鼻炎の原因|避けた方が良い食べ物とは?
作成日:2021年4月19日
鼻水や鼻づまりなどの鼻炎の症状は、続くと非常に不快で辛いと思う方も多いと思います。特に近年は花粉症の方や通年性のアレルギー性鼻炎の方が増加傾向と言われています。それは、花粉の原因である杉などの木が、戦後に植林されて現在成長して花粉をたくさん飛散させていたり、密閉住宅などによってハウスダストが溜まりやすいためと言われています。今回は、鼻炎の原因とその対処法について詳しく説明していきます。
目次
1. 鼻炎とはどんな症状?
鼻には、においを感じたり呼吸をしたり、外からきた外敵が身体の中へ侵入するのを防ぐ役割があります。鼻の中には鼻毛が生えており、これがフィルターの役目をしています。さらに奥にある鼻腔には、粘膜が張り巡らされていて、鼻水が少しずつ分泌されて、取り込んだ空気に適度な湿度を与えるように調節されています。
鼻炎とは、この鼻腔の粘膜に炎症が起きた状態のことを言います。この炎症によって、鼻水や鼻づまりなどの症状が起こります。風邪の場合も鼻水や鼻づまりが起こりますが、風邪の鼻水は、最初は水っぽい感じですが、徐々に粘り気が出てきて収まっていきます。アレルギー性の鼻炎の際には、鼻水が水っぽく治らずにずっと症状が持続します。
私たちの中は、同じ環境の中にいてもアレルギー反応が出る人と、出ない人がいます。例えば同じ量の花粉を浴びたとき、ある人は花粉症の症状が激しくでるけれど、ある人は全く症状が出ないということもあります。これは、体質によるものです。人それぞれアレルゲンを許容できる量というのは決まっています。
この許容量を超えてアレルゲンと触れたとき、人はアレルギー反応を起こしてしまいます。
2. アレルギー反応の仕組み
鼻炎の原因は、アレルギーによるものがほとんどです。私たちの身体は、異物が身体の中に入り込んだ時に、異物と認識すると攻撃をして身体の外へと排出しようとします。このような反応の時に、過剰な反応が起こることをアレルギー反応と言います。
アレルギーの原因となるアレルゲン(花粉やハウスダストなど)が、身体の中に入り込むと、マクロファージと呼ばれる免疫細胞が細胞内に異物を取り込んで、身体に有害な物質であることをリンパ球に伝達します。
リンパ球は、異物を攻撃する細胞で、攻撃するための物質(抗体)を作って身体の外へと排除しようとします。このとき作られた抗体は、身体の中にある肥満細胞と一緒になって、次に同じ異物が侵入してきたときに再度攻撃できるように準備をします(この状態を感作と言います)。そして、準備が整った状態で再度アレルゲンが侵入すると、アレルゲンを追い出すために、ヒスタミンという伝達物質を放出します。このヒスタミンが作用することによって、くしゃみや鼻水、鼻づまりが起こるのです。
3. アレルギー性鼻炎の種類
1) 花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)
多くの人が悩まされる花粉症のアレルゲンである花粉は1年を通して飛散しています。特に多いのが、春先に飛散する杉やヒノキですが、それ以外にも夏にはイネやシラカンバ、秋にはブタクサやヨモギなど、人それぞれさまざまな花粉によってアレルギー反応を出現させます。
花粉症は、遺伝によるものが主な原因と言われていますが、ストレスが多い人や栄養不足な人、生活リズムが乱れている人などが花粉症になりやすいとされています。
2) 通年性アレルギー性鼻炎
花粉症とは違い、季節を問わずにアレルゲンによってアレルギー症状が出現することを通年性アレルギー性鼻炎と言います。通年性アレルギー性鼻炎の主な原因は、ハウスダストと言われています。室内に落ちているほこりやカビ、ダニなどが混合したもので、近年では、密閉された住宅が増えているため、より患者さんは増加傾向とされています。
また、ハウスダスト以外に、黄砂やPM2.5などの海外からの飛散物も通年性アレルギー性鼻炎の原因になります。
4. アレルギー性鼻炎の検査
アレルギー性鼻炎と診断された場合、まずアレルゲンは何かを知る必要があります。そのアレルゲンを特定するためには、採血をして調べます。その他にもさまざまな検査があります。
鼻汁好酸球検査 | アレルギー性鼻炎の約80%では鼻水の中に好酸球という細胞が増加するため、鼻水を採取してこのいるのかを調べます。 |
特異的IgE抗体検査 | 少量の採血で血液中の抗原に反応するIgE抗体の種類、量を調べます。これによってほこり、ダニなどの一年中あるアレルギーか、スギ、イネ科などの季節性の花粉症か、などが判断できます。また、おおよその程度も推測できます。 |
皮膚内テスト | 原因として疑わしい抗原のエキスを皮内に注射し皮膚での反応を見ます。 何カ所か注射する必要があるため痛みの問題や、注射部位の腫れ、痒みなどの反応が強くでる場合があります。 |
鼻粘膜誘発試験 | ハウスダストやスギの成分を染み込ませた紙切れを置いて局所の反応を観察します。 最も敏感な検査のひとつであり、どの症状が強いかなどの治療に役立つ情報が得られます。また、手術の適応を決めたり、手術効果の判定にも有用な検査です。 |
このような検査を行って、原因が究明されて確定診断された場合、さまざまな治療を選択して行っていきます。
5. アレルギー性鼻炎の治療
1) 薬物治療
辛い鼻症状を抑える抗ヒスタミン薬や鼻詰まりを解消する血管収縮剤(点鼻薬)を使用した薬物療法は、気軽に始めることができる鼻炎治療の1つです。重症の場合には、ステロイド点鼻薬(副腎皮質ホルモン)を使用することもあります。ただし、抗ヒスタミン薬は眠気の副作用が出ることもあるので、服用の際には注意が必要です。
2) アレルゲンの除去
アレルギー症状を改善させるには、アレルゲンを除去することが重要です。花粉症に悩まされている人は、むやみに外出しないことや、窓を開けっぱなしにしない、洗濯物を外へ干さないなどの工夫をするとよいでしょう。また、外出から帰ったら、上着は、空気に触れていた外側を内側にして速やかに選択をするようにしましょう。とにかく、家の中で花粉になるべく触れないようにすることが大切です。
ダニやハウスダストがアレルゲンの方は、毎日必ず掃除機をかけて、家を清潔に保つようにしましょう。ベッドマットをしっかりと干したり、カバーは頻回に変えたりするようにしましょう。また、毛の長いじゅうたんやぬいぐるみなどはなるべく置かないようにしましょう。
3) 減感作業療法
減感作療法は、アレルギー性鼻炎の中でも唯一根本的な治癒として確立しています。原因となっているアレルゲンを段階的に量を増やしながら体に投与していきます。ただし、週に1~2回の注射を1年間程度続ける必要があること、複数の抗原にアレルギーがある場合は施行が難しいこと、皮膚の赤みやかゆみなどの副作用があることなどがデメリットです。ごくまれに全身性のショックなつよい副作用が起こることもあります。
4) 手術
アレルギー性鼻炎は体質的なものであるため、薬や手術によって体質そのものを変えることはできません。しかし、様々な手術方法の開発によって鼻粘膜をアレルギー反応が起こりにくい粘膜に変えることは可能になってきています。
代表的な手術治療として、レーザー手術などの鼻の奥の粘膜を焼く手術があります。他にも、くしゃみや鼻水に関連している神経を切断するという手術もあります。
5) 抗IgE抗体注射(スギ花粉症のみ)
2020年より、重症のスギ花粉症で悩む方に対して抗IgEを皮下注射する治療を行えるようになりました。花粉症で、1日中鼻水が止まらない方や、花粉症の治療薬で日中に眠気が強く日常生活に支障が出るような方におすすめの治療です。IgEとは、アレルゲンが身体の中に入ってきたときにアレルゲンに攻撃して身体を守る機能があります。抗IgE抗体注射は、血液中の総IgE値や体重をもとに投与量が計算されて、2~4週毎に注射を打ちます。
6) 舌下免疫療法
舌下免疫療法とは、アレルゲンを少しずつ身体の中に吸収させることによって、アレルギー反応を弱めていく治療法です。スギ花粉症やダニのアレルギー症状を根本的に治すことができると言われています。1日1回少量の治療薬から服用を始めて、3年以上かけてゆっくりと継続して治療を行っていきます。時間はかかりますが、アレルギー症状を和らげてくれる効果が期待できます。
6. アレルギー性鼻炎の食事
1)食べた方がよい栄養素
現在のところ、アレルギー性鼻炎に劇的な効果がある食材というのは、根拠が示されていません。しかし、ヨーグルトや乳酸菌には、腸内での有害菌の増殖を抑え、腸内環境が正常化されてアレルギー疾患も改善されるのではないかと考えられています。
また、まぐろやさば、さんまなどの魚やアマニ油などに多く含まれている、αリノレン酸やEPA、DHAなどは、抗炎症作用や抗アレルギー作用があると言われています。他にも、皮膚や粘膜の状態を健康に保つ働きがあるビタミンAを積極的に摂取するとよいでしょう。ビタミンAはレバーやにんじん、ほうれん草などに多く含まれています。
次に、ピーマンやブロッコリー、キウイフルーツやかんきつ類などに多く含まれているビタミンCはアレルギー反応を引き起こすヒスタミンの分泌を抑える働きがあると言われています。かつおや鮭、さんまなどに多く含まれるビタミンDは、免疫機能を正常に保つ役割があります。
さらに、食物繊維やオリゴ糖、発酵食品を意識的に摂取するようにしましょう。これらの栄養素は腸内環境を整えて免疫機能を正常に保ってくれます。
2) アレルギー性鼻炎の方が避けた方がよい食べ物
動物性のたんぱく質は摂取しすぎると、悪玉菌の餌になってしまい、腸内環境を増悪させる原因になってしまいます。たんぱく質は、生きていく上で必要な栄養素であるため、全く摂取しないというのはよくありません。お肉よりはお魚を選択するようにしたり、大豆製品というように良質なたんぱく質を摂取するとよいでしょう。
また、飲酒はなるべく控えるようにしましょう。摂取したアルコールが肝臓で分解されるときにアセトアルデヒドと呼ばれる物質ができるのですが、このアセトアルデヒドがアレルギーの嫌な症状を引き起こす原因となるヒスタミンを増加させる作用があります。そのため、アレルギー症状が辛いときには飲酒は控えるようにいしましょう。
その他にも、リンゴや桃、サクランボ(カバノキ科)や、トマト(ヒノキ科やイネ科)、メロン、スイカなど(キク科ブタクサの花粉)、ジャガイモ、キウイフルーツ(イネ科、カバノキ科)などの食材は、アレルギーを起こしやすいため、摂取には注意が必要です。
7. アレルギー性鼻炎のまとめ
アレルギー性鼻炎には、花粉症や通年性アレルギー性鼻炎があります。花粉症では、その人それぞれの特定のアレルゲンが、鼻の粘膜や目の粘膜などを刺激して、鼻水や目のかゆみなど不快な症状が出現します。通年性アレルギー性鼻炎は、ダニやほこりなどのハウスダストが原因で起こることが多いとされています。
近年では、アレルギー性鼻炎の治療方法も発達してきて、薬物療法だけではなく、さまざまな治療法から選択して治療を受けることができるようになりました。どのような治療法がよいのかは、症状の程度や個人差があるので、治療を自己判断で中止したり、内服量を変更したりしないようにしましょう。
適切な治療を受けつつ、免疫力を高めたり腸内環境を整えたりする栄養素をしっかりととることは重要です。しかし、よいと言われた食材を過剰に食べるのでは、効果はあまりありません。栄養バランスのしっかりとれた献立の中で、少しだけカロリーや塩分濃度、食材の内容を見直してみたりアレルゲンになりそうな食材はないかどうかなどの確認をするようにしましょう。
しかし、毎日栄養バランスがしっかりとれる食事を作るのはなかなか大変だと感じる方もいるかもしれません。そのようなときには、まごころ弁当を活用していただいてと、毎日日替わりのお弁当を召し上がっていただくことができます。少しでもアレルギー性鼻炎の不快な症状が消えるように、身体の外側からも内側からもケアをしていくとよいでしょう。