きのこの栄養と種類、たっぷり食べられるレシピを紹介
作成日:2019年11月10日
きのこには、他の食材にはない栄養素やうま味成分があり、さまざまな健康効果が期待できます。カロリーも低いので、たっぷり食べたい食材です。
目次
きのことは?菌類
きのこは動物でも植物でもなく「菌類」に分類されます。地球上に存在するきのこは150万種以上の菌種があるといわれていますが、そのうち名前が付けられているものは約1/15ほどといわれます。
きのこは菌類
きのこは植物が作った有機物を養分にして生きています。
菌根性きのこは樹木から栄養を受け取る代わりに、樹木が水や栄養を取り込むのを手伝っています。こうして樹木の生長が促進され、樹木と共生していきます。この場合きのこは地表に生えていますが、地中で樹木の根とつながっています。
木材腐朽性きのこは、樹木の幹や落ち葉などを分解しています。生木の傷部分や立ち枯れの幹や枝、倒木、切り株などに発生します。
きのこの総合メーカー、ホクト株式会社のウェブサイトです。一般的に市販されているキノコについて詳しく紹介されていますのでご参考ください。
https://www.hokto-kinoko.co.jp/corporate/kenkyu/sekainokenkou/
きのこの種類と栄養
食べられるきのこの種類は、スーパーなどで売られている一般的なものから、野生にしか生育していない希少なきのこまで多種多様です。きのこは人工栽培に成功していない種類の方が大多数で、日常的に食用しているきのこはほんの一部の種類といえます。
シイタケ
シイタケは食用として栽培されていてとても身近なきのこですが、野生でも全国に分布し、広葉樹の倒木などから発生しています。栽培方法は原木を利用した原木栽培と、木屑を用いた菌床栽培があります。
シイタケに含まれるエルゴステロールは、日光に当たることでビタミンD2に変化します。ビタミンD2はカルシウムの吸収を助けることで骨を強くする働きがあります。
また近年の研究で、シイタケに含まれる糖の一種であるトレハロースは、骨粗しょう症や生活習慣病の予防に効果があることがわかっています。
その他にもコレステロール値を下げる効果があるエリタデニンや、血圧を下げる作用のあるアデノシンも含まれていて、シイタケには生活習慣病の予防効果が高いと考えられます。
食物繊維の一種であるレンチナンはきのこから抽出された抗がん剤で、1985年に臨床薬として認可されました。レンチナンはきのこの傘が開き始めるころに最も含有量が多くなり、採取した後は減少していきますが、シイタケは乾燥してもレンチナンの量は変わりません。
シメジ
シメジにはいくつかの種類がありますが、スーパーなどで一般的に売れているのはブナシメジです。広葉樹、特にブナの倒木に発生し、淡白でクセのない味がどんな料理にも合うとして人気があります。市販品は木屑などを使用した菌床栽培が多く、野生のブナシメジは栽培品よりも笠の色が白いといわれます。
シメジの健康効果については、マウスを用いた実験によって抗酸化作用、抗アレルギー作用、抗ウイルス作用、抗腫瘍作用など、多くの効果が確認されています。今後は人に対しての効果についても、研究の成果が期待されます。
エノキタケ
一般的に市販されている栽培品のエノキタケは細長くクリーム色で、軸は中空でシャキシャキした食感が特徴です。木屑を使ったビン栽培が一般的に行われています。
野生のエノキタケは広葉樹の枯れ木の上などに発生し、寒さに強く雪の中でも発生します。栽培品とは見た目も味も異なり、黄褐色から暗褐色で強い粘性があり、つやつやとしていて、どちらかというとナメコに似ています。
エノキタケには免疫賦活化作用と抗腫瘍作用を示す成分である、プロフラミンやフラムリンという物質が含まれています。これらの成分はリンパ球の一種であるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)などを活性化し、免疫力を高める働きが期待されます。
マイタケ
マイタケ(舞茸)の名前は、見つけると嬉しくて舞い踊りたくなるようだ、ということから付いた名前といわれています。ブナ科の大きな老木の根元や切り株に発生します。若いうちは黒褐色で徐々に黄褐色に変化し、平たいへら状のカサが特徴で、直径30㎝ほどの大きな株を作ります。
マイタケに含まれるグルコマンナンやマンノキシグルカンには抗腫瘍作用があるといわれています。またマイタケのDフラクションは強い抗がん作用があると考えられていて、サプリメントなどとして実用化もされています。
動物を用いた試験では、マイタケの粉末を経口摂取することで、後天性免疫不全症候群(エイズ)の症状を軽減する効果があることが報告されており、今後の研究が期待されています。
マイタケにはたんぱく質分解酵素のマイタケプロテアーゼが含まれており、肉と一緒に調理すると肉を軟らかくする効果があります。
ナメコ
ナメコは古くから食用キノコとして親しまれてきました。栽培方法には原木栽培と菌床栽培がありますが、現在は木屑などを使用した人工の培地を用いて栽培する方法が主流です
野生のナメコは、広葉樹の倒木や枯れた木の幹などに群生します。表面が粘膜で覆われており特有のぬめりが特徴ですが、時間が経つとぬめりは減少していきます。このぬめりは害虫や寄生虫から身を守るためのものといわれます。
ナメコには不溶性食物繊維の一種であるβグルカンが豊富に含まれており、腸内環境を整える効果があります。
なめこにはコンドロイチンも含まれています。コンドロイチンは軟骨の構成成分でもあり、軟骨に水分を運ぶ役割があります。保水性や弾力を維持する効果を期待して、化粧品にも使用されています。
ナメコには他にも水溶性ビタミンのナイアシンが多く含まれています。ナイアシンはアルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドを分解するときの補酵素として必要であるため、お酒のおつまみとしてナメコを食べると、二日酔いの防止に役立つといわれています。
マッシュルーム
日本には自生しません。欧米では古くから人工栽培されています。世界的にみると食用に栽培されているきのことして、生産量は最大です。
ラットの実験ではマッシュルームに含まれるチロシナーゼ様のたんぱく質は、過酸化物による細胞膜や遺伝子の損傷を防ぐ作用が確認されています。人への応用は、今後の研究が待たれます。
キクラゲ
キクラゲはコリコリとした食感が特徴で、乾燥品は中華料理の食材としてよく知られています。その見た目と「クラゲ」のつく名前から、海藻類と間違えられることもありますが、漢字では「木耳」と表記するように木に生える耳のような形のきのこです。
日本にも広葉樹の枯れ木に発生しますが、一般的に販売されているものは原木栽培または菌床栽培されています。黒キクラゲと白キクラゲがあり、白キクラゲは黒キクラゲに比べるとひらひらとした花びら状でやや薄く、柔らかい食感です。色を生かしてサラダやスープ、シロップに浸けてデザートとしても使用されるキノコです。
キクラゲはキノコの中でも栄養価が高く、ビタミンDの他に鉄、カルシウム、食物繊維は非常に豊富です。
マウスを用いた実験で、キクラゲの菌糸体を経口投与したラットは、リンパ球T細胞が活性化して免疫を増強させたり、ある種の抗がん剤の副作用を軽減する作用が確認されています。他にもキクラゲから抽出された成分には、がん細胞の増殖を抑制したり、血小板の凝集を抑制して血液をサラサラにする効果があり、今後の研究と人への応用が期待されます。
< 乾燥キクラゲのもどし方 >
・水で戻す場合:
軽く洗ってからたっぷりの水に浸けて冷蔵庫に入れておきます。乾燥キクラゲの品質によって20分前後で戻る場合もありますが、6時間おくと生の状態に最も近くなるといわれています。しかし6時間以上経つと軟らかくなり過ぎてしまい、味も栄養も落ちるので、戻し過ぎには注意が必要です。
・ぬるま湯で戻す場合:
軽く洗ってからたっぷりのぬるま湯に付けておくと、10~15分で戻りますが、味や栄養を保持するには、水で戻す方法をおすすめします。
どちらの方法でも、戻した後のキクラゲは冷凍保存ができます。水気をきって、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。1か月程度で食べきりましょう。
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薬用きのこ、その種類
中国では古来から、薬膳や漢方薬としてきのこが利用されてきました。
レイシ(霊芝)
マンネンタケとも呼ばれ、動物を用いた実験では免疫調整作用、抗酸化作用、抗血液凝集作用が確認されています。またレイシに含まれる多糖類とトリテルペンが、慢性B型肝炎の治療に有効であるという結果が得られています。中国では人への臨床試験が行われており、不眠や記憶力の向上、精神疾患や気管支喘息など、さまざまな症状や疾患について改善効果が報告されています。
メシマコブ
古くから漢方薬として使用されてきたキノコですが、科学的に分析が始まったのは約50年前と比較的最近のことです。メシマコブに含まれるβグルカンのレンチナンは抗がん剤として認可されており、何らかの原因で、強い作用の薬を使用した治療ができないケースのがん治療に対して、漢方薬として用いられています。
毒きのこ
毒きのこは非常にたくさんの種類があり、中には命にかかわる猛毒を持つきのこもあります。基本的に野生のキノコを採取して食べることはやめましょう。
<食用と間違えやすい毒きのこ>
名前 | 似ているキノコ | 症状 |
---|---|---|
クサウラベニタケ | ホンシメジ ハタケシメジ ウラベニホテイシメジ | 食後20~1時間ほどで嘔吐、下痢、腹痛など消化器症状がおきる。 |
ツキヨタケ | ヒラタケ ムキタケ シイタケ | 食後20~1時間ほどで嘔吐、下痢、腹痛など消化器症状がおきる。 |
ニガクリタケ | ナメコ クリタケ ナラタケ ナラタケモドキ | 食後3時間ほどで強い腹痛、激しい嘔吐、下痢、悪寒などの症状がおきる。重症の場合はけいれんや脱水症状により死亡することがある。 |
カエンタケ | ベニナギナタタケ | 猛毒きのこで、触るだけでも炎症をおこし、食べると死亡することがある。 |
スギヒラタケ | ヤキフタケ | 古くは食用とされていたことがあるが、食後に急性脳症のような症状がおこることがある。 |
テングタケ | 食後30分ほどで嘔吐、下痢、腹痛など消化器症状がおきる。発汗、けいれん、呼吸困難になる場合もある。 | |
ニセクロハツ | 食後30分から数時間で嘔吐、下痢、などの消化器症状がおきる。その後18~24時間で全身筋肉痛や呼吸困難をおこし、死亡することがある。 |
きのこをたっぷり食べられるレシピ
簡単に、きのこをたっぷり食べられるレシピを紹介します。
< きのこマリネ >
【材料(作りやすい分量)】
きのこ3~4種類 1パックずつ
にんにく 1かけ(無くても可)
オリーブオイル 大さじ1~2
バルサミコ酢 大さじ1~2
白ワイン 大さじ1~2
塩・胡椒 適量
【作り方】
1.きのこはいしづきを取って、食べやすい大きさにほぐして(切って)おきます。
2.スライスしたにんにくとオリーブオイルをフライパンに入れ、きのこを入れてから火をつけます。強めの中火できのこに焼き色がつくように炒めます。
3.きのこに焼き色がついたら、白ワイン、バルサミコ酢を入れます。アルコールと酢を飛ばしながら全体を混ぜて、塩・こしょうで味を整えたらできあがりです。
4.温かいままでも、粗熱をとってから冷蔵庫で冷やしてもおいしく食べられます。
※オリーブオイル、バルサミコ酢、白ワインは、それぞれ他の種類のもので代用できます。ごま油・米酢・日本酒など、他にもお好みの組み合わせを試してください。
※酸味が苦手な場合は、砂糖をひとつまみ入れると食べやすくなります。
< きのこ鍋 ></きのこ鍋>
【材料(作りやすい分量)】
鶏モモ肉 200g
きのこ数種類 鍋の大きさに合わせた量
絹豆腐 1パック
長ねぎ 1~2本
醤油 大さじ2~3
酒 大さじ2~3
塩 適量
みりん 大さじ1
【作り方】
1.鶏肉は大きめの一口大に切っておきます。きのこはいしづきを取って、食べやすい大きさにほぐして(切って)おきます。
2.土鍋に少量のごま油(分量外)を入れて鶏肉を皮目から焼きます。少し焦げ目がついたら水を入れて煮ます。アクが出てきたらきれいにすくってください。
3.煮立ってアクを取ったら、調味料を入れて味を整えます。
4.適当な大きさに切った豆腐と、斜め切りにした長ねぎ、きのこを入れてひと煮立ちさせたらできあがりです。
※お好みでポン酢やもみじおろしなどをつけて食べてください。
※きのこは加熱するとカサが減るので、たっぷり入れて大丈夫です。
< キクラゲと卵の炒め物 >
【材料(2人分)】
豚バラ肉 80g
卵 3個
乾燥キクラゲ 20~30g
長ねぎ 1本
鶏ガラスープの素 小さじ1/2
オイスターソース 小さじ1/2
塩・こしょう
【作り方】
1.豚バラ肉は食べやすい大きさ、長ねぎはななめ切りにしておきます。卵はボールに割ってよくほぐしておきます。
2.乾燥キクラゲは前記の方法で戻してから、適当な大きさにちぎっておきます。
3.フライパン(または中華鍋)にごま油小さじ2(分量外)を熱して、卵を入れます。周囲がふわっとしてきたら大きくひと混ぜして、別の器にあけておきます。火が入り過ぎないように半熟で取り出しましょう。
4.同じフライパン(中華鍋)に豚バラ肉を入れます。豚肉から脂が出るので油を足す必要はありません。強めの中火で少し焦げ目がつく程度に炒めます。長ねぎとキクラゲを入れて炒め合わせ、鶏ガラスープの素とオイスターソースを入れて炒めます。長ねぎに火が通ったら卵を鍋に戻して炒め合わせ、塩・こしょうで味を整えてできあがりです。
きのこの種類と栄養まとめ
おいしくて低カロリーなだけではなく、きのこにはさまざまな健康効果が期待されています。比較的安価で、スーパーなどで容易に購入できるのも利点です。いろいろなきのこを、たっぷり食べましょう。