手作りケーキやドリンクの簡単レシピ 家族で過ごすクリスマスに
作成日:2021年12月19日
クリスマスといえば、白いクリームがきれいに塗られたフワフワのスポンジケーキにサンタさんの帽子のような、真っ赤ないちごが乗った、いちごのショートケーキを思い浮かべますか?
それとも薪をかたどったブッシュ・ド・ノエル?どれも捨てがたいですね。
今回はそのどちらでもなく、ちょっと大人にラム酒漬けのフルーツをたっぷりと使ったフルーツケーキをご紹介します。
目次
フルーツケーキとは
現在私たちが目にするフルーツケーキといえば、パウンドケーキの生地に、ラム酒に漬けたたっぷりのドライフルーツが混ぜ込まれているものですね。
もともとはイギリス伝統のお菓子で、イギリスではクリスマスやウエディングパーティには欠かせない存在となっています。
日本ではフルーツケーキは直方体の型で焼かれ、周りのデコレーションしないことが多いのに対し、イギリスでは丸い型で焼き、アーモンドと砂糖をペースト状にして作るマジパンと、砂糖にゼラチンやショートニングなどを混ぜてつくるアイシングペーストという甘いペーストで周りを包み、アイシングペーストやアイシングを使って美しく飾ります。
このケーキは芸術性がどんどん高まり、さまざまな技法が編み出され、現在では世界大会が開催されるほどの芸術作品が生まれています。
フルーツケーキが誕生したのはいつ?
イギリスのフルーツケーキ、イタリアのパネトーネ、ドイツではシュトーレン、フランスではドイツ国境付近アルザス地方で作られているヴェラベッカ…ヨーロッパを中心に、クリスマスに食べるケーキは、国は違えど、どれもドライフルーツがたっぷりと混ぜこまれているものが多いのが特徴です。
フルーツケーキの起原について詳しくはわかっていないのですが、紀元前、古代エジプトで食べられていた、ドライフルーツやナッツを盛り込んだパンのような食べ物から発展したのではないかとする説があります。
当時は貴重品だったドライフルーツやハチミツ、ナッツ類…、さまざまな材料をパンに練り込み、焼き上げていたというものです。
もともと、ドライフルーツには糖分があり、パンを発酵させる力を持つ酵母が多くついています。
現代のようにパンを発酵させるためのイースト菌がしっかりと確立されていない当時、ドライフルーツは好都合だったのかもしれません。
その後、ギリシアを経てヨーロッパ各地に広がり、それぞれの土地で独自の進化を遂げたのではないかということです。
また、中世になりシルクロードを経てさまざまなスパイスが手に入るようになったこと、砂糖の精製技術が高まったことをうけ、ケーキはさらなる進化を遂げることとなります。
当時は高価だった砂糖やスパイス、しかし、これらをふんだんに使うことでケーキの保存性をも高め、戦争の際、持ち歩いて食べるおやつとしても重宝されていたようです。
冷蔵・冷凍技術がない当時、常温で長期間保存が効くフルーツケーキは、とても貴重なものだったのでしょうね。
ところが、高価な材料を使って作られるフルーツケーキは、18世紀には、ぜいたく品だとして普段のおやつに食べることが禁じられました。
時を経て19世紀、ビクトリア女王がアイシングを施したフルーツケーキを自身の結婚式に用いることとなります。
このことが、フルーツケーキをウエディングケーキとして広く食べられるきっかけともなったのです。
現在でこそさまざまな種類のウエディングケーキを見ることができますが、当時、フルーツケーキはクリスマスやウエディングといった、ハレの日のメニューだったようですね。
ドライフルーツの栄養や利点とは
フルーツの皮には、虫や病原菌、紫外線から自分自身を守るために、アントシアニンをはじめとするポリフェノールが含まれています。
巨峰をはじめとする紫色のブドウやプルーンの皮も、アントシアニンの紫色に染まっていますね。
ポリフェノールは植物、果実を守るだけではなく、私たちの体にもとても良い働きをしてくれる成分です。
ですが、生のままのブドウやプルーンの場合、皮が薄く柔らかい一部の品種を除いて、食べずに捨てることが多いのではないでしょうか?
ポリフェノールという点で考えると、これはとてももったいないことですね。
しかし、水分を乾燥させてドライフルーツにすることで皮ごと食べることができ、フルーツの栄養を丸ごととることができるようになります。
例えば、ブドウは同じ100gであったとしても、下記のように栄養価はぐんと高くなります。
エネルギー(kcal) | 水分 (g) | 糖質 (g) | カリウム (mg) | |
ぶどう-皮なし-生 | 59 | 83.5 | 15.2 | 130 |
ぶどう・干しぶどう | 300 | 14.5 | 76.2 | 740 |
カルシウム(mg) | マグネシウム (mg) | 鉄 (mg) | ビタミンE (mg) | |
ぶどう-皮なし-生 | 6 | 6 | 0.1 | 0.1 |
ぶどう・干しぶどう | 65 | 31 | 2.3 | 0.5 |
日本食品標準成分表2015年版(七訂)より 各100gあたり
レーズンを一度に100g食べる機会はあまりないかもしれませんが、干すことで旨みや栄養が凝縮するほかにも、保存性がよくなり、長距離の移動に耐えるようになります。
イギリスをはじめ、ヨーロッパ北部の寒さが厳しい街では、果物が収穫できる時期が限られていました。
収穫したての新鮮なフルーツを食べることができない冬、ドライフルーツはとても大切な食品として食べられていたのですね。
基本のフルーツケーキ
フルーツケーキというと、頂き物の焼き菓子セットの中にはいっているもの、というイメージがあるかもしれません。
ですが、作り方はいたって簡単。少しコツを憶えれば、誰でも簡単に作ることができます。
【材料】直径12cmのショートケーキ用の焼き型1個分
・バター…100g
・砂糖…100g(写真は茶色いキビ砂糖を使用しています。
・薄力粉…100g
・卵…2個
・ドライフルーツミックス…100g
(市販のドライフルーツミックスやレーズンなど、お好みのもので大丈夫です。裏面の表示を見て、「オイルコート」と書かれているものは避けましょう)
・ラム酒…適宜
≪事前準備≫
ドライフルーツはザルに入れ、たっぷりの熱湯をまわしかけて余分な糖分を流し、しっかりと水分を切り、保存容器に移して、ラム酒を加え、3日程度漬け込みます。
フルーツがラム酒を吸収して膨らむので、少し多めに加えておきます。
【作り方】
≪下準備≫
・焼き型の内側全体に薄くバターを塗り、暫く冷やしたら、強力粉をはたいて余分をはたいておきます。または、型のサイズに合わせてオーブンシートを切り、敷いておきます。
・バター、卵は室温に戻しておきます。
・薄力粉はふるっておきます。
・オーブンは170℃に余熱しておきます。
・ラム酒に漬けたドライフルーツはザルにあけ、しっかりと水分を切っておきます。
①ボールにバターを入れ、砂糖を加えて白っぽくなるまで擦りまぜます。
②卵を溶きほぐし、分離しないように注意しながら、①に少しずつ(大さじ1杯程度ずつ)加え、擦りまぜます。
③卵を加えたとき、①のバターと卵が分離したようになりますが、一度に加えた分がバターとしっかりなじんでから次の卵を加えるようにします。半量位混ざったら、残りは一度に加えてもバターとなじみやすくなります。
④②がしっかりと混ざったら、ふるった薄力粉、水分を切ったドライフルーツを、全体になじむように混ぜます。
⑤③の生地を型に流し込み、竹串で全体をぐるっと混ぜ、そのあと型を5cmくらいの高さから2度ほどトントンと落とし、中の気泡を抜いてから170℃のオーブンで約30分、中心に竹串をさしてみて生地がつかなくなるまで焼きます。
⑥焼きあがったら型から外し、冷めたらラップフィルムに包んで一晩おいて冷まします。
マシュマロで作る飾り
本格的なイギリス伝統のアイシングケーキを作るには、粉糖に油脂やゼラチンなどを混ぜて練り上げて作る糖衣を使用します。
また、ケーキと糖衣の間には、マジパンというアーモンドと砂糖を何度もローラーにかけてペースト状に挽いたものを巻いてあります。
これらを家庭で作るのはとても大変なので、今回はマシュマロを使って簡単に作る方法をご紹介します。
【材料】作りやすい分量
・マシュマロ…100g
・粉糖…100g
(ザルに入れてふるっておきます)
・粉糖(打ち粉用)…適宜
【作り方】
①電子レンジにかけられるボールにマシュマロを入れ、600Wで約1分30秒、写真のように全体にふんわりと膨らむ程度に加熱します。
②①のボールに粉糖100gを入れて全体に練り込むように、よく混ぜます。
③だんだんとかさが小さくなり、粉糖が混ざって粘土のようになれば出来上がりです。
※色を付ける場合は、食用色素を竹串の先に少しつけ、練り混ぜていきます。
粉末の色素を使う時はあらかじめ少量の水で溶いたものを使用しますが、食用色素は少量でとても濃い色が付くものが多いので、量は少なめにして使用してくださいね。
④粉糖を打ち粉にして好みの厚さに伸ばし、型抜きするか包丁で切って飾ります。
周り全体を生地で覆う時は表面の膨らみを切り落とし、生地の直径+(高さ×2)の直径になるように、丸くのばします。
上からテーブルクロスのようにかけ、全体になじませたら、余分を包丁で切ります。
ケーキを利き手と反対で持ち、包丁で垂れさがっている部分をケーキのふちに沿って切り落とすようにすると、上手く切ることができますよ。
写真のツリーは厚さ5㎜程度に伸ばした生地をサイズ違いの三角形に切って積み重ね、デコ弁当用の抜型で抜いた星をてっぺんに飾りました。
雪の結晶は2mm程度の厚みに伸ばし、10分程度乾燥させた生地を、抜型で抜いて作っています。
細かい模様の型を使用する時は、少し乾燥させてから打ち粉用の粉糖を多めに振って抜くと上手くいきます。
クリスマスのドリンク
グリューヴァン(ホットワイン)
寒さが厳しいドイツや北欧のクリスマス。大人はあたためた赤ワインにクローブやシナモンを入れたグリューヴァン(ホットワイン)を楽しみます。
香りづけにオレンジの皮を使う方もいらっしゃいますね。ワインやクローブ、シナモンには体を温める作用があり、寒い冬にはぴったりです。
子どもには赤ワインのかわりにぶどうジュースで、クローブは少し香りが強いので、少々のシナモンやオレンジを加える程度にとどめることをおすすめします。
【材料】1人分
・赤ワインまたはぶどうジュース(赤い色のもの)…コップ1杯分
・シナモン…1本
・クローブ…2~4個
・オレンジ…皮の部分を少々
【作り方】
①小鍋に赤ワインまたはぶどうジュース、クローブ、シナモンを入れて火にかけます。鍋肌がフツフツとしてきたらカップに注ぎます。
②オレンジは皮をきれいに洗って薄くむきます。①のグラスのふちにかかるように入れ、香りを楽しみます。
ホットアップルシナモンサイダー
リンゴを使って作るこちらのドリンクは、大人も子どもも一緒に楽しめます。
「サイダー」と名前がついていますが、炭酸のことではなく、「果汁」という意味でこの名前があります。
大人のナイトキャップ用には、香りがよいリンゴのお酒、カルバドスや、ブランデー、ラム酒を少し垂らしてもよいですね。
【材料】1人分
・リンゴジュース…コップ1杯分
・シナモン…1本
・あれば生のリンゴ、オレンジなど…各1切れ
【作り方】
①小鍋にリンゴジュース、シナモン、あれば生のりんごやオレンジなどを加え、鍋肌がフツフツしてくるまで温めます。
②コップに移し、お好みで洋酒を垂らします。
手作りケーキレシピのまとめ
栄養価が高いドライフルーツをたっぷりと混ぜ込んで作るフルーツケーキ。ラム酒のアルコールがしっかりと効いて、日持ちもよいケーキに仕上がります。
クリスマスまでの1週間、2週間と少しずつ味の変化を楽しみながらいただくのも、美味しいものです。
なお、子ども用にはラム酒の代わりにリンゴジュースに漬け込んであげるとよいですよ。
美味しいケーキにオリジナルの飾りやドリンクで、楽しいクリスマスを過ごしてくださいね。