心までしっかりと冷えれば取り出し、好みの量に切りわけて器に盛り、わさびやしょうゆを添える。
日々の栄養バランスを整えるために
このように、毎日三食、冷えに良い食材を選んで料理を作り、体調を万全に整えることができるとよいですが、日々の介護や家事、仕事の合間にこなすというのはなかなか難しいですね。
忙しい日には、まごころ弁当の栄養バランスの整ったお弁当を食べることで体調を整える、というのがおすすめです。まごころ弁当のお弁当は、栄養についてしっかりと学んだ栄養学のプロ、管理栄養士が、こだわりの食材を使って作るバランスのよいお弁当です。
持病による食事制限にも対応できるたんぱく調整食、カロリー調整食や、咀嚼・嚥下の不安に応じて選べるサイズのきざみ食、日替わりのお弁当など、多くの選択肢があるのもうれしいですね。
注文すると自宅まで配達してくれるので、とても便利です。今なら無料試食キャンペーンを実施中です。この機会に、ぜひお試しくださいね。
冬の栄養価の高い食品まとめ
冬の冷えは今回ご紹介した不調だけでなく、基礎体温の低下も招きます。基礎体温が下がると、まさに「腎」の機能が落ち、また、ガン細胞の増殖スピードが上がったり、抵抗力の低下、さまざまな疾患の原因になったりと、よいことはありません。
バランスよい栄養素を取ること、また、適度な運動をして血行促進、筋肉を落とさないようにすることで、冷えを改善することができます。
冬を元気に過ごすことが春からの花粉シーズンに負けない体づくりにつながります。
おいしく食べて、健やかで楽しい冬をお過ごしくださいね。