高齢者の貧血に注意!予防のために食事で気をつけること
作成日:2021年10月4日
貧血は若い女性に多いイメージですが、高齢者の方も注意が必用です。高齢になると食事量の減少や栄養バランスの乱れなどによって、体に必要な栄養素が十分に足りておらず貧血の原因となっている場合があります。また、高齢者の貧血の原因には病気が隠れていることもあるので注意が必用です。鉄不足による貧血を予防するためにすぐにできるポイントをご紹介します。
目次
◆貧血の原因別4種類
血液は「血球」と「血漿(けっしょう)」という成分でできています。
血球には、「赤血球」「白血球」「血小板」の3種類があり、それぞれ異なる働きをしています。赤血球は肺から取り込んだ酸素を全身に運び、二酸化炭素を回収する働きがあります。
貧血とは血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが減少した状態のことです。
ヘモグロビンは赤血球の主成分になっているたんぱく質で、全身に酸素を運ぶ働きをしているので不足すると動悸や息切れ、めまい、体がだるいなど、さまざまな症状が現れます。
貧血になっているかどうかは、採血をしてヘモグロビン値を測定します。W H Oの基準によると、成人男性で13g/dL未満、成人女性で12g/dL未満、高齢者の場合は、11 g/dL未満の状態が貧血と定義されています。
貧血にはいくつか種類があります。
・鉄欠乏性貧血
貧血の中で最も多いのが鉄欠乏性貧血で、その名の通り体内の鉄が不足することで起こる貧血です。
特に女性に多くみられます。鉄はヘモグロビンを作るために欠かせない栄養素なので、不足するとヘモグロビンがうまく作られなくなります。
すると全身に酸素を十分に運ぶことができず、動悸や息切れ、疲れやすいといった貧血の症状が現れます。
原因は、偏った食事による栄養バランスの乱れや食事を抜くなどの無理なダイエットによる鉄の不足。
成長期や妊娠などによる鉄需要の増加、月経や痔、胃潰瘍による出血も原因となります。さらに、大腸がんや子宮がんなどによる出血が原因となっていることもあります。
また、胃を切除したことにより胃酸の分泌が不足して、鉄の吸収が十分に行われないことも要因となります。
・巨赤芽球性貧血
巨赤芽球性貧血とは、赤血球をつくるために必要なビタミンB12や葉酸が不足することでD N Aの合成がうまくいかず、未熟な赤血球(巨赤芽球)が骨髄の中にできることで起こる貧血です。
胃粘膜の萎縮や、胃液の分泌が悪い方、胃の切除手術を行った方はビタミンB12が欠乏することが多く、巨赤芽球性貧血を発症することが多いと言われています。
・再生不良性貧血
再生不良性貧血とは、造血幹細胞が何らかの原因で障害されて血液中の赤血球、白血球、血小板のすべてが減少する病気のことです。
生まれつき遺伝子に異常があることで発症する先天性のものと後天性のものがあります。
後天性のものは、薬の服用やウイルスなどが原因となることがありますが、原因がわからないものも多いそうです。国が定める指定難病のひとつです。
・溶結性貧血
溶血性貧血とは血液中の赤血球が破壊されることによって起こる貧血です。
赤血球の寿命はおよそ120日ですが、何らかの原因で本来の寿命よりも早く赤血球が破壊されてしまうことで起こります。
赤血球が破壊されると骨髄は新しく赤血球をつくり出しますが、その数以上に破壊が進むと溶血性貧血の症状が現れます。
原因はさまざまですが、生まれつき赤血球に何らかの異常があることで発症する先天性のものと免疫の異常などによって起こる後天性のものがあります。
◆貧血の高齢者の原因
鉄不足が原因で起こる貧血が最も多い貧血ですが、高齢になると病気が原因となって貧血が起こる可能性も高くなります。
高齢者が鉄不足になってしまう主な原因は、加齢により食事量が減少して必要な鉄が摂取できていないこと。また、加齢によって消化器官の機能が衰えて十分に鉄が吸収できていないことが考えられます。
さらに、体内に鉄が十分にあっても悪性腫瘍や膠原病、感染症などの病気が原因となって鉄を上手く利用できていない場合もあります。
特に原因がわからない場合、加齢による「老人性貧血」と診断される場合もあります。
高齢になると活動量が減ることで、動悸や息切れ、めまいなどの自覚症状がない方も多く貧血に気が付きにくいので、本人だけでなくご家族の方も日ごろから体調変化に気を配り、少しでも気になる症状があれば、医師に相談することがおすすめです。
◆貧血の予防に必要な栄養素
鉄不足が原因で起こる貧血は毎日の食事で予防することが可能です。
そのためには、赤血球を作るために欠かせない鉄はもちろん、造血ビタミンと呼ばれるビタミンB12や葉酸をしっかりと摂取することも欠かせません。
貧血予防に欠かせない栄養素と食材についてご紹介していきます。
・鉄
鉄は酸素を全身に運ぶ赤血球を作るために欠かせないミネラルです。また、筋肉内に酸素を取り込む働きもあり、不足すると酸素を上手く取り込めずに筋力低下や疲労を起こす原因にもなります。
鉄を多く含む食材は、牛・豚・鶏のレバーや赤身肉、カツオ、マグロなどの赤身の魚、あさりやしじみ、小松菜や菜の花、ほうれん草などの青菜類、納豆、湯葉、青のりなどです。
・たんぱく質
たんぱく質は筋肉や内臓、骨、皮膚、髪の毛、血液などを作るもとになります。これらは毎日新しく作られているので毎日摂取することが大切です。
また、代謝に必要な酵素やホルモンを作るのに欠かせない原材料にもなります。たんぱく質は、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などから満遍なく食べましょう。
何かの食材に偏ることなく動物性たんぱく質と植物性たんぱく質をバランスよく食べることがポイントです。
・ビタミンB12
ビタミンB12は赤血球を作るのを助ける働きがあり、貧血予防に欠かせないビタミンです。
また、傷ついた神経細胞を修復する効果があり、手足のしびれなどにも効果が期待できます。
ビタミンB12は動物性食品に多く含まれています。牛・豚・鶏のレバーやチーズ。魚介類ではさんま、にしん、牡蠣、しじみ、あさりなどに豊富です。
・葉酸
ビタミンB群の一種である葉酸はビタミンB12と協力して赤血球を作り、食べたものをエネルギーに変えるのを助ける役割があります。
また、DNAを正常に作る材料にもなります。葉酸は菜の花やほうれん草、モロヘイヤ、ブロッコリーなどの野菜類や豆、海藻などに多く含まれています。動物性の食材ではレバーに豊富です。
・ビタミンC
ビタミンCは鉄の吸収をよくしてヘモグロビンの合成を助ける働きがあります。また、コラーゲンの合成にも関わり、ストレスから体を守る働きをします。活性酸素を消去する抗酸化作用があり、動脈硬化の予防にも効果が期待できます。さらに、皮膚のシミやしわを防ぎ、傷や炎症の治りをよくする効果もあります。水溶性のビタミンで熱に弱い性質があるので、生で食べるとより効果的に摂取できます。
ビタミンCを多く含む食材は、パプリカ、ブロッコリー、カリフラワー、さつまいも、じゃがいも、レモン、いちご、キウイフルーツ、オレンジなどです。
◆1日に必要な鉄の摂取量
鉄の食事摂取推奨量は、1日あたり成人男性で7.0 mg〜7.5mg、成人女性で6.0 mg〜6.5mg、月経のある成人女性は10.5 mg〜11 mgとされています。
(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」参考)
鉄が豊富な食材100gあたりの含有量はこちらです。
豚レバー…13.0 mg
鶏レバー…9.0 mg
牛レバー…4.0 mg
牛もも赤身肉…2.7 mg
しじみ…8.3 mg
あさり…3.8 mg
かつお…1.9 mg
まぐろ…1.1 mg
小松菜…2.8 mg
菜の花…2.9 mg
ほうれん草…2.0 mg
納豆…3.3 mg
参考:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
レバーにはひときわ多く鉄が含まれていることがわかります。
また、レバーは鉄だけでなく、ビタミンAやビタミンB1・B2、B12、葉酸、たんぱく質なども含まれている栄養価の高い食材です。
レバーの臭みが気になる方は香味野菜と一緒に調理をすることで、食べやすくなります。
ただし、食べすぎるとビタミンAや鉄の含有量が多いため過剰摂取になる可能性もあります。食べ過ぎには気をつけましょう。
◆吸収率が高い「ヘム鉄」
鉄は動物性食品、植物性食品どちらにも含まれていますが、体内への吸収率に差があります。
レバーや魚類に多く含まれる「ヘム鉄」は青菜類や大豆製品に含まれる「非ヘム鉄」に比べて体内への吸収率が15~25%ほど高いと言われています。
高齢になると豆腐や野菜など、あっさりとしたものを好む方が多くなりますが、貧血予防のためにはヘム鉄を多く含む肉や魚などの動物性食品も適度に摂取することが大切です。
鉄と一緒に血液を作るもとになるたんぱく質やビタミンB12、葉酸などのビタミンも併せて摂取することもポイントです。非ヘム鉄を含む食材はビタミンCと一緒に摂取したり、たんぱく質と一緒に食べることで鉄の吸収率を高めることができます。
また、鉄製のフライパンなど、鉄製の調理器具を使用して調理することで溶け出た鉄が料理に含まれるので手軽に鉄の摂取量を増やすことができておすすめです。
鉄が豊富な食材を意識してとることは貧血予防に大切ですが、鉄だけを大量に摂取してしまうと銅や亜鉛の吸収を妨げてしまうことがあります。
何かの食材に偏ることなくさまざまな食材から栄養を摂取することが大切です。食事は1日3食、主食、主菜、副菜とバランスよく食べることを心がけましょう。
◆貧血の時に気をつける食材
コーヒー、紅茶、緑茶などに含まれているタンニンは、鉄と結びついて鉄の吸収を妨げる働きをするので、貧血の症状がある場合は控えた方がいい食材です。
食後すぐにコーヒーや紅茶を飲むと鉄の吸収を妨げてしまうので、少し時間を空けてから飲むようにしましょう。
また、玄米やライ麦などに含まれているフィチン酸は鉄の吸収を妨げる働きをします。栄養価の高い食材ですが、貧血が気になる時は玄米ご飯やライ麦パンは控えましょう。
さらに、加工食品やインスタント食品の保存料に含まれている、カルシウム塩、シュウ酸塩、リン酸などは鉄の吸収を妨げる働きをします。
手軽に食べられて便利ですが、食べすぎには注意が必用です。
◆健康のための生活習慣
・適度な運動を取り入れて食欲増進
高齢になると運動量が減ることにより、お腹が空かずしっかりと食事をとれないこともあります。
ウォーキングや簡単な筋力トレーニングなど、軽い運動を無理のない範囲で取り入れることで食欲アップが期待できます。
適度な運動を継続することで、足腰の筋肉の強化や骨に適度な刺激が加わることで骨粗しょう症の予防にもなり、ロコモティブシンドローム予防にも効果的です。
・1日3食しっかり食べる
人の体は食べたものから作られているので、1日3食の食事で体を健康に保つための栄養を摂取する必要があります。
欠食をすると体に必要な栄養が不足してしまう可能性が高くなります。
朝食を抜く方は多いかもしれませんが、朝食をしっかりと食べることで体を目覚めさせる働きや脳のエネルギーを調達する効果もあります。
食欲がない場合でもヨーグルトやフルーツなど食べやすいものを少しでも食べるようにすると効果的です。
鉄不足の貧血は血液を作る栄養素が不足していることが原因なので、1日3食しっかりと食べることを心がけましょう。
・間食も上手に活用しよう
加齢によって一度に食べられる量が減り、1日3食では十分な栄養を摂取できない時は間食も上手に活用しましょう。
たんぱく質やカルシウムが豊富な牛乳やヨーグルト、チーズ、ビタミンやミネラルが豊富なフルーツをおやつに取り入れることで栄養バランスがアップします。
プルーンやレーズンなどのドライフルーツには鉄が含まれているので、おやつに取り入れるのもおすすめです。
また、たんぱく質がとれるたまごプリンや喉ごしがよく食欲がない時にも食べやすいフルーツゼリーなどもおすすめです。体調や好みに合わせて取り入れてみてください。
◆宅配弁当を活用しよう!
鉄不足で起こる貧血は、欠食や偏った食事などによって栄養が不足してしまうことが大きな原因です。予防・改善のためには、日頃の食事の栄養バランスを整えることが大切です。
バランスがとれた食事が大切だとわかっていても、高齢者の一人暮らしや家族の仕事が忙しいなど、バランスを考えて何品も作るのが難しい時もありますよね。
そんな時には、宅配弁当を活用するのもおすすめです。
「まごころ弁当」のお弁当は高齢者の方向けに栄養バランスや食べやすさにこだわって作られたお弁当です。栄養士がメニューを考えているので、栄養バランスもバッチリ!
さらに、健康状態に合わせて選べるさまざまな種類があります。
普通食のお弁当はもちろん、カロリー制限をしている方向けのお弁当やたんぱく質を制限している方向けのお弁当、咀嚼が難しくなってきた方向けのムース食のお弁当など種類も豊富です。
前日までに注文すれば自宅に届けてくれるので、予定に合わせて注文が可能です。
お弁当の内容は日替わりなので、続けて注文しても飽きないですよ。
「おかずのみ」や「おかずとごはんセット」も選べるので、ごはんは自宅で炊くので、おかずだけ欲しいといった注文方法も可能です。
健康な体を維持するためには、栄養バランスが整った食事を継続することが大切です。食事を作るのが大変だなと思う時は宅配のお弁当も上手に活用して健康的な食生活を目指しましょう。
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