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坐骨神経痛の原因や治療法について

作成日:2021年10月23日

坐骨神経痛の原因や治療法について

座ったままや立ったままの姿勢がつらい、姿勢を変えようとするとお尻や太腿に激痛が走る・・・このような症状がある場合は坐骨神経痛かもしれません。坐骨神経痛は、神経が障害されることで引き起こされる症状です。ここでは坐骨神経痛の原因や治療法、改善法などについて解説します。

坐骨神経痛について

坐骨神経は、お尻の筋肉の前方にあり、骨盤の中から足の先まで1mほど伸びている太くて長い神経です。この坐骨神経が何らかの原因によって障害されることでお尻や足に痛み、しびれなどが見られる症状を坐骨神経痛といいます。坐骨神経痛は、腰に負担のかかる仕事の人や、激しい運動をする人、デスクワークの人に多いと言われています。

また、若年層では椎間板ヘルニアが原因となることが多いです。中高年層では椎間板ヘルニアに加えてすべり症や脊柱管狭窄症などが発症の原因となります。高齢者では骨粗しょう症により背骨が変形して神経を圧迫することもあります。

坐骨神経痛がひどくなると歩くことが困難となり、手術が必要になる場合もあります。日常生活に支障をきたす前に適切な治療を行うことで痛みやしびれは軽減されますが、根治は難しく、再発することもあります。そのため、再発予防には日常生活で腰に負担をかけないように気を付けることが大切です。

坐骨神経痛の症状とは?

坐骨神経痛では、以下のような症状がみられます。

・腰痛

・お尻の痛み、痺れ

・姿勢によってお尻、太もも、足の痛みやしびれが増強する

・少し歩くと痛みやしびれが出て歩けなくなる(休むと回復する)

・痛みがあり立ったまま、座ったままの状態がつらい

・足が冷たい、だるい、感覚の異常がある

・足の力の入り具合に左右差がある

・足に力が入らずつまずきやすい

・お尻か足にかけてひきつる感覚がある

・排尿、排便のトラブルが多くなった

これらの症状は坐骨神経痛以外の病気でもみられます。重大な病気が潜んでいる可能性もあるため、早めに整形外科を受診するようにしましょう。

坐骨神経痛の原因とは?

坐骨神経痛は背骨、筋肉、内臓などに問題が生じることで起こります。

1.背骨の問題
背骨は椎骨という骨とクッションの役割をする椎間板が交互に積み重なってできており、これらが変形すると坐骨神経を圧迫して痛みやしびれなどの症状を引き起こします。一般的には腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などの疾患が原因となることが多いです。

2.筋肉の問題
腰やお尻の筋肉が坐骨神経を圧迫することで症状が起こります。梨状筋というお尻にある股関節を支えている筋肉に負担がかかって硬くなることで側にある坐骨神経を圧迫する梨状筋症候群などがあります。

3.内臓などの問題
内臓のがんが脊椎に転移すると、神経が刺激されて坐骨神経痛が起こる場合があります。また、女性ではごくまれに子宮筋腫や卵巣嚢腫などの病気、妊娠に伴う神経の圧迫が原因となることもあります。

坐骨神経痛の治療法とは?

坐骨神経痛の治療法は、重篤な症状がみられていな場合にはまずは手術を行わない保存療法が適応となります。坐骨神経痛を改善させる保存療法にはいくつか種類があります。

・物理療法
筋肉の緊張を緩和させることで機能回復を図る治療法です。温熱やマッサージなどによる血流の促進や、骨盤をけん引して筋肉の過剰な緊張を緩和させることで症状を和らげます。

・装具療法
正しくコルセットを装着することで、腰の動きを制限して坐骨神経痛が生じる姿勢にならないようにすることができます。長期間の使用は腰を支える筋力の低下を招くため、注意が必要です。

・運動療法
運動療法は症状が軽い時に行います。体操やストレッチを行うことで、関節が本来の可動性を取り戻し、症状が緩和します。

・薬物療法
痛みを鎮める鎮痛薬や、筋肉の緊張を和らげる筋緊張弛緩薬などが用いられます。また、末梢の血流を良くする薬や、末梢神経の傷を修復させる薬など症状に応じて処方されます。温湿布や冷湿布も薬物療法に含まれます。

・神経ブロック療法
痛みが強い場合や、上記の保存療法で効果が見られない場合に選択されます。神経や神経周辺の組織に麻酔薬や炎症を抑える薬を注射して痛みが伝わる経路をブロックしたり、神経の興奮を鎮めたりする治療法です。場合によっては複数回にわたって注射を行う必要がありますが、効果は一時的ではなく、繰り返し行うことでより症状の改善が期待できます。

・手術
排尿、排便障害や強い麻痺がみられる場合や保存療法で改善されず日常生活に大きな影響をきたしている場合などは手術の適応となることがあります。

坐骨神経痛の改善方法とは?

・正しい姿勢を保ち、長時間同じ姿勢をとらないようにする。

座るときは骨盤を立たせることを意識します。足を組む、横座り、あひる座りは避け、体重が左右のお尻へ均等にかかるようにしましょう。

・ストレッチを行う

デスクワークや立ち仕事などの合間にストレッチを行い、筋肉の緊張をほぐすことで背骨への負担を軽減することができます。

<立って行うストレッチ>

1.両足を軽く開いて立ち、手を前に伸ばす。

2.そのまま身体を前へゆっくり倒し、腰や太腿の裏の筋肉を伸ばしていく。

3.呼吸をしながら3秒姿勢をキープし、ゆっくり元の姿勢に戻す。

4.5回繰り返す。

<座って行うストレッチ>

1.椅子に腰かけたまま、もしくは床に座って足を伸ばした状態で手を前に出す。

2.そのまま身体を前へゆっくり倒し、腰や太腿の裏の筋肉を伸ばしていく。

3.呼吸をしながら3秒姿勢をキープし、ゆっくり元の姿勢に戻す。

4.5回繰り返す。

・重いものをできるだけ持たないようにする。

腰に負担がかかることを避けるため、買い物などで重い物を持つときは両手で持つ、前かがみの姿勢で持たないなどの工夫が必要です。

・身体が冷えないように注意する。

身体が冷えると血流が悪くなり、痛みが増強する原因となります。冷たい飲み物や食べ物を摂り過ぎないようにし、夏の冷房による冷えにも注意しましょう。

・毎日入浴して身体を温める。

できるだけ毎日湯船に浸かり、身体を芯から温めるようにしましょう。お湯の温度は40度前後で、15分程度の入浴がおすすめです。場合によっては入浴によって一時的に悪化することもあるため、様子を見ながら無理はしないようにしましょう。

・毎日軽い運動を行う。

筋肉が衰えると背骨に負担が多くかかります。痛みがそれほど強くない時は、軽いスクワットやウォーキングやラジオ体操などの運動を行うようにしましょう。また、膝や股関節に疾患がある場合は、必ず医師に相談し、運動の中止、もしくは自分に合ったメニューで運動するようにしましょう。

<高齢者でも無理なくできるスクワット>

1.壁の前に両足を軽く開いて立つ。

2.椅子に腰かけるようにお尻をゆっくり下ろし、膝が90度以上は曲がらない位置で止まる。

3.呼吸をしながら3秒キープし、ゆっくり膝を伸ばす。

4.5回繰り返す。

この運動は1日3回を目安に行いましょう。お尻を下したときにバランスを崩しやすくなるため、無理は禁物です。

・肥満を解消する。

肥満は身体を支える関節や筋肉の負担となるため、適正体重を目指しましょう。ただし、高齢者の場合、ダイエット方法を間違えると栄養不足や筋力の低下を招いてしまうため、エネルギーや栄養素の過不足がないバランスがとれた食事を摂ることが大切です。特に高齢者は肉や魚などの動物性たんぱく質が不足しがちであるため、意識して摂取するようにしましょう。

坐骨神経痛のまとめ

坐骨神経痛は適切な治療で症状の緩和が期待できます。つらい症状が長引くと外に出るのも億劫になってしまい、さらなる不調を招いて、日常生活に支障をきたすこともあるため、悪化する前に整形外科を受診しましょう。普段から筋力の維持のために運動をしたり、腰に負担がかかり過ぎないように工夫したりすることで坐骨神経痛の予防や改善効果が期待できます。

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この記事の作成者:A.N(看護師)
この記事の提供元:シルバーライフ

医師の顔写真

この記事の監修医師

医療法人優美会 吉井クリニック 院長

吉井 友季子 先生

監修医師の
所属病院ホームページ

◯病院名 :医療法人優美会 吉井クリニック

◯住所 :大阪府吹田市豊津町1-21 エサカ中央ビル5F

◯診療科 :健診、人間ドック、内科、婦人科疾患、美容医療

《プロフィール》

・生まれ :大阪

・学歴 :大阪府立天王寺高校、大阪市立大学附属病院医学部卒業

・趣味 :ドライブ

・好きな言葉 :努力は必ず報われる

・モットー :いつも明るく笑顔を絶やさない事

・プライベートの過ごし方 :好きな車でドライブ

・健康で意識していること :偏食をしないこと。朝食は必ずとること。

《資格・所属》

・日本外科学会認定医

・日本消化器病学会専門医

・日本消化器内視鏡学会専門医

・日本医師会認定産業医

・サーマクール認定医


・日本美容皮膚科学会会員

・日本人間ドック学会会員 など

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