夕食に摂りたい栄養とおかずレシピ
作成日:2019年12月10日
一般的に夕食は、朝食や昼食に比べておかずにボリュームがあり、しっかり食べるイメージがあるかもしれません。お酒を飲みながら食べたり、夜遅い時間に食べるなど、不規則になりがちなのも夕食です。近年、食事の時間が人の体内時計の調整に大切な働きを持ち、健康維持に大きな影響を与えていることが解明されています。
目次
夕食と栄養:体内時計
2017年のノーベル生理学・医学賞では「体内時計」が話題となりました。体内時計とは体内にある時間のリズムを刻むメカニズムのことで、1日単位で調整されています。この約24時間周期のリズムを概日リズム(サーカディアンリズム)と呼びます。
体内時計の仕組み
概日リズムは光や温度の変化がない条件でも認められることから、生物が体内に時計の機構を持っていることが明らかになり、これを体内時計と呼んでいます。哺乳類の体内時計は脳だけではなく、末梢臓器すべてで機能していることがわかっています。脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)と呼ばれる部分に親時計があり、内臓や血液などの末梢組織にそれぞれ個別に働く子時計が機能しています。
親時計の機能
親時計である視交叉上核は、体を昼と夜の活動に適した状態にするための指令を出しています。例えば朝は、起床前に副腎皮質刺激ホルモンの分泌を促し、副腎から出るコルチコステロンというホルモンによって血糖値を上げ、交感神経を高める指令を出して血圧を上げたりします。夜になると視交叉上核の指令によってメラトニンが分泌され、体の活動レベルを低くして睡眠へ誘導します。これらのことから、視交叉上核が体に時間を教えているといえます。
子時計の機能
臓器や組織にある子時計は、その役割に応じた時間制御機能を持っています。例えば腎臓では、夜間は尿を作る機能を低下させるため、眠っている間はあまりトイレに行かずに眠り続けることができます。他にも明け方にぜんそく発作がおこりやすいことや、朝起床後の7~9時頃にリウマチの症状がひどくなることなども、時計遺伝子が影響していると考えられています。
体内時計と生活
体内時計を整えるには、毎日なるべく同じ時間に同じ行動をとるようにすると、その生活リズムが時計遺伝子に刺激を与えて、体内時計が調整しやすくなります。
<体内時計を整えるための生活習慣>
起床 朝 ↓ 日中 ↓ 夕 ↓ 夜 就寝 | 体内時計を リセットする | 1.朝起きたら日光を取り入れましょう。 |
2.起床時間は2時間以上ずれないようにしましょう。 | ||
3.朝食は必ず摂りましょう。 | ||
しっかり 活動する | 4.昼寝は15時までに、20~30分以内にしましょう。 | |
5.日中の運動を習慣にしましょう。 | ||
メリハリを つける | 6.カフェインを含む飲み物は就寝4時間前までにしましょう。 | |
7.就寝3時間前までには食事を済ませましょう。 | ||
脳と体を 興奮させない | 8.就寝1~2時間前に、熱すぎないお風呂に入りましょう。 | |
9.部屋の照明は明るすぎないようにしましょう。 | ||
10.寝酒はやめましょう。 | ||
11.就寝前のパソコンやスマートフォン操作はやめましょう。 |
夕食と栄養:時間栄養学
食べる時間によって栄養の効果が変化したり、栄養素が体内時計に影響を与えるということが最近の研究で明らかとなっています。時間生物学という体内時計を扱う生物学と、栄養学を総合的に考えるのが時間栄養学という分野です。
体温計や血圧計のメーカー、オムロンのウェブサイトです。時間栄養学について詳しく説明されています。ご参照ください。
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/164.html
光と朝食がリセットボタン
人の体内時計は24時間よりもやや長いと考えられており、そのままではずれてしまいます。これを24時間に合わせるために親時計、子時計ともにリセットすることが必要です。体内時計をリセットするには、親時計には「光」、子時計には「朝食」が必要です。
体内時計の親時計である視交叉上核は、脳の視床下部、ちょうど目から伸びる視神経が交差する場所にあります。光の刺激をキャッチして親時計がリセットされ、1日の活動を開始する指令が出されます。
末梢の子時計は朝食を食べることでリセットされて動き始めます。そのカギを握っているのがインスリンで、時計遺伝子に信号を送って体内時計をリセットする役割があります。
上手な夕食の摂り方
体内時計をリセットするには、起床時の光と朝食が必要ですが、そのためには良い睡眠が不可欠です。良い睡眠のためには、夕食の摂り方が大きく影響を与えることがわかっています。
夕食の理想的な時間は昼食の5~6時間以上後で、就寝時間の3~4時間前に食べ終えることが必要です。空腹でも満腹でも良い睡眠がとれません。
・夕食は腹七分
夕食にボリュームが大きいと、就寝前までにエネルギーの消費が追いつかず、余分なエネルギーは脂肪として蓄えられます。食べすぎに注意して、満腹の手前で抑えるようにしましょう。夕食では、朝食や昼食で足りなかった栄養素を補うことに注目して献立を立てるようにします。昼食が外食の場合は野菜類が不足していることが多いので、夕食では野菜たっぷりのメニューが理想的といえます。
・夕食は就寝の3~4時間前までに
食べた物を消化するには3~4時間以上かかります。食後間もなく眠ってしまうと、睡眠中にも胃が消化活動を続けなくてはなりません。睡眠中は消化吸収に必要な消化酵素が減少するため翌朝の胃もたれや食欲不振につながり、朝食が十分に摂れず、悪循環を招きます。
・野菜ファースト
野菜に含まれる食物繊維は糖質の吸収を穏やかにして、血糖値の急上昇を抑えます。夕食のおかずの中で、まず最初に一皿の野菜料理を食べることを習慣にしましょう。また食物繊維は腸内細菌のエサとなって、腸内環境を整えることにも役立ちます。良好な排便習慣にも役立ちます。
・お酒のおつまみにも気をつける
お酒にはエネルギー(カロリー)はありますが、栄養素はほとんど含まれません。さらにアルコールの代謝に多くのビタミン類が消費されます。夕食時にお酒を飲むときは適量を守り、高たんぱく、低脂肪でビタミンやミネラルも十分に摂れるようなおつまみを選びましょう。魚介類や豆腐・枝豆、野菜や海藻類などの食材を使用したおつまみが適しています。
・夕食が外食やお弁当の時
夕食も外食やお弁当などですませる場合は、麺類や丼物は避けて定食を選ぶようにしましょう。コンビニなどで購入するときも、野菜類が摂れる煮物やサラダなどをサイドメニューに選びましょう。栄養バランスに配慮されている、宅配のお弁当などを利用するのも効果的です。
・夕食後のデザートは
夕食後に何か食べたくなったときは、消化が良く栄養が摂れるものを選び、食べすぎないようにしましょう。ヨーグルトや果物、ドライフルーツやナッツ類を少量つまむ程度にしておき、寝る直前に食べるのは避けましょう。
BMAL1(ビーマルワン)
BMAL1は全身の細胞に存在するたんぱく質の一種で、時間遺伝子として活動リズムを調整しています。BMAL1は時間帯によって増減し、BMAL1が体内に増えているときは脂肪をためやすい状態となり、反対に少ないときは脂肪が蓄積しにくい状態になるといわれています。
BMAL1は起床してから7時間後が最も少ないといわれ、一般的な生活では午後2~3時頃だといわれます。最も多い時間帯は午後10時から午前2時といわれており、午後10時以降の食事は脂肪をため込みやすいといえます。
そこで、どうしても夕食の時間が遅くなってしまうときには、数回に分けて食事をする「分食」がよいといわれます。夕方5~7時頃におにぎりなどの軽食をとっておき、遅くなってからの食事では、たんぱく質を中心とした低カロリーで消化の良い食事を摂るようにすることがすすめられています。
夕食に摂りたい食品と栄養
夕食では、朝食や昼食で足りない栄養素を補うような食材を選び、メニューを考えましょう。できるだけエネルギー(カロリー)は低く抑え、消化の良いメニューが理想的です。
たんぱく質
たんぱく質は体を作ったり、体の機能を維持するために欠かせません。3食でバランスよく摂ることが大切ですが、特に睡眠中には成長ホルモンが分泌され、筋肉量の増加や疲労を回復する働きがあるため、夕食時にもしっかり摂りたい栄養素です。
たんぱく質を多く含む主な食品は肉、魚、卵、大豆製品などメインのおかずとなるような食材ですが、ここで注意が必要なのが油脂です。肉は種類や部位によっては脂肪を多く含むものがありますし、魚介類なども、調理法によっては油脂の摂りすぎにつながるため注意が必要です。
食物繊維
食物繊維は血糖値の急上昇を抑制する働きがあります。夕食は糖質、脂質は控えめに、野菜や海藻、きのこなどがたっぷり摂れる食事を心がけましょう。これらの食材にはビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれます。
カルシウム
同じ食材でも摂った時間によって体内での働きが異なることがわかっています。牛乳や乳製品はカルシウムを豊富に含んでいます。骨は夜寝ている間に合成されるため、夕食でカルシウムを摂ると骨を丈夫にし、骨粗しょう症の予防に役立ちます。また、朝食で牛乳や乳製品を摂ると、含まれているたんぱく質が筋肉量を増やすといわれています。
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夕食のおかずレシピ
夕食のメインのおかずは、高たんぱく・低脂肪が理想です。さらに副菜のおかずや汁物で野菜、海藻類、きのこなどをたっぷり摂りましょう。
< 鶏むね肉の塩こうじ焼き >
材料(2人分)
・鶏むね肉 1枚
・塩こうじ 大さじ2
・にんにくすりおろし 小さじ1
・しょうがすりおろし 小さじ1
・ごま油 小さじ2
・酒 大さじ1
作り方
1.鶏むね肉は、厚みがある部分は開いて、全体をフォークで突き刺します。
2.ビニール袋に鶏肉と塩こうじ、にんにくのすりおろし、しょうがのすりおろしを入れて袋の上から優しく揉んで、30分以上冷蔵庫で漬けておきます。
3.フライパンにごま油を入れて熱し、鶏肉を焼きます。
4.おいしそうな焼き色がついたら裏返して酒を入れ、ふたをして火を弱めます。
5.中まで火が通ったらできあがりです。
※塩こうじは焦げやすいので、火加減に注意しましょう。
< けんちん汁 >
材料(2人分)
・大根 30g
・にんじん 20g
・ごぼう 20g
・白菜 30g
・まいたけ 10g
・豆腐 1/2丁
・顆粒だし 小さじ1~2
・みそ 20g
・万能ねぎ 適量
・かつお節 適量
作り方
1.大根とにんじんは食べやすい大きさのいちょう切り、ごぼうはささがき、白菜は葉先と芯に分けて、葉先は食べやすい大きさにちぎり、芯は食べやすい大きさのそぎ切りにします。まいたけは食べやすい大きさにほぐしておきます。
2.鍋に水400~500mlを入れ、大根、にんじん、ごぼう、白菜の芯部を先に煮始めます。
3.アクが出たらすくい、野菜が煮え始めたら白菜の葉とまいたけ、適当な大きさに切った豆腐を入れます。
4.野菜が煮えたら顆粒だしを入れ、火を止めてみそを入れて溶かします。
5.器によそってから、小口切りにした万能ねぎとかつお節をトッピングしてできあがりです。
※具は他の野菜やきのこ類でもおいしくできます。豆腐は絹、木綿のどちらでもお好みのものを使用してください。
※水の量によってみその量は調整してください。
< 五目豆 >
材料(作りやすい分量)
・水煮大豆 100g
・にんじん 50g
・ごぼう 50g
・こんにゃく 100g
・干ししいたけ 2~3枚
・油 大さじ1
・酒 大さじ1
・砂糖 大さじ2
・めんつゆ(ストレート) 大さじ2
・しょうゆ 大さじ2
・みりん 大さじ2
作り方
1.干ししいたけは水に浸けて戻しておきます。戻し汁も使うので、捨てずにとっておきます。
2.材料は、全て大豆の大きさと同じくらいの角切りにしておきます。
3.フライパンに油を入れて、にんじん、ごぼう、こんにゃくを炒めます。
4.こんにゃくからチリチリと音がし始めたら、大豆としいたけ、しいたけの戻し汁と、みりん以外の調味料も入れて煮込みます。
5.煮汁が減ってきたらみりんを加え、最後は火を強めて煮汁を飛ばします。
※めんつゆは商品によって濃度が異なりますので注意してください。めんつゆの味によって、しょうゆや砂糖の量は調整してください。
※煮込むときに煮汁が少ない場合は水を足してください。
※数日日持ちします。作り置きしておくと夕食の副菜に便利です。
夕食と栄養まとめ
夕食のおかずに何を食べるかで睡眠の質が変わり、次の日の体調だけでなく、長期に渡る健康維持にも影響を及ぼします。体内時計と食事の関係は、今後更なる解明が期待されています。