【老人ホームの食事に最適】クモ膜下出血の原因は脳動脈瘤の破裂
作成日:2021年9月12日
クモ膜下出血は脳を覆っている膜の1つであるクモ膜下腔が出血する病気で、バットで殴られたような激しい頭痛を伴うことがあります。クモ膜下出血は脳動脈瘤の破裂が原因で発症することがほとんどであり、脳動脈瘤の破裂の要因には生活習慣が関係しています。ここではクモ膜下出血の原因や治療法、予防法などについて解説します。
目次
クモ膜下出血とはどんな病気?
クモ膜下出血とは、脳の表面を覆う膜の1つである「クモ膜」の下に出血がある状態をいいます。脳を覆う膜には外側から硬膜、クモ膜、軟膜があります。
クモ膜下出血の90%は脳動脈瘤の破裂が原因で起こります。クモ膜と脳の間には動脈が走行しており、原因はまだはっきりと解明されていませんが、動脈瘤というこぶが血管の弱い部分にできやすい傾向があります。脳動脈瘤があるだけでは自覚症状はありませんが、脳ドックなどで発見が可能です。一般的に日本人の成人では2~6%の方に未破裂脳動脈瘤が見つかると言われており、家族にクモ膜下出血の既往がある場合や未破裂脳動脈瘤がある場合に発見される可能性が高くなります。他にも、クモ膜下出血は脳動静脈奇形や外傷などが原因で発症することがあります。
クモ膜下出血の症状は、今までに体験したことの無いような激しい頭痛や嘔吐、意識障害です。重度の場合には、頭痛を感じずいきなり意識を失う例もあります。脳梗塞や脳出血とは異なり、手足の麻痺は生じないことが多いです。
クモ膜下出血は20代であっても発症することがあり、年齢を重ねるごとに発症率が上昇します。男性は40~50代が発症のピークで、女性では60代以降に急激に発症しやすくなります。発症後の回復率は60歳が境であり、若いうちであれば比較的回復しやすいですが、高齢者が発症すると命が助かっても回復に時間がかかったり、後遺症が残ることがあります。
クモ膜下出血を起こしやすい人の要因
脳動脈瘤が破裂しやすくなるリスクには高血圧、喫煙歴、過度の飲酒、家族歴などがあります。高血圧がある人はそうでない人と比較するとクモ膜下出血による死亡リスクが約3倍も高くなります。血圧が高くなると動脈瘤にかかる圧力も高くなるため破裂の危険性が高くなると考えられています。また、喫煙の習慣がある人は非喫煙者の2.2倍~3.6倍もクモ膜下出血を発症するリスクが高くなります。さらに、過度な飲酒はアルコールによって血圧が上昇することからクモ膜下出血の最も危険な因子となっています。
クモ膜下出血の発症には家族歴も関係しています。家族に脳卒中(クモ膜下出血、脳出血、脳梗塞)の病歴がある場合は男女ともに2倍リスクが高くなることが分かっています。
クモ膜下出血の前兆とは?
クモ膜下出血はある日突然発症すると考えられていましたが、最近の研究では前兆があることが分かってきました。1つは血圧の乱高下です。心あたりがないのに血圧が激しく上がったり下がったりする場合には注意が必要です。また、クモ膜下出血の前兆として急な頭痛を経験する人が多く、この頭痛は「警告頭痛」とも呼ばれています。他にも目の痛みやめまい、吐き気、物が二重に見えるなどの症状があります。これらの前兆はしばらくすると治りますが、数日後にクモ膜下出血を起こす危険性があるため、気になる症状がある場合はできるだけ早く受診するようにしましょう。
クモ膜下出血の治療方法とは?
クモ膜下出血は命に関わる重篤な病気であるため入院治療が必要となります。発症してすぐの急性期には脳の血管が攣縮し、血種ができることによって脳梗塞を併発することもあるため、細心の注意が必要です。ほかにもてんかんや肺炎など様々な合併症を起こす可能性が高いため、慎重に経過を観察していきます。出血によって脳が圧迫され命に危険がある場合には、開頭手術を行い脳の圧を下げます。
一度破裂してしまった脳動脈瘤は再び裂けて出血しやすく、再出血すると死亡するリスクや後遺症が残る可能性が高くなります。そのため、再出血が起こる前に早急に再出血を予防する治療が必要となります。再出血は初回の出血から24時間後、あるいは1~2週間後に発生することが多いと報告されています。
脳動脈瘤の再出血を防ぐ手術には開頭手術とカテーテル治療があります。これらの治療は患者さんの年齢や個々の状態、持病や脳動脈瘤の大きさや部位などによって選択されます。開頭手術は「脳動脈瘤クリッピング術」といい、脳動脈瘤の根本をクリップで挟み、血液が脳動脈瘤に流入しないようにします。脳動脈瘤に対するカテーテル治療は、「コイル塞栓術」といい、足の血管から細いカテーテルを挿入し、脳動脈瘤内に柔らかいコイルを詰めて閉塞させる治療法です。また、瘤が大きい場合にはステントと呼ばれる金属のチューブのようなものをカテーテルで挿入して瘤の入り口を塞ぐ方法もあります。
治療に要する入院期間は重症度や合併症の有無など患者さんの個々の状態で変化します。軽傷では1か月程度のこともあれば、重症だと3か月以上に及ぶ場合もあります。
クモ膜下出血の予防方法とは?
・脳ドックを受ける
日本人の成人2~6%に未破裂脳動脈瘤があると言われていますが、自覚症状が無いことがほとんどであり、脳動脈瘤を発見するためには脳の検査が必要です。一度も脳の検査を受けたことが無く、50歳以上もしくは家族に脳卒中の病歴がある場合には一度脳ドックを受けることをおすすめします。
脳ドックではクモ膜下出血をはじめとする脳の病気の有無を調べることができます。MRIだけでは未破裂脳動脈瘤を発見することは難しいため、脳ドックでは脳の血管を写し出すMRAも行われます。通常5㎜以下の脳動脈瘤が発見された場合は経過を観察します。5~7mm以上の動脈瘤、もしくはサイズが小さくても瘤の形や部位などによっては治療が検討されます。
・高血圧の治療、予防をする
→病院を受診し、医師の指示通りに薬を飲みましょう。収縮期血圧が10~20mmHg低下すると脳卒中の発症リスクが50%低下する、ということが分かっています。また、高血圧の予防には適度な運動も効果的です。適度な運動をすると血圧を下げるホルモンが働き、血圧を上げるホルモンの分泌は減少します。
<高血圧を予防する減塩調理のポイント>
・味付けは調理中ではなく調理後に行う。
・昆布やかつおなど出汁を上手に使い、食材のうまみを生かす。
・スパイスなどの香辛料や酢による酸味など、味にアクセントをつける。
・醤油はかけるのではなく小皿にとり、つけるようにする。
・煮魚より焼き魚を選ぶ。
・ラーメンやうどんなどの汁は飲まない。
・塩蔵品や漬物、佃煮は控える。
・インスタント食品は避ける。
・急な温度変化を避ける
温かいところから寒いところに行く、など急な温度差を感じると体温を逃がさないようにするため血圧が上がります。温度が大きく変化することで血圧が急上昇し、脳卒中や心筋梗塞などが起こってしまうこともあり、これをヒートショックといいます。ヒートショックは11月~2月に多く、浴室や脱衣所などの気温が下がり長風呂になりやすことから危険が高くなります。ヒートショックを予防するためには、脱衣所や浴室を暖かくし、お湯の温度は38~40度とし、身体に負担の少ない入浴方法を心がけましょう。
・禁煙し、過度な飲酒は避ける
喫煙、過度な飲酒はクモ膜下出血の危険因子です。ほかにも、様々な病気を引き起こすおそれがあることから、タバコ、過度な飲酒はやめるようにしましょう。厚生労働省が推進する「健康日本21」では節度ある適度な飲酒量は、1日平均純アルコールで約20g程度としています。
クモ膜下出血のまとめ
クモ膜下出血は脳動脈瘤の破裂で発症することがほとんどであり、年齢を追うごとに発症率が高くなります。発症すると死亡率が高く、後遺症が残るおそれもあることから、定期的に脳ドックを受け、規則正しい生活を心がけることが大切です。クモ膜下出血の発症因子となる高血圧の予防には運動習慣や規則正しい生活に加え、塩分の摂取量に気を付ける必要があります。
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