手作りマヨネーズ 温野菜サラダにもおススメ
作成日:2021年12月19日
ホクホク蒸したジャガイモやカリフラワー、ポテトサラダに茹で卵…。マヨネーズを乗せて食べたくなる食材は、いろいろと思いつきますね。
市販のマヨネーズももちろんおいしいですが、今回はちょっとひと手間、手作りマヨネーズにチャレンジ!おいしいレシピもご紹介します。
目次
マヨネーズとは?
まずは、マヨネーズの誕生からひもといてみましょう。
時は18世紀半ば、当時はイギリス領であった現在のスペイン、メノルカ島は、フランス軍からの攻撃を受けていました。
そんなある日、フランス軍指揮官、リシュリュー侯爵が、メノルカ島の港町マオンで料理に添えられたおいしいソースに出会います。
このソースはサルサ・マヨルーサと呼ばれていました。
当時は卵黄に塩とオリーブオイルを混ぜただけとシンプルなものだったようですが、そのおいしさに、フランスはパリに持ち込まれることとなります。
やがて酢を加えた現在の姿となり、マオンのソース→マヨネーズへと変化し、フランスで広く知れ渡っていったと言われています。
そののち、ヨーロッパはもとより、アメリカ大陸にも持ち込まれます。
そんなマヨネーズは、約150年の時を経て、アメリカで缶詰の勉強をしていたある日本人の目に留まります。
栄養価が高いマヨネーズは、当時まだまだ体が小さかった日本人の体格をよくするために、とてもよい食品だと考えた彼は研究に研究を重ね、後に卵を増やしてより栄養価を高めたマヨネーズを、日本で広めることとなりました。
卵と酢、油で作られた、とてもシンプルながらコクがあるマヨネーズは日本人の口にもよく合うだけではなく、日本料理、中華料理とさまざまな国の料理にアレンジされ、世界中に広まるところとなりました。
マヨネーズの保存方法とは?
スーパーマーケットでは味噌やしょうゆなどと共に、常温で販売されているマヨネーズ。生卵を使って作られているのに、冷蔵庫保管しなくて大丈夫なのだろうかと不安に思いますね。
マヨネーズは未開封であれば、冷蔵庫ではなく、冷暗所で保存することができます。
これは、保存料や防腐剤などがはいっているからではなく、原材料である酢や塩に防腐作用があるためなのです。
マヨネーズは水(卵や酢)と油を混ぜ合わせて乳化させて作られています。
未開封であっても、あまりに暑いところや冷たすぎるところにおくと、分離して油が浮いたような状態になってしまいます。
このような状態になってしまったものは、残念ながら品質が劣化してしまっているので、避けた方がよいでしょう。
作り置きなどの味付けにマヨネーズを利用した時も同様で、解凍時に分離してしまうので、避けた方が無難です。
使用するときはチューブの口に他の食材や汚れが付かないように注意し、開封後は冷蔵庫の野菜室で保管します。
開封後1カ月程度で食べきれる量の物を購入するようにしましょう。
レシチンの乳化作用とは?
本来混ざるはずがない油と酢(水分)、フレンチドレッシングを家庭で作ったことがある方なら経験があるかもしれませんが、しっかりと混ぜてどろりと乳化したように見えても、時間が経つと分離してしまいます
しかし、同じように油分と水分を混ぜて作るマヨネーズは、加熱や冷凍、劣化などを受けない限り、分離することはありません。
これは卵黄に含まれるレシチンという成分の働きによるものなのです。
レシチンはホスファチジルコリンとも呼ばれる成分で、今から約150年前に発見されました。
卵黄から見つけられたため、「卵黄」を意味するギリシャ語、「レシトス」から、レシチンという名前が付けられたということです。
レシチンは親水性で水になじみやすい性質をもつ物質と、親油性で油になじみやすい性質の物質から構成されています。
そのため、油にも水にもなじみがよく、それぞれをつなげる作用=乳化を行うことができます。その性質を上手に利用したのが、マヨネーズなのです。
レシチンには、卵黄レシチンのほかに大豆に含まれる大豆レシチンというものもあります。
どちらも油と水を乳化させる働きがあるのですが、私たちの体に及ぼす影響は少しずつ違っています。
卵黄レシチンは神経系に働きかけるため、脳機能の改善が期待できます。
一方、大豆レシチンは高脂血症や脳卒中、高脂血症循環器系の疾患の予防やダイエットに効果があると言われています。
レシチンが不足すると、イライラや不眠症が起こることがあります。
また、レシチンは記憶を司るアセチルコリンという物質の生成を促します。記憶力を維持し、脳細胞を健やかに保つほか、アルツハイマー病の予防にも役立つと言われています。
さらに、レシチンが持つ乳化作用は血中コレステロールが血管にこびりつくのを防ぐ働きがあり、コレステロール値の低下にも役立ちます。
このほかにも、脂肪肝の改善や肝硬変の予防、肥満防止や美肌効果が期待できると期待されています。
マヨネーズの栄養価とは?
マヨネーズには、日本で主流となっている、卵黄のみを使って作るコクがあるものと、海外に多い、全卵を使って作るさっぱりとしたものがあります。また、カロリーや脂質を控えて作られたものもありますね。
現在、スーパーマーケットで手軽に購入できる代表的な3種類のマヨネーズについて、下記の通りご紹介します。
各100gあたり | エネルギー (kcal) | 糖質 | 脂質 (g) | ナトリウム (mg) | ビタミン E(mg) | ビタミン K(mg) |
マヨネーズ・ 全卵型 | 706 | 3.6 | 76.0 | 730 | 13.1 | 120 |
マヨネーズ・ 卵黄型 | 686 | 0.6 | 74.7 | 770 | 10.7 | 140 |
マヨネーズ・ カロリー控えめタイプ | 282 | 2.5 | 28.3 | 1,500 | 4.8 | 53 |
日本食品標準成分表2020年版(八訂)より
上の表にみるとおり、糖質がとても少ないのが特徴です。持病などで糖質の摂取に制限がある方には、使いやすい調味料の一つでもあります。
ただし、脂質、カロリーともに高いので、食べる量には注意が必要です。
このほかに、抗酸化作用が高いビタミンEや、けがなどで出血した際、止血を促す酵素を助ける働きを持つビタミンKを含んでいます。
マヨネーズは野菜の栄養の吸収率を高める?
大量に食べるものではないため、ビタミンEやKといった栄養をしっかりと取る、という目的でマヨネーズそのものを見ることは、なかなか難しいかもしれません。
ですが、マヨネーズ最大の利点に、脂質があります。ビタミンには水に溶ける水溶性ビタミンと、油にとける脂溶性ビタミンとがあります。
脂溶性ビタミンにはビタミンA(βカロテン)やビタミンD、ビタミンE、ビタミンKがあります。
これらは油を合わせて調理し、食べることで吸収がよくなるという性質があります。
煮物や、ダイエットのためと油脂分を含まないドレッシングでサラダをいただいた場合、マヨネーズなど油脂を含むドレッシングでいただいた場合では、後者の方が脂溶性ビタミンの吸収率が高くなります。
手作りマヨネーズレシピ
このように、おいしいという以外にも、食べるとよいことがあるマヨネーズですが、実はご家庭で手作りすることができるのです。
ここからは基本の手作りマヨネーズの作り方をご紹介します。
【材料】(作りやすい分量)
・卵黄…1個分
・塩…小さじ1/2
・サラダ油…100CC
・酢…大さじ1/2~大さじ1
・練りがらし…少々
【作り方】
①小さめのボールに卵黄を入れ、溶きほぐします。ここにサラダオイルを小さじ1杯弱程度加え、しっかりと擦りまぜます。
②最初は分離していた卵黄とサラダオイルがなじんでくれば、再びサラダオイルを小さじ1弱加え、さらによく混ぜます。分離していたものがなじんだら小さじ1弱加え、さらに混ぜる…を繰り返し、サラダオイルがすべてなじむまで、しっかりと混ぜます。
サラダオイルを半分ほど加えたころから、透明感があった卵黄が、マヨネーズらしい不透明な薄黄色に変わり、マヨネーズとは違う硬さや粘りが出てきます。
この段階でしっかりと乳化させ、糸を引くような粘りをだしておくことが、マヨネーズ作りの成功の秘訣となります。
③サラダオイルがすべて混ざり切ったら練りがらし、塩を加え、しっかりと混ぜます。
練りがらしの量はお好みで加減してください。(練りがらしの量は目安として、チューブのものなら長さ5mm程度で十分です。)
④③に酢を小さじ1弱ずつ加え、さらに擦りまぜます。好みの味になるまで加え、しっかりと混ざったら出来上がりです。
※手作りマヨネーズはあくまでも家庭の台所で作るものです。出来上がったものは作り置きせず、その日のうちに食べきるようにしてくださいね。
温野菜サラダなどに添えて食べるのも、野菜がたくさん取れておすすめです。
マヨネーズアレンジレシピ
マヨネーズは濃厚でしっかりとした味ですが、意外にさまざまな調味料を受け止め、さらにおいしくなる力を持っています。ここではいくつかのアレンジ法をご紹介します。
ゴマとマヨネーズ
ごまの香ばしさが加わったマヨネーズは、あっさりとした味のタケノコやトマトにとてもよく合います。
味噌とマヨネーズ
味噌をくわえると、しょっぱさや発酵食品独特のコクが加わります。味噌焼きなどをするときにも、味噌のみだと塩分が多すぎる、という方にもおススメです。
ゆず胡椒とマヨネーズ
ゆず胡椒のピリリとした辛さが食欲をそそるゆず胡椒マヨネーズは、塩のみで焼いた鶏肉、サラダチキンにも最適です。淡白な鶏肉を風味豊かに仕上げてくれますよ。
マヨネーズで作る!濃厚ごまドレッシング
白濁してとろりとしたタイプのごまドレッシング、野菜にもよくからみ、食べやすいですね。このタイプのドレッシングは、マヨネーズを使うと簡単に作ることができますよ。
市販のものをひと瓶買うとどうしても残ってしまう…という方にも、おすすめです。
【材料】
・白ごま…大さじ1
(または練りごま…小さじ1)
・しょうゆ…小さじ1/2程度
・牛乳または豆乳…大さじ1/2~1
【作り方】
①白ごまは軽く炒り、香りが出てきたらすり鉢に移して好みの加減にすりつぶします。
②小さなボールにマヨネーズを入れ、①のごま、またはねりごまを加えてよく混ぜます。
(練りごまを使用した場合は、混ぜていると一瞬固く締まったような状態になりますが、気にせずにダマをつぶすように混ぜておきます。
③②にしょうゆを少しずつ加えてはよく混ぜ、溶きのばします。
ボゾボゾとした感じになってしまいますが、きにしなくても大丈夫です。
④③に少しずつ牛乳または豆乳を加え、さらに混ぜ、溶きのばします。
⑤好みの濃度になれば出来上がりです。
ピリリとした辛みがおいしい!シーザーサラダドレッシング
ちょっとおしゃれなレストランで食べる、少しピリリと辛くてにんにくの香りもおいしいシーザーサラダ。マヨネーズを使うと、このドレッシングも簡単に手作りすることができます。
【材料】
・にんにく…1かけ
・マヨネーズ…大さじ2
・塩・こしょう…各適宜
・牛乳または豆乳…大さじ2
【作り方】
①にんにくは皮をむいて芽を取り除き、すりおろします。
②①にマヨネーズを加え、よく混ぜ、牛乳または豆乳を少しずつ加えて溶きのばします。
③好みの濃度になれば、塩・こしょうで味をととのえます。
④レタス(あればロメインレタス)たっぷりのサラダにクルトン、ベーコンなどを乗せ、お好みで黒こしょう、粉チーズを振って、このドレッシングを全体に回しかけてお召し上がりください。
マヨネーズレシピのまとめ
今回はマヨネーズの歴史、作り方やアレンジについてご紹介しました。
一時、「マヨラー」という言葉が生まれたくらい、マヨネーズが好きな方は多いですね。便利な調味料ではありますが、カロリーが高いのも、また事実。
また、卵を使用して作られているので、卵アレルギーがある方には召し上がっていただくことはできません。
最近では卵不使用のマヨネーズも市販されています。
体調や体質に合わせて上手に選び、マヨネーズを活用してみてくださいね。