高齢者でも食べやすいヘルシースイーツ、ちょっと口寂しいときに
作成日:2019年11月10日
寒い季節になると、上着を着て、風邪予防のためにマスクをして…と、外出するにも準備が大変で、一日の大半を室内で過ごされる高齢の方が増えることと思います。すると、時間をもてあまし、ちょっと口寂しくなることもありますね。今回はそんなときに召し上がっていただきたい、ヘルシーなおやつとそのレシピをご紹介します。
目次
高齢者にとってのおやつとは?
おやつは第四の食事と考える
基本的に、年齢を重ねると共に人は食が細くなります。一度に食べられる量が減り、それに伴い一度に取れる栄養量やカロリーも少なくなります。そうなると、おやつの時間にいただくものも、できれば栄養が豊富なものを取りたいところですね。
しかし、いつもと同じ食事のスタイルだと、「さあ、おやつの時間だ」という楽しみも無くなってしまいますね。楽しみながら食事をいただくことは、私たちの体にもよい影響を及ぼすということが、最近の研究で明らかになりつつあるということです。
食事には手が伸びにくい方にも、食指が伸びやすいおやつを楽しんでいただくことで、元気な体づくりを進めていきましょう。
持病によって違う「ヘルシー」の意味
よく、「ヘルシーなおやつ」「ヘルシーな食事」という言葉を使いますが、では、「ヘルシー」とは何でしょう?
たとえば、低栄養になっていて、カルシウムやたんぱく質、カロリーを取りたい方には、チーズはとても効果的に栄養を取れる、体調に合った食材ということになります。
しかし、高脂血症や肥満が気になる方にはあまりおすすめできませんね。また、咀嚼・嚥下の不安があるかどうかでも食べられるものは変わってきます。
このように、個々の体調や持病にあわせて不足している栄養を補いつつ、楽しみながら食べることができるおやつが、それぞれの方にあった「ヘルシースイーツ」と言えることでしょう。
選んで作る、体調に合うヘルシースイーツ
糖質を控えたい方に
糖質を控えると、厳密には「スイーツ」とは言えなくなりますが、ここは大きな意味で「おやつ」という部類で考えたいと思います。
ここ数年、低糖質ダイエットなどで糖質を控える食事やおやつがはやっていますね。糖質は、炭水化物から食物繊維を引いたもので、砂糖はもちろん、いも類やかぼちゃ、ごぼう、またフルーツやごはん、パン、麺類など多くの食品に含まれています。
糖質は、脳や体を動かすエネルギーになり、胃腸の動きを促して、便秘予防にもなる、本来私たちの身体にはとても大切なものです。自己判断で過度の糖質制限をすることは、あまりおすすめできません。
持病で医師から摂取制限の指示がない限りは、毎食ごはんならお茶碗1杯程度は取っておきたい栄養素です。
鶏ささみのパリパリせんべい
鶏ささみは高タンパク低カロリーで、文字どおりヘルシーな食材ですね。今回は肉たたきなどで薄く伸ばして、青のりやすりごまなどをまぶし、油でカリっと上げて、しっかりと咀嚼して食べられる揚げ煎餅のように仕上げます。
ささみ以外にも、海老や鯛、鱚などでも同様に作ることができ、日本料理の揚げものの技法としても知られています。
【材料】 2枚分
鶏ささみ 2本
片栗粉 適宜
または青のり、すりごまなど
塩 少々
揚げ油 適宜
【作り方】
1、鶏ささみはすじを取り除く。片栗粉、または青のり、すりごまなどを全体にまぶし、ラップかオーブンシートに挟んで肉たたきか鍋底で叩いて薄く延ばす。
2、揚げ油を160℃に熱し、(1)を広げて入れ、水分が抜けてパリパリになるまでゆっくりと揚げる。
餃子や春巻きの皮で お手軽ピザ
ピザや春巻きを作ったときに、数枚だけ、皮がのこってしまうことはありませんか?この皮を使ったお手軽なピザは、クラスト(土台)の部分がとても薄い分、糖質を控えることができます。
パリパリとした食感も楽しめるので、しっかりと噛んで満腹中枢を刺激し、脳の血流もよくなりますね。
このピザは「お手軽」に、忙しい合間にもさっと作ることができるのが魅力です。
材料にもこだわらず、構えずに、そのとき冷蔵庫にあるもので作りましょう。
なお、春巻きの皮で包むようにして作ると、ご家族のお弁当のおかずにも利用できて便利な一品です。お試しくださいね。
【材料】
・餃子、または春巻きの皮
・ピザソース、またはケチャップ
・ハム、ツナ、トウモロコシ、玉ねぎの薄切り、ピーマンなど
・ピザ用チーズ
・オリーブオイル
各適宜
【作り方】
下処理
餃子の皮は打ち粉がたっぷりと付いていて、焼きあがりが粉っぽくなりがちです。
刷毛やキッチンペーパーにオリーブオイルを少々しみ込ませて全体を拭っておくと、粉臭さを予防できます。
1、餃子の皮は下処理をして、春巻きの皮は1/4の正方形に切り、オーブンシートを敷いた天板に乗せる。
2、それぞれの皮に好みでピザソース、又はケチャップを塗り、好みの具を乗せる。
3、ピザ用のチーズを散らし、180℃のオーブンまたはオーブントースターで焼く。
※オーブントースターを使用する際は、紙製のオーブンシートは焦げたり発火したりすることがありますので、アルミホイルを使用してください。
比較的血糖値が上がりにくい 蜂蜜
甘くておいしい蜂蜜、糖尿病があるからと敬遠しておられませんか?
実は蜂蜜は、しっかりと甘味があるにもかかわらず、摂取しても血糖値が上がりにくい、「低GI食品」なのです。
もちろん、大量摂取は考えものですし、個々の状態により摂取してよい量も変わってきます。召し上がる前には医師と相談をしていただきたいところですが、甘みが欲しい方にはうれしい食材ですね。
なお、蜂蜜と血糖値の関係については、山田養蜂場様の研究拠点である「みつばち健康研究所」様のサイトに研究データが掲載されています。ご参照ください。
https://www.bee-lab.jp/megumi/honey/data.html
併せて、ご参考までに、低GI食品の一部をご紹介します。
炭水化物 | そば 全粒粉パン 玄米 蜂蜜 大麦 |
---|---|
野菜種実類 海藻 | レタス 大根 かぶら ながいも なす ピーマン ブロッコリー ナッツ類 豆乳 わかめ もずく ひじき 昆布 |
乳製品 タンパク質類 | 牛乳 ヨーグルト チーズ 卵 |
水きりヨーグルトの蜂蜜添え
【材料】 2人分
ヨーグルト(無糖のもの) 1カップ
蜂蜜 適宜
好みのフルーツなど 適宜
【作り方】
1、ヨーグルトは滑らかに混ぜ、ざるにさらしかキッチンペーパーを敷いた上に流し込む。
ボールに受け、冷蔵庫で数時間置き、水を切る。
2、好みの固さになれば再度滑らかに混ぜ、器に盛り、蜂蜜とフルーツを添える。
※水きりヨーグルトは、マヨネーズのような適度な硬さが出ます。通常のヨーグルトはサラサラとしていて嚥下に心配があるという方にも、比較的安心して召し上がっていただけます。
また、脂質の摂取を控えている方には、朝のトーストなどに塗るバターの代わりにもご利用いただけます。水分を切る時間で硬さを調整できますので、食べやすい状態まで水きりをしてみてくださいね。
ボールに溜まった水分にも、カルシウムをはじめ、多くの栄養素が溶け出しています。スムージーやホットケーキなどを作られる際、牛乳の代わりにご利用くださいね。
脂質を控えたい方に
スイーツといえば、一番に想像できるのが洋菓子ではないでしょうか?バターの香りも芳しいクッキーやタルト、甘いクリームたっぷりのケーキや菓子パンがお好きな方は多いですね。
しかし、コレステロールが多いのが考えものです。また、タンパク質や糖質は基本的に1gで4kcalですが、脂質は1gで9kcalになります。肥満が気になる方にとっても、ちょっと悩ましい食べ物ですね。
米粉のフィンガービスケット
今回は油脂を一切加えずに作るフィンガービスケットをご紹介します。
このビスケットは卵白、砂糖、米粉のみで作り、サクサクとしていてとても口どけが良いので、咀嚼・嚥下に少々不安がある方でも、召し上がっていただきやすい仕上がりになります。
【材料】 長さ10cm程度のもの約30本分
卵白 1個
グラニュー糖 25g
卵黄 1個
米粉 大さじ2
【作り方】
1、卵は卵黄と卵白に分け、卵白にグラニュー糖25gを少しずつ加えながら泡だてて、しっかりとしたメレンゲにする。
2、(1)のメレンゲの1/4程度を別のボールにとり、溶きほぐした卵黄と米粉を加え、ざっと混ぜる。
3、(2)を残りのメレンゲのボールに戻し、泡をつぶさないように混ぜる。
4、(3)を絞り袋に詰め、口を1cm程度に切って、オーブンシートを敷いた天板に絞り出す。
(あれば直径1cmの口金を使って絞ると、表面がきれいに仕上がります。)
5、160℃のオーブンで約10分焼く。焼きあがりは柔らかくても硬くても召し上がっていただけますが、一度に食べきらない分はしっかりと火を通して水分を飛ばし、カリっと仕上げてください。やわらかいものは時間がたつとベタベタとしてくることがあります。
黒豆茶きん
寒くなってくると、中医薬膳学では「黒いもの」を食べるとよいといわれています。
今回は便秘解消にもお勧めのさつまいもとあわせ、簡単に作ることができる茶巾絞りに仕上げました。
【材料】 2人分(4個)
さつまいも 中1本(約150g)
蜂蜜 適宜
(さつまいもの水分量や甘さで加減する。)
黒豆(炊いたもの) 8粒
【作り方】
1、さつまいもは皮をむき、乱切りにして、さっと水にさらす。
2、(1)を茹でるか、濡らしたキッチンペーパーでくるみ、さらにラップで包んで電子レンジで柔らかくなるまで加熱する。
3、茹であがったら水分を切り、粉吹き芋にする。(電子レンジにかけたものはそのままで)ボールに入れて滑らかになるまですりこぎなどで潰す。
4、蜂蜜適宜を加え、甘さと固さを整える。しっとりとしていてスプーンですくっても形が崩れない程度にまとめる。
5、硬く絞ったガーゼかラップに黒豆2粒と(1)のさつまいもペーストを1/4乗せて丸め、上部をキュッとしぼって形を整え、ガーゼまたはラップを外して盛りつける。
※咀嚼・嚥下に不安がある場合
さつまいもは(4)の段階ですくってぽってりと落ちる程度に牛乳または豆乳で伸ばす。
粒が残っていると不安がある場合は裏ごしする。ミキサーにかけても良いですが、粘りが出やすいので注意する。
黒豆は皮がのどにかかりやすいので皮をむき、潰す。あれば煮汁、煮汁がなければ牛乳または豆乳でのばしてさつまいもピューレにトッピングする。
介護する側の負担を減らすために
一日に三度の食事の支度にプラスして、更におやつも手作りすると考えると、一日中台所に立っているイメージがありますね。介護をしながらも仕事を持っておられる方なら、いくら健康を願って、とはいえ、手が回らなくなってしまうことは目に見えています。
日々の楽しみの一つ、おやつを手作りしてさしあげる日には、お昼や夕食をまごころ弁当のお弁当にお任せしてみるのはいかがでしょうか?
まごころ弁当のお弁当は、栄養学のプロ、管理栄養士が、栄養バランスが整うようにメニューを考え、こだわって選んだ食材を使って仕上げたお弁当です。
日替わりの普通食のお弁当や、持病により食事制限をされている方向けのたんぱく調整食、カロリー調整食、また、咀嚼・嚥下に不安がある方にも選んでいただきやすい、やわらか食、きざみ食、きざみ食のとろみつきやムース食など、多くの選択肢の中から、高齢者から同居するご家族まで、それぞれがお好きなものを選ぶことができるのも魅力です。
今なら無料試食キャンペーンを実施中です。この機会にぜひお試しくださいね。
高齢者のヘルシースイーツまとめ
第四の食事「おやつ」。ご家族揃っていただくお茶の時間は一日の大きな楽しみであり、絆を深められる時間でもありますね。
また、三度の食事で取り逃した栄養素を補える大切な時間でもあり、手先を使い料理をする、ということは、脳の活性化につながり、痴呆の予防にもなる、といわれています。
時には訪ねてきてくれたお孫さんと一緒に、地域のサークルでお仲間と、今回ご紹介したようなピザや茶きんなど、できるところはお手伝いいただいて一緒に作るのも良いですね。
食が細くなってこられた高齢者に、楽しい、おいしい、と思って食べていただけることは、作る側にとっても、この上ない喜びだと思います。
ぜひ楽しいおやつタイムをお過ごしくださいね。