若年性アルツハイマーとは?認知症とその予防について
作成日:2021年4月19日
高齢社会である現代、ただ長く生きることが重要なのではなく、健康寿命を延ばすことの重要性が叫ばれています。高齢者の寝たきりの原因には、骨折やさまざまな疾患があり、その中で認知症も原因の1つとされています。認知症にはさまざまな種類がありますが、今回は認知症についてとその予防方法について詳しく説明していきます。
目次
1.『認知症』とは
認知症とは、さまざまな原因で脳細胞の働きが悪くなったり、脳細胞が壊れてしまったりすることによって、身体活動や精神活動などが日常生活を送るうえで支障が出てしまうことを言います。私たちは、加齢とともにもの忘れをするようになったり、身体の反応が鈍くなったりするようになります。
この加齢によるもの忘れなどは、何らかの助けがあれば思い出すことができ、自分でも忘れてしまっていたということを自覚しているもの忘れで、日常生活に支障をきたすほどのものではありません。しかし認知症の場合、脳神経が破壊されてしまっているので、その物事の記憶自体が完全に失われているため、助けがあっても思い出すことができず、忘れていることを本人が自覚することができません。進行性で、徐々に日常生活にも支障をきたしていきます。
認知症には、アルツハイマー型認知症、脳血管型認知症、レビー小体認知症などの種類があり、認知症の方の約6割がアルツハイマー型認知症です。
1) アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞がアミロイドβタンパクという物質によって壊されて脳が委縮してしまいます。特に記憶をつかさどる海馬という部分から委縮が始まることから、もの忘れなどの症状から気付かれることが多いとされています。もの忘れから始まった症状は、新しいことが記憶できなかったり、時間や場所が分からなくなったり、妄想や徘徊などの症状へと進行していきます。
アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβタンパクは、加齢と共に増えやすくなるため、高齢者での発症が多いですが、まれに30~50代の若年層でも発症することがあります。これを若年性アルツハイマー型認知症と言いますが、症状は同様で遺伝によるものが大きいとされています。
2) 脳血管型認知症
脳梗塞や脳出血などによって脳が障害されて発症するのが、脳血管型認知症です。その障害された場所や程度によって、認知症の症状は異なります。そのため、できることとできないことの差が大きく、1日のうちでも症状の変化がみられることがあります。アルツハイマー型認知症とは違って、症状を自覚することができるので、落ち込んだり怒ったりと情緒面で不安定になることもあり感情のコントロールがしにくくなります。
3) レビー小体認知症
脳の神経細胞の中にレビー小体と呼ばれる異常たんぱくが出現することによって発症し、幻視や幻聴、異常言動などの症状が出現します。手足が震えたり、小刻み歩行になったりとパーキンソン病と同様の症状が現れることもあります。他にも気分が落ち込み意欲が低下してしまう抑うつ状態になりやすいのも特徴です。時間や日によっても症状が異なるため、診断がつきにくくパーキンソン病と最初に診断される場合もあります。
2.『認知症』の症状
認知症には、中核症状と呼ばれる認知症の方には必ず起こる症状と、本人の性格や環境変化なども加わって起こる周辺症状とがあります。
中核症状として代表的なものは記憶障害で、昔のことは比較的覚えているのに直前の出来事は忘れているなどの症状が出現します。症状の進行と共に昔の記憶も失われていくことが多いです。その他にも、時間や場所、名前などが分からなくなる見当識障害や、物事の理解や判断力が低下したり、言葉が出なくなったり、これまでできていた当たり前の行動(箸が持って食べるなど)ができなくなるなどの失語・失行・失認があります。
周辺症状としては、意欲が低下したり落ち込みやすくなったりする抑うつ状態になったり、失禁をしてしまったり、徘徊、暴言や暴力など感情のコントロールがきかなくなったりなどの症状が出現します。その他にも、盗まれたと思い込んだり、見えていないものが見えたりするなどの妄想やせん妄、幻覚などの症状もあります。このような症状は、一気に出現するのではなく、徐々に進行していき日常生活を1人で送るのが困難になっていきます。
3.『認知症』の治療
アルツハイマー型認知症は、その症状の進行を緩やかにする治療薬があります。その効果は人によってさまざまなで、劇的に効果が出る人もいればあまり効果が得られない人もいます。同じ薬がレミー小体認知症にも効果がある場合もあります。しかし、この薬は、認知症を完治させるものではなく、あくまでも症状の進行を遅らせることが目的となっています。
また、脳血管型認知症に対しては治療薬はないとされています。他にも不安や不眠などの精神状態を安定させる薬や妄想やせん妄を落ち着かせる薬を内服し、周辺症状を改善させる治療も行われます。
薬物療法以外にも、アルツハイマー型認知症の方には回想法といって、昔の楽しかった出来事を話してもらって共有することによって、認知症の進行を緩やかにさせたり気持ちをリラックスさせたりする治療もあります。他にも、自分や家族の名前、現在の日付や時間、場所などの見当識を一緒に確認し、周囲へ関心をもつことを促したり進行を遅らせたりする訓練もあります。
また、運動療法も認知症の治療としては重要です。リハビリテーションとして身体を動かして寝たきり状態になるのを予防したり、適度な運動をすることによって夜間睡眠を促しやすくなり生活リズムを整えることもできます。また運動は、気分転換にもなるので無理のないペースで行うことで抑うつ状態が改善されたり、興奮などの行動障害を軽減させたりすることもできます。
その他にも、ペットや園芸、音楽、ゲームなどの趣味を楽しむことによって、精神の安定をはかり抑うつ状態を軽減させることができると言われています。
認知症に対しては、完治させる治療法は現在のところありません。症状を緩和させたり、進行を遅らせたりする治療法はありますが、それも個人差があります。そのため、認知症の予防が重要になってきます。
4.『認知症』の予防
1) 生活習慣病を予防する
アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症の発症は、動脈硬化や糖尿病、脳血管障害などの生活習慣病との関連が強いと言われています。そのため、生活習慣病を予防したり治療することは、認知症を予防することにつながります。
生活習慣病を予防するためには、適正なカロリーの食事を摂取し、規則正しい生活を送ることが重要です。脂肪や糖質の多すぎる食事や、栄養バランスに偏りがある食事などは、肥満や動脈硬化、糖尿病につながります。摂取カロリーや塩分量、コレステロールに注意をして、バランスの良い食事を摂るようにしましょう。特に近年では、食生活の欧米化によって野菜不足や脂肪摂取過多が指摘されているので、野菜を意識的に摂取するようにするとよいでしょう。また、1日3食決まった時間に食べることも重要です。
他にも、アルコールは適量にすること(ビール500ml、日本酒1本、ワイングラス2杯程度)や、禁煙をすることも大切です。アルコールは、適量であれば問題はありませんが、摂取のし過ぎは肥満や内臓の病気の原因になったり、アルコール中毒になる場合もあります。それによって脳が委縮して認知症状が出現することもあるので注意が必要です。喫煙は、血管を収縮させる作用があるため、脳血管を収縮させたり梗塞を起こしやすくなります。それ以外にもさまざまな病気の原因となるため、なるべく禁煙をするようにしましょう。
2) 運動をする
生活習慣病予防としても運動は非常に重要ですし、運動をするために身体を動かすとそれだけで脳を刺激することができます。私たちは、身体を動かすとき、脳が指令を出して筋肉を動かしています。また、適度な運動は血流を改善させることができたり、気分転換にもなります。
さらには、寝たきりの予防をすることもできます。認知症は寝たきりの原因の1つとなっています。無理のない範囲で身体を動かしたり、関節を動かしたりすることによって、日常生活を自分の力で送る時間を延ばすことができます。
3) 人と交流する
1人でずっと家にいると、ぼんやりしてしまったり、意欲が低下したり、日時がはっきりしなくなってしまったりします。人と交流し会話することによって、脳に刺激がいき血流も改善します。また、抑うつ状態も改善することもあります。ご家族と会話をしたり、何かの作業を一緒に行ったり、何かのグループに酸化したりして、社会とのつながりを持つことは、認知症予防に非常に有効であると考えられています。
4) 脳のトレーニングを行う
認知症の前段階と呼ばれるMCI(軽度認知障害)の段階で、囲碁や将棋などの頭を使うゲームや計算問題などに意欲的に取り組むことも認知症予防には大切です。ただ、嫌々やるのではなく、自分が興味を持ったこと、楽しいと思えること、達成感を味わえることを毎日継続していくことが大切です。
5.『認知症』予防の食事
認知症を予防するためには、脂質異常症や高血圧症を予防するような食事を摂取することが大切です。野菜や根菜類、豆類、魚、鶏肉などコレステロールや脂肪が少ないとされている食材を積極的に摂取するようにしましょう。
具体的な食材としては、にんじん、カボチャ、ほうれん草などの緑黄色野菜には、ビタミンCやビタミンEが豊富に含まれています。これらは、コレステロール値を下げたり、血管の老化を防ぐ抗酸化作用があると言われています。
豆製品には、大豆レシチンと呼ばれる成分が含まれています。この大豆レシチンは、神経伝達物質をつくることができると言われており、認知症のリスクを減らすことができると考えられています。いわしやさば、さんまなどの青魚には、DHAやEPAという不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減少させる作用があると言われています。逆に、赤身の肉や脂身の多い肉、チーズやバターなどの乳製品、甘いお菓子や揚げ物、ファーストフードなどの食べ過ぎには注意が必要です。
この他にもコーヒーや緑茶に含まれているカフェインには、利尿作用があるため血液中に不要になったたんぱく質を身体の外へと排出させる効果があると言われています。また、緑茶に含まれるカテキンには抗酸化作用があるため血栓予防にも効果的です。ただし、カフェインの摂取のしすぎは睡眠に影響を及ぼすことがあり、生活リズムの乱れにつながるので、1日2~3杯程度の摂取にとどめておきましょう。
どのような食材であっても、効果があるからと言って過剰に摂取する必要はありません。逆に赤身の肉があまりよくないからと言って全く食べないというのもよくありません。きちんと栄養バランスを整えることによって、それぞれの栄養の効果を十分に発揮することができるため、認知症予防によいとされる食材をなるべく意識的に摂取しつつ、さまざまな食材をおいしく食べることが大切です。
6.『認知症』まとめ
認知症には、アルツハイマー型認知症や脳血管型認知症、レミー小体認知症などの種類があり、症状や原因はその人によってさまざまです。また、認知症を完治させる治療法なく、進行を遅らせる薬はありますが、その効果には個人差があります。
そのため、認知症は予防することが非常に重要になってきます。認知症予防の中でも特に重要であるのが食事です。何か特別な食材を摂取するのではなく、生活習慣病を予防するように、カロリーや塩分を制限したり、お肉よりはお魚を選んだり、野菜を意識的に摂取したりするようにしましょう。何か1つの食材に偏るのではなく、栄養バランスがしっかりと取れた食事を心がけるのが大切です。
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