t細胞とは?免疫力をあげて病気になりにくい体づくりを
作成日:2022年11月29日
いつまでも健康でいるために、毎日を楽しく過ごすために、日々の健康管理に気を使っておられる方は多いですね。
家族の中に、病気がちな方がいる、また、ご家族に介護が必要な方がおられる場合などは特に、風邪などひいている暇はありませんね。
今回は、健康維持に不可欠となる免疫力や、免疫力アップに役立つ食べ物について、ご紹介します。
目次
健康維持に役立つ!免疫力とは?
免疫力という言葉は、健康維持を考えている方によっては馴染みのあるキーワードだと思います。
しかし、免疫力とは何なのか。健康とどういう関係があるのか。免疫力が弱まるとどうなるのか。
こういったことが今一つよくわからない、という方もいらっしゃることでしょう。まずは基本的な部分からおさらいしていきましょう。
そもそも免疫力とは?
「免疫力」という言葉、新型インフルエンザや新型コロナウイルスなどの流行により、近年特によく耳にするようになりましたね。
では、正式にはどのような意味なのかはご存じでしょうか?
「免疫力」の「免」とは、免(まぬが)れる、「疫」は、「疫病(えきびょう)=病気」という言葉からわかるように、病気を免れる、病気にかからない、病気のもととなるウイルスや菌といった異物と接触してしまっても、体内への侵入を防ぐ、という意味なのです。
そのような働きを「免疫」と呼び、その力を「免疫力」と呼んでいます。
このような防御システムだけでなく、傷ついた細胞を発見すると、その部分を修復し、私たちの体をむしばむがん細胞に対しても働きます。
病気のもととなる菌やウイルスは、人と人との接触だけでなく、虫によって運ばれたり、風が吹くことで空中を舞ったりしています。
そのため、常に呼吸によって鼻、喉を通り、気管支や肺に取り込まれることで、体内へと侵入しているのです。
そんな中、もし私たちが免疫力を持っていないと、どうなるでしょう?私たちは、毎日様々な病原菌やウイルスの侵入を受け、病気になってしまいますね。
しかし、実際には違います。
私たちの体は、常に免疫力により守られているため、そうそう簡単にはこれら病原菌やウイルスの犠牲にはならないようにできているのです。
ただし、免疫力は一般的には20歳をピークに低下すると言われています。これには、加齢のほか、ストレス、食生活や睡眠の乱れによる自律神経の不調など、様々な原因が関係しているとされています。
免疫システムと健康の関係
免疫システムには、今からご紹介する、生まれながらにして持っている「自然免疫」と、後天的に獲得する「獲得免疫」の二つがあります。
自然免疫
自然免疫とは、生まれながらにして体に備わっている仕組みです。
免疫細胞は、自分にとって無害なもの、有害なもの(細菌やウイルスといった病原体)を素早く識別し、有害なものを細胞内に取り込み、消滅させる働きがあります。
次のような細胞が、自然免疫です。
・NK細胞(ナチュラルキラー細胞)
・樹状細胞
・マクロファージ
・好中球
・好塩基球
・好酸球
これらは、私たちが病気にならないように体を守ってくれている、大切な免疫細胞です。
獲得免疫
自然免疫で排除できなかった場合に登場するのが獲得免疫です。
獲得免疫には次のような細胞があります。
・ヘルパーt細胞
・キラーt細胞
・レギュラトリーt細胞(制御性t細胞)
・B細胞(形質細胞)
これらの細胞は、過去に体内に侵入した病原体の形状を記憶するシステムを持っています。
同じ病原菌が次に体内に入ってきたことを記憶と照合して確認すると、その病原菌を排除しにかかります。
免疫とは違い、一度感染したことで記憶した敵の情報を元に、適切な応戦を行います。
この働きを利用したのが、ワクチン接種です。
弱毒化した病原体などを利用して作ったワクチンを接種することで、獲得免疫に病原体の形状を記憶させ、実際にその病原体が体内に侵入した時に、免疫細胞が駆除することで病気への感染を防ぐのです。
インフルエンザや新型コロナウイルス、はしか、おたふく風邪など、多くの病気に対し、ワクチンが用いられていますね。
免疫細胞による防御システム
このように、免疫細胞にはいろいろな種類があります。
右の表はそのごく一部をわかりやすく示したものですが、実際どのような順番で働いているのかを見ていきましょう。
STEP1:自然免疫がパトロール
マクロファージをはじめとする自然免疫は、常に体内を監視しています。
私たちの体内に病気のもととなるウイルスや細菌などの病原体が侵入すると、まずは自然免疫が発見して異物を食べて分解してしまいます。
STEP2:敵の状況を確認
自然免疫が攻撃をしかけ、敵となる病原体を駆除します。しかし、駆除しきれなかった病原体が増殖してきた場合、自然免疫は獲得免疫へ応戦を要請します。
STEP3:マクロファージから得た情報からサイトカインを作る
STEP1で病原体を食べたマクロファージは、病原体に関する情報をヘルパーt細胞へ伝えます。その情報をもとにサイトカインという物質を作り出します。
STEP4:一気に攻撃
このサイトカインにより刺激を受けた免疫細胞は一気に増殖して、病原体を攻撃、駆除します。
STEP5:駆除完了
レギュラトリーt細胞(制御性t細胞)が、病原体を駆除できたことを確認し、攻撃終了のサインを出すと、免疫システムは活性を低下させます。
免疫細胞はガンにも強い!
免疫細胞は、このような連係プレイによって私たちの体を健康な状態に保ってくれています。
中のひとつ、NK細胞は「ナチュラル・キラー細胞」の略で、リンパ球の一種です。
NK細胞は、私たちの体へ侵入してきたウイルスを真っ先に見つけ、駆除します。このことにより、私たちは風邪やインフルエンザをはじめとするウイルス性、細菌性の疾患から身を守ることができているのです。
NK細胞は、このほかにもがん細胞をも食べて分解する働きがあります。
京都大学iPS細胞研究所などでは、このNK細胞の働きを用いた卵巣がん治療についての研究もされているということです。(※)
獲得免疫t細胞とは?
ところで、上の図の右側を見ると、ヘルパーt細胞、キラーt細胞、レギュラトリーt細胞と、「t」という文字が付いた免疫細胞が多いことが分かりますね。
これらは獲得免疫の仲間です。
t細胞はリンパ球の一種で、私たちの胸腺(Thymus)で作り出されるため、その頭文字、tから名づけられました。
もともとはナイーブt細胞という名前だったものが役割分担し、病原体の性質を見極める、「司令塔役」を果たすヘルパーt細胞、実際に病原体を駆除する働きを持つ「キラーt細胞」と分かれていきます。
ところが、免疫細胞は、時に暴走することがあります。
免疫システムのブレーキ役 レギュラトリーt細胞
自然免疫、獲得免疫がともに協力し合って、体内に入る病原体や、がん細胞といった異物を攻撃し、私たちの健康を守っています。
しかし、時にはその働きが暴走し、私たち自身の体や、特に毒性はないものの呼吸などにより取り込まれる物質を、謝って異物と認識してしまい、攻撃することがあります。
アトピー性皮膚炎や花粉症といったアレルギー反応が、これにあたります。
このような暴走を防いだり、駆除の対象となる病原体がいなくなったことを確認したりした時に働くのが、レギュラトリーt細胞です。
病原体を駆除することが目的の自然免疫、獲得免疫の中にも、さまざまな役割分担があり、その組織はまるで私たちの社会のようですね。
免疫力アップには腸内環境が大切
冒頭でもご紹介したとおり、私たちの健康維持にはとても大切な免疫細胞ですが、私たちが暴飲暴食をしたり、睡眠不足やストレスをためてしまったりした場合、また、加齢によっても、その働きは徐々に低下してしまいます。
とはいえ、できればいつまでも健康でいたい、そのためにはどうすればよいのでしょうか?
私たちの免疫細胞の約70%は腸内に存在しています。そのため、腸内環境を整えることは、免疫力を高めるための近道だと言えます。
発酵食品は健康な腸を作る強い味方
発酵食品は、腸内環境を整えるためにとても効果的だということを耳にされたことはないですか?
腸内には、約40兆個と、実に多くの菌が存在し、残念ながら病気を発生させてしまうものから、日和見菌といって、私たちの免疫力が高い時にはおとなしく影を潜め、免疫力が下がると悪さを始めるもの、また、免疫細胞そのものや免疫細胞を活性化させ、免疫力を高める働きをするものなどが存在しています。
発酵食品には、この中でも免疫細胞の活性を高め、増やす働きがあるのです。
日本は発酵大国とも呼ばれ、私たち日本人は、本来、味噌や醤油、ぬか漬け、また、納豆に塩麹など、発酵食品を多く取っている民族です。
基本的には、日本は発酵にかかわる菌が住みやすい環境であり、麹菌をいわば家畜化して改良することができたことなどが、日本の発酵食文化を豊かなものにしてきた理由であり、食の欧米化がうたわれる前の日本人が健康を維持してきたのは、このような発酵食品を多く取っていたからだともいわれています。
発酵にかかわる菌と免疫力の関係とは?
・麹菌
麹菌は日本の国菌として指定され、味噌や醤油、みりんなど、多くの調味料を作る材料として利用されているほか、日本酒、焼酎などの酒類の発酵に欠かせない菌でもあります。
おいしい調味料を作り出すだけでなく、例えば味噌なら、原料となる大豆を分解して消化吸収を良くしたり、生成されたオリゴ糖が腸内の有用菌のエサとなったりするなど、腸内環境を整え、免疫力アップにもとても効果的です。
・乳酸菌
乳酸菌には、大きく分けてヨーグルトに代表される動物性乳酸菌と、ぬか漬けやキムチに代表される植物性乳酸菌の2種類があります。
なかでも植物性乳酸菌は、過酷な環境でも生息できる強い性質を持ち、胃酸や胆汁酸でも破壊されることなく生きたまま腸まで届く可能性があるとされ、腸内の有用菌を増やす働きが認められています。
また、乳酸菌の働きにより、ぬか漬けは作る工程で野菜を乳酸発酵させ、疲労回復に役立つビタミンB1は約8倍、取り過ぎたナトリウムを排泄し、むくみ解消に役立つカリウムは約3倍に増えていることが確認されています。
・酢酸菌
酢酸菌には、果物や穀物を発酵させ、酢を作る働きがあります。
私たちになじみがある穀物酢や米酢以外にも、リンゴ酢、黒酢、ワイン酢など、様々な酢が世界中で利用されています。
酢酸菌の働きで作られる酢に含まれるアミノ酸は、免疫細胞を活性化させて数を増やし、酸味成分である酢酸やクエン酸には疲労物質である乳酸を分解して疲労回復を早める働きがあります。
・納豆菌
ネバネバと糸を引く、納豆。納豆が免疫力を上げることは、古くから知られており、近年の研究で腸管バリア細胞を活性化させることが確認されました。
、自然免疫の一つ、樹状細胞は、納豆菌を積極的に取り込むことでその力を強めているというデータがとられているということです。(※※)
納豆には、納豆菌以外にも免疫細胞の活性化を図ることができる、ポリグルタミン酸という成分が含まれています。
高齢者の健康維持まとめ
元気で健康であるためには、ウイルスや細菌から体を守らなくてはいけません。
免疫力を維持、向上させるためにも、食事によって、体の内側から最適な状態に整えることを目指していくのが近道となりそうですね。
そのためには、今回ご紹介した発酵食品以外にも、免疫細胞を作る基となるたんぱく質や体そのものの健康を守ることができるビタミンやミネラルなど、多くの栄養素をバランスよく取ることが大切になります。
ただ栄養を取る、というだけなら、サプリメントを利用すればよいとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、腸内環境を整えるためには、毎日適切な量の食事を食べ、きちんとした排便を促して便秘や下痢を予防する必要もあります。
とはいえ、毎日栄養バランスの整った食事を考えるのは大変、という方におすすめしたいのが、まごころ弁当のお弁当です。原材料からこだわり、栄養バランスに配慮したお弁当が電話注文でご自宅に届きます。
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参考文献(※)国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 プレスリリース 「iPS細胞ゆらいナチュラル・キラー細胞を用いた卵巣がん治療に関する治験」における第一症例目の移植実施について」