ミネラルを摂ると体が喜ぶ理由
作成日:2020年7月10日
人が生きていく上で欠かすことができない栄養素として、タンパク質、炭水化物、脂質の3大栄養素があります。この3大栄養素と並んで重要とされているのが、ビタミンとミネラルです。3大栄養素にビタミン、ミネラルを加えたものは5大栄養素と呼ばれています。5大栄養素のうち、ミネラルは体の調子を整えるために欠かすことができません。今回は、ミネラルを摂ると体が喜ぶ理由について詳しく説明していきます。
目次
ミネラルとはどんな栄養素?
ミネラルとは、酸素・炭素・水素・窒素の体を構成する4元素以外の総称で無機質とも言います。ミネラルは体の中で作ることができないため、食物から摂取する必要があります。ミネラルは体の機能を調節したり維持するために重要な働きをする栄養素です。
体に必要なミネラルは16種類で、1日の必要摂取量が100㎎以上とされる「主要ミネラル」と、100mp未満の「微量ミネラル」に分類されます。主要ミネラルは、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リン、イオウ、塩素の7種類とされています。微量ミネラルは、鉄、ヨウ素、亜鉛、銅、セレン、マンガン、コバルト、モリブデン、クロムの9種類とされています。
これらのミネラルのうち、塩素とイオウ、コバルト以外の13種類は厚生労働省の日本人の食事摂取基準で摂取量の目安が定められています。ミネラルは不足すると体調不良に陥ったり、欠乏症になってしまったりしますが、過剰に摂取すると逆に弊害がおこることもあります。
ミネラルの働きについて
私たちの体は、食べ物を食べることによって栄養を体の中に取り込んでいます。その際、取り入れた栄養素を分解し、吸収された栄養素を体のそれぞれの働きに必要な物質に再合成することを代謝と言います。
代謝には、新陳代謝や基礎代謝、エネルギー代謝など様々な種類があります。これらの代謝がスムーズに行われるためには、酵素が必要になります。体の中で消化酵素と代謝酵素がつくられ、体が元気で健康に維持できるように常に働いています。この酵素の働きをサポートして分解や合成がスムーズに行われるように補助をしているのがミネラルやビタミンなどの補酵素と呼ばれるものです。つまり、ミネラルは人が生きていく上で重要な代謝を助ける栄養素と言えます。
ミネラルの主要成分の働き
1) カルシウム
カルシウムは、骨や歯を形成するために必要な栄養素です。他にもイライラを緩和させるなどの精神を安定させる作用もあります。過剰に摂取することによる弊害はありませんが、不足すると骨密度が低下し、骨がもろくなり骨折しやすくなったり、精神的にイライラしてしまったりすることがあります。他にも子どもの発育不全につながることもあります。カルシウムを多く含む食材は、乳製品や干しエビ、がんもどきなどが挙げられます。
2) カリウム
カリウムは体の中の水分量の調整を行うために必要な栄養素です。水分量を調整するので、血圧の上昇のしすぎを抑えることができます。過剰に摂取することによる弊害はありませんが、不足すると血圧が上昇してしまったり、手足のしびれが出現することがあります。カリウムを多く含む食材は、昆布やひじき、サツマイモやバナナが挙げられます。
3) ナトリウム
ナトリウムは、カリウムと同様に体の中の水分量の調節を行っています。筋肉の緊張を和らげる効果もあります。過剰に摂取しすぎると、高血圧や動脈硬化、腎不全、胃がんなどのリスクが高まります。逆に不足すると、頭痛やめまい、熱中症、筋力の低下がおこります。ナトリウムを多く含む食品は、食塩や梅干し、漬物などです。
4) マグネシウム
マグネシウムは筋肉の収縮を促進したり、体温や血圧の調節をする役割があります。過剰に摂取しすぎても特に弊害はありませんが、不足してしまうと、狭心症発作を起こしやすくなったり、足がつりやすくなったりします。
特に近年、若年層のマグネシウム不足が栄養調査で問題視されています。マグネシウムは、カルシウムの筋肉収縮作用を調節する働きがあるので、けいれんやふるえの予防になります。特に命の危険が伴う心筋や心臓の血管壁のけいれんを予防できるので、心臓疾患の予防につながります。
また、カルシウムが血管壁へ沈着するのを防ぐ作用もあり、動脈硬化を予防するため、生活習慣予防のために非常に重要な栄養素と言えます。マグネシウムが多く含まれる食材は、魚や海藻、ナッツ類です。
5) リン
リンは骨や歯を形成し、細胞の成長を助けます。リンは、過剰に摂取しすぎると骨代謝障害や、服甲状腺機能亢進症になってしまうので注意が必要です。不足すると骨が弱くなり骨折しやすくなったり、体の倦怠感が出現したりします。リンは乳製品や肉類、するめなどに多く含まれています。
6) イオウ
イオウはタンパク質の成分となり、皮膚や爪、髪をつくったりします。イオウには欠乏症も過剰症もありません。魚や肉、卵、乳製品に多く含まれています。
7) 塩素
塩素はタンパク質の消化促進したり、膵液分泌の促進をしたりします。摂取しすぎて弊害はありませんが、不足すると食欲不振や消化不良になってしまいます。塩素は食塩に含まれています。
ミネラルの微量成分の働き
1) 鉄
鉄は血液の中に存在する赤血球の中のヘモグロビンの成分です。血液中の酸素を筋肉へ送り込む作用があります。他にも筋肉などのエネルギーの代謝にも影響を与えます。過剰に摂取しすぎる弊害はありませんが、不足すると貧血になったり、冷え性になったりします。
運動能力の低下や免疫機能の低下につながり健康的な生活を阻害してしまう可能性もあります。特に若い女性は鉄分が不足しやすいので、意識的に摂取する必要があります。鉄が多く含まれる食材は、レバーやひじき、あさりなどの貝類、がんもどきなどです。
2) 亜鉛
亜鉛は、味覚や嗅覚などの感覚を正常に保つ働きや傷の治りをはやくする働きがあります。他にも、アミノ酸からのタンパク質の再合成やDNAの合成にも必要な栄養素ですので、胎児や乳児の発育には必須な栄養素であり、骨や肝臓、腎臓膵臓、睾丸などの新しい細胞が作られる組織で必須な栄養素と言えます。
過剰に摂取しすぎても問題はありませんが、不足すると味覚や嗅覚の異常、髪が抜けやすくなる、風邪をひきやすくなるなどの弊害が現れます。亜鉛が多く含まれる食材は、牡蠣や赤身の肉、うなぎなどです。
亜鉛は摂取しても、吸収できるのは約30%と言われているため、意識的に亜鉛が多く含まれる食材を摂取する必要があると言えます。
3) 銅
銅は、血液の中に存在する赤血球の中のヘモグロビンを合成する働きがあります。骨や血管壁を強化する働きもあります。過剰に摂取しても弊害はありませんが、不足すると貧血になったり、心臓や血管が弱くなってしまいます。銅が多く含まれる食材は、牛レバーやたこ、するめなどです。
4) ヨウ素
要素は、甲状腺ホルモンの成分で、基礎代謝を高める効果があるとされています。過剰に摂取しすぎると甲状腺腫や甲状腺機能減退症などの甲状腺関連の病気になってしまうことが知られており注意が必要です。不足しても同様の甲状腺関連の病気になってしまったり、疲れやすくなったり太りやすくなったりします。ヨウ素はわかめやこんぶなどの海藻類やいわしに多く含まれています。
5) セレン
セレンは抗酸化作用や発がん抑制作用などがあるとされています。過剰に摂取しすぎると吐き気や脱毛、爪の変形などの症状が出現します。逆に不足しても何も症状はありません。セレンは、いわしやカレイ、わかさぎなどの魚に多く含まれます。
6) マンガン
マンガンは、骨を形成したり血糖値を下げたりします。不足しても欠乏症はありませんが、過剰に摂取すると中毒症状が現れます。お茶などの植物性食品に多く含まれていますが、過剰摂取しないように注意が必要です。
7) クロム
クロムは筋肉の収縮を促進したり、体温や血圧を調節する役割があります。過剰に摂取しても症状は出現しませんが、不足すると心臓発作を起こしやすくなったり、イライラして精神が不安定になったりします。クロムが多く含まれる食品は、ナッツ類や魚、海藻類です。
ミネラルが不足しがちな理由
日本人はミネラル不足であるとよく言われています。特に不足しがちなのはカルシウムや、鉄、亜鉛、マグネシウムなどです。男性は亜鉛、女性は鉄が特に不足しがちであるとされています。その理由として、近年、農業において人工肥料や農薬を使用して作物を作ることにより、食材そのものに含まれるミネラルの量が減ってしまったのがその一因となっています。
厚生労働省の発表によると、ほうれん草に含まれる鉄分は60年前と比較して約7分の1へと減少しています。他にも、食の欧米化や精製米・精製小麦の普及、多種多様な食品などの消費が増えて、ミネラルが多く含まれる野菜や果物、魚、雑穀などの消費が減少していることもミネラル不足の原因となっています。
また、市販のミネラルウォーターは、海外のものではミネラルが豊富に含まれているものもありますが、日本のミネラルウォーターはミネラル含有量はとても少なく、ミネラルウォーターを飲んだからと言って十分なミネラルを摂取できるわけではありません。あくまでも食事から様々な栄養素を摂取することを意識するようにしましょう。
また、冷凍食品や加工食品、コンビニ弁当などさまざまな商品には、品質維持のためにリン酸塩と呼ばれる食品添加物が多く含まれています。このリン酸塩は、ミネラルの吸収率を低下させる作用があるため、もともと摂取ミネラルの量が少ないところに吸収率も悪くなってしまっています。
ミネラルを摂取するには
ミネラルはさまざまな食材に含まれており、どれか1つのミネラルが十分に摂取できたからといって体によいという言うわけではありません。それだけでなくバランスがとれていないと拮抗作用が働く場合があります。例えばカルシウムだけを摂取すると逆にマグネシウムの不足を招くなどの減少が起こってしまいます。他にもカルシウムとリン、鉄と亜鉛と銅などは性質が似通っているのでお互いの吸収が競合しあうこともあります。
それとは逆に、カルシウムとビタミンD、鉄とビタミンCなど、一緒に摂取することによって吸収されやすくなるものもあります。これらをすべて把握することは難しいため、たくさんの食材を使用して栄養素をバランスよく摂取するようにすることが大切となります。
日本人は、カルシウムや亜鉛、鉄などは不足しやすいですが、ナトリウムやリン摂取しすぎる傾向にあると言えます。ナトリウムは、加工品に多く含まれていたり外食やお惣菜なども少し濃いめの味付けがなされていたりするため摂取のしすぎとなってしまいます。その上、加工食品にはミネラルの吸収を阻害するリン酸塩が含まれているため、ミネラルを効率的に摂取することが難しくなっています。
できるだけ、冷凍食品やコンビニ弁当などの添加物が多く含まれる製品の摂取は控え、自炊をしたり添加物の少ないお弁当やお惣菜を食事に取り入れるようにしましょう。
ミネラルについてのまとめ
私たちの体は、タンパク質、炭水化物、脂質の三大栄養素とそれらを代謝するのを補助するためのビタミン、ミネラルによって構成されています。特に近年、様々な理由によりミネラル不足が問題となっています。ミネラルには、主要ミネラルと微量ミネラルがあり、どちらも食物からしか体の中に取り込むことができません。ミネラルは不足すると体に様々な弊害が起こります。しかし逆に過剰に摂取しても弊害が起こるミネラルもあります。
また、どれか1種類のミネラルを重点的に摂取してもその効果は十分に発揮されず、ミネラルはバランスよく摂取することでお互いの働きを高めることが分かっています。ミネラルをバランスよく摂取するためには、栄養価の高い食材をなるべく多く使って栄養バランスの良い食事を摂ることが大切です。
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