なぜこむら返りは起こるの?原因や予防法について
作成日:2021年8月18日
こむら返りは50歳以上では一生のうちに一度は必ず経験しており、2か月に1度こむら返りを経験する人の割合は60歳以上で33%、80歳以上で50%とおよそ半数に起こっています。突然の痛みに睡眠を妨げられたり、翌日も違和感が残ることがありますよね。当初は一過性で自然に治まっていても、次第にこむら返りが起こる回数が増えて繰り返しやすくなったり、病気が原因でこむら返りが起こりやすくなることもあります。ここでは、こむら返りの原因や予防法について解説します!
目次
こむら返りの原因とは?
こむら返りは医学的には下肢有痛性痙攣といいます。有痛性痙攣は全身の筋肉で起こりますが、こむら返りの「こむら」とはふくらはぎのことで、主にふくらはぎの筋肉が異常に収縮して痙攣することです。
こむら返りはが起こるメカニズムは、ミネラルの働きが関係しています。筋肉の収縮の調節に関わるミネラルは主にマグネシウムとカルシウムです。ふくらはぎには筋肉の伸びすぎを防ぐ筋紡錘(きんぼうすい)と縮みすぎを防ぐ腱紡錘(けんぼうすい)があります。マグネシウムは収縮した筋肉を緩める働きをすることから、マグネシウムが不足すると筋肉は緩みにくくなり、腱紡錘の機能が低下した状態になるとこむら返りが起こります。
なぜ睡眠中に起こることが多いのかというと、睡眠中はつま先が自然に外側に伸びた状態となり、ふくらはぎが少し縮んだ状態になること、さらに寝ている間にも汗をかいており水分が不足した状態となり、ミネラルバランスが崩れやすいことが関係しています。運動中や運動後にこむら返りが起こるのは、水分の不足に加えて筋肉の疲労により筋紡錘も腱紡錘も過敏な状態となり、誤作動を起こしやすくなるためです。また、冷えによって血液の流れが悪くなることや、加齢や運動不足によっても腱紡錘の機能は低下するためこむら返りが起こりやすくなります。
下痢や嘔吐、薬(降圧薬や利尿薬、高脂血症治療薬、インスリン注射、女性・男性ホルモンなど)の影響などによってもミネラルのバランスは崩れることがあるためこむら返りが起こりやすくなります。また、妊娠中のこむら返りは、お腹が大きくなって足の筋肉の負担が大きくなったり血液の流れが悪くなったり、赤ちゃんの成長に伴い母体の血液の濃度が低くなることなど様々な要因があります。
また、こむら返りは病気の症状によっても起こりやすくなることがあります。こむら返りの原因となる病気は、甲状腺機能亢進症や低下症などの甲状腺の病気、糖尿病、肝硬変などの肝臓病、筋肉の病気、腎臓病、末梢神経障害などです。
これからの季節に注意したいのが熱中症です。熱中症でも初期の症状で脱水とミネラルバランスの異常からこむら返りが起こることがあります。
こむら返りを予防する方法
・ミネラルを豊富に含む食べ物を摂取する
こむら返りの予防のためにはマグネシウムやカリウム、カルシウムといったミネラルが不足しないよう積極的に摂取すると良いでしょう。マグネシウムは海藻類や大豆に多く含まれています。カルシウムは牛乳やチーズなどの乳製品、骨や殻ごと食べられる小魚や小エビ等に多く含まれます。カリウムは切干大根やアボカド、納豆に多く含まれています。
・リンを多く含む食べ物は控える
リンはカルシウムの排泄を促進する作用があります。リンは清涼飲料水やレトルト食品、ハムなどの加工食品等に食品添加物として使用されています。
・こまめに水分補給を行う
こむら返りの予防には日頃からこまめに水分を摂取することが大切です。特に運動中や睡眠中は汗をかき水分不足となります。汗をかくと水分だけでなくミネラルも失われることから、運動中の飲み物は水よりもスポーツドリンクがおすすめです。また、寝る前にコップ1杯程度水分を摂ることで睡眠中のこむら返りの防ぐ効果が期待できます。冷たい飲み物は体を冷やしてしまうため、寝る前は常温の水を飲むようにしましょう。
・ふくらはぎの筋肉をほぐすストレッチを行う
筋肉の血行を良くするために、ふくらはぎや太ももの筋肉をほぐすストレッチが効果的です。30~50cm程の台や椅子に体重をかけながら片足を乗せ、もう片方の足はかかとをあげずに太ももとふくらはぎの筋肉を伸ばします。息を吐きながら10秒程度伸ばし、足を入れ替えて反対側も同様に行ってください。左右15回ずつが目安となります。いきなり伸ばすと筋肉を痛めてしまう可能性があるため、無理せず転倒に気を付けながら行いましょう。
・マッサージを行う
運動の前後や寝る前に太ももとふくらはぎのマッサージをすると効果的です。保湿クリームを足全体に塗り、下から上へ向かってもんだり、なで上げるようにすると血液やリンパの流れが良くなります。脚のマッサージはこむら返りの予防になるだけでなく、足の傷やむくみなどを見つける機会にもなるため毎日続けて行うと良いでしょう。
・足腰を冷やさない
冷えは血液の流れを悪くしてしまうため、強すぎる冷房は避け、足腰を冷やさないことが大切です。足先が冷たくなっている時や寒さが厳しい時は、レッグウォーマーを履いたり温湿布を貼るなどして下半身を温めるようにしましょう。もちろん入浴も効果的です。入浴が難しい時は桶にお湯を張り足だけでも浸かるようにすると体が温まります。
・仰向けで寝ない
特に重たい掛け布団であれば、足首が伸びてふくらはぎの筋肉が緩んだ状態となるため、こむら返りが起きやすくなります。掛け布団は軽いものを選び、横向きで寝るとこむら返りを予防する効果があります。
・運動習慣をつける
適度な運動は足の筋肉の血流が良くなります。疲れが残らない程度に体を動かすようにしましょう。運動ができない時は、壁を正面にして立ち、つかまりながら踵を上げたり下ろしたりしてつま先立ち運動を行うようにするとふくらはぎの筋肉に刺激を与えることができます。
・歩きやすい靴を履く
足が偏平足であるとバランスが悪いため足の指に力を入れて地面を捉えないと立っていられず、足の筋肉の負担が大きくなります。そのため自分の足の形にあった靴選びが重要です。また、こむら返りが起こりやすい人はヒールが高い靴を履く時は短時間にするか、なるべく避けるようにしたほうが無難です。
・血糖をコントロールする
こむら返りが頻繁に起こりやすい方は血糖値が高めである場合があります。病院を受診し、適切な治療を受けることが必要です。血糖値が改善するとこむら返りが起こりにくくなります。
こむら返りの対処法とは?
こむら返りが起こったら、硬くなっている筋肉をゆっくりと伸ばします。ふくらはぎのこむら返りであれば、膝を伸ばして座り、つま先に手をかけて引き寄せるように反らすか、立ってアキレス腱を伸ばす姿勢となることでこむら返りが起こっている筋肉を伸ばすことが出来ます。痛みが治まったら、こむら返りが起こった部位を優しくマッサージしましょう。
こむら返りは健康な人に起こる一過性のものであることが多いですが、こむら返りが起こる頻度が高くなり繰り返しやすくなったり、日常生活に支障をきたすほどである場合には原因となる病気がないかを調べる必要があります。病気がわかった場合にはその治療を優先させます。また、こむら返りの治療には筋肉の緊張を和らげる薬や、芍薬甘草湯という漢方が処方されることもあります。芍薬甘草湯は筋肉の緊張を緩め、痙攣やそれに伴う痛みを抑える効果があります。
こむら返りのまとめ
中高年になると筋肉量の減少や水分不足、血行不良など様々な要因が重なり、こむら返りが慢性化したり重症化しやすくなります。時には病気のサインとなることもあるため、こむら返りが起こる頻度が多い時には、医師に相談してみましょう。
こむら返りの予防には、ミネラルだけでなくたんぱく質やビタミンなど、バランスの良い食事を摂ることも効果的です。栄養バランスの良い食事を毎日作るのは大変、という方は配食サービスを利用してみてはいかがでしょうか。配食サービスを利用することで、人との接触を減らしながら手軽に栄養バランスの良い食事を食べることができます。
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