小豆粥を食べる小正月とは?
作成日:2021年12月19日
盛大に祝うお正月。その2週間後に小正月という行事があります。小正月とはいったいどのような行事なのか、ご存じですか?小正月といえば小豆粥をいただくのはなぜ?今回は小正月やその行事、美味しい料理についてご紹介します。
小正月の呼び名と由来
小正月は、一般的には1月15日を中心に、前後3日間にわたり行われる行事です。本来のお正月の行事を大正月と呼ぶのに対し、1月15日の節句を小正月と呼ぶようになりました。
別の言い方に男正月、女正月という呼び方もあります。
これは、正月は男性が中心に酒を飲み、楽しむ行事であり、年末の大掃除からおせち料理の準備、正月の振る舞いにと疲れた女性を1月15日にねぎらう、という意味もあるということです。
また、小正月の行事の一つに、柳などの枝に小さく丸めた紅白の餅や羽飾りをまるで花が咲いているかのように付けて、五穀豊穣、その年の幸運を祈る行事を行うため、「花正月」とよばれている地域もあります。
この餅はどんど焼きの日に焼いたり、3月3日のひなまつりの日に、ひなあられとして食べたりするということです。
小正月の伝統行事
ハレの正月から、ケの日常に戻る日
1月の半ば、小正月の日に、先ほどご紹介した餅花を作ったり、どんど焼きといってお正月にあしらったしめ飾り、松飾りを焼いたり、小豆粥を食べたりしたことはありませんか?
どんど焼きで鏡餅に乗っていただいだいを焼いて食べると、その冬は風邪を引かない、という地域もあります。
また、この日には神様にお供えしていた鏡餅を頂きます。(鏡開きの日程は地方により異なり、一般的に東日本は1月11日、西日本では1月15日といわれています。)
鏡餅は神様をお迎えするためにとても大切なものです。お迎えした年神様は鏡餅に宿るとされます。
正月があけ、神様が帰られた後に、神様のエネルギーが宿った鏡餅をいただくことで1年間の無病息災と幸運を祈り、お正月を締めくくるのです。
ところで、鏡餅を頂く際に、大切なルールがあるのをご存じですか?鏡餅は、刃物で切ってはいけないと言われています。
刃物で切るということは、江戸時代以前の日本では、切腹を意味します。また、大切な神様のエネルギーを断ち切ってしまう、ともいい、本来は木槌で叩き、割っていただきます。
秋田県に伝わる小正月伝統の行事
小正月の行事の中でも有名なものに、東北地方、特に秋田県で執り行われる二つの行事があります。
秋田県では、正月が明けたころ、子ども達が雪を集めて「かまくら」と呼ばれるドーム型のほこらを作り、その中で水神様をお祭りして果物や甘酒、餅などを供えます。
その後、15日には餅を焼き、温かい甘酒をふるまって、水神様のお祭りを楽しむのです。
しんしんと雪が降る暗い冬の夜、明かりが灯ったかまくらは、とても美しく、幻想的なものなのでしょうね。
このかまくらが秋田県山側地方で見られる行事であるのに対し、海よりの地域では、「なまはげ」という祭事が執り行われるようになりました。
なまはげは、地域の男性が藁で作った「ケデ」と呼ばれるミノをまとい、顔には鬼の面をつけて家々をめぐり、酒や肴でもてなしを受け、家に憑く悪霊を払って歩くという行事です。
悪霊を払い、五穀豊穣、人々の健康を祈るお祭りでありながらも、恐ろしい形相と、「なまけものはいないか?」という大声に泣き出す子どもの姿をニュースで見られた方も多いことと思います。
秋田県男鹿半島一帯のなまはげは、ユネスコ無形文化遺産に登録されており、日本海側で多くみられる行事です。最近では小正月ではなく、人々が帰省する大晦日に合わせて行う地域が増えているということです。
小正月に小豆を食べる理由
ところで、小豆粥に、鏡餅を入れたお汁粉やぜんざい…小正月には小豆を使ったものを多く選びますね。では、なぜ小豆なのでしょうか?
小豆はマメ科ササゲ属に属する一年草で、原産国は東アジアだといわれています。日本には弥生時代に持ち込まれたとされ、古事記や日本書紀にもその名が記されています。
中医薬膳学ではむくみを取り、痒みを伴う発疹をしずめるなど、解毒作用があり、デトックス効果が高いとされています。
中国では、その薬効の高さから、古くから煮汁が薬として使用されていました。
小豆粥は宮廷の儀式の時に食べる料理の一つとして中国から持ち込まれ、後に、広く一般に広まったものとされています。
日本でも、赤いものには霊力があり邪気を払う力があるとされていました。
太陽や血液、炎…神社の鳥居も、赤いですね。これらの理由から、小豆を使った料理はハレの日に選ばれるようになったのでしょう。
小豆に含まれる栄養素
小豆は現代の栄養学に顧みても、さまざまな成分を含んでいます。
・炭水化物
小豆には、レジスタントスターチというでんぷん質が多く含まれています。
レジスタントスターチは「難消化性でんぷん」という物質で、私たちの体内では分解されにくい性質を持っており、食物繊維と似た働きをしています。
食べても消化吸収されることはなく、便の量を増して便秘を解消したり、腸内細菌のエサとなって腸内環境を整えたりする働きを持っています。
・カリウム
カリウムは、私たちがとりすぎ、体内に増えたナトリウムを体外へと排泄する働きがあります。
そのため、体内に溜まった塩分を薄めようと増えた水分も体外へと排泄することになり、むくみの解消になります。
また、ナトリウムを排泄することで、高血圧の予防にも役立ちます。
・マグネシウム
マグネシウムは美のミネラルともいわれ、漢字でも、鎂(金偏に美しい)と書いて、マグネシウムを意味しています。
マグネシウムはカルシウムやリンと共に骨や歯を作る働きがあるほか、神経の興奮を抑えたり、体内で代謝を司る酵素の働きを助けたりしています。
・鉄
鉄は体内に存在するもののうち、約70%が血液中のヘモグロビンに含まれ、私たちの体の隅々まで酸素を届ける働きをしています。
残り25%は肝臓に貯蔵され、必要に応じて血液中のヘモグロビンに届けられています。
鉄分が不足すると鉄欠乏貧血を引き起こし、めまいや動悸、息切れを引き起こすほか、肌荒れの原因となることもあります。
女性や激しい運動を行っている人は鉄分が失われやすく、意識して取ることが必要です。
・亜鉛
亜鉛は新陳代謝やDNAの転写にかかわっているため、体内でも細胞分裂がさかんなところに多く含まれ、細胞が正常に作り変えられる働きを助けています。
よく、亜鉛不足が味覚異常にかかわっていると言われるのはこのためで、原因の一つとして、舌の上にある、味蕾と呼ばれる味を感じる細胞が、亜鉛不足のため代謝異常を起こすことが挙げられています。
・銅
銅は血液中のヘモグロビンに鉄分を届ける役割をしています。
そのため、しっかりと鉄分を摂取していたとしても銅が不足していると貧血を引き起こしてしまいます。そのほか、骨異常、毛髪異常や成長障害が出ることがあります。
・ビタミンB1
ビタミンB1は水溶性のビタミンで、糖質からエネルギーを生成する働きを担っています。
また、皮膚や粘膜の働きを正常に保ったり、糖質が唯一のエネルギー源だと言われる脳の働きを正常に保ったりする役割があります。
・葉酸
葉酸はビタミンB12とともに働き、赤血球の合成を担っており、造血のビタミンとも呼ばれています。
また、たんぱく質の合成を担う酵素の働きを補う補酵素の役割があり、不足するとDNAの合成が阻害されてしまいます。
妊娠初期の女性に葉酸不足が起こると胎児に神経管閉鎖障害や口唇・口蓋裂といった症状がみられる場合があります。
成人の場合は、動脈硬化を予防したり、脳の血流を保ち、認知症予防や聴力を維持したりする働きがあります。
小豆の下処理の仕方
大豆をはじめとする多くの豆類は、一晩水に浸けて吸水させてから炊きます。しかし、小豆はその必要がありません。
皮が固くなかなか水を吸わない、豆類の中では火が通りやすい、時間をかけて水を吸わせてから炊くと身割れしやすく、縁起が悪い、などさまざまな理由がありますが、何はともあれ、思い立ったその日に調理できるのはうれしいですね。
小豆を炊くときにはきれいに洗って、鍋にたっぷりの水とともに入れ、火にかけます。
一般的には、一度沸騰したら「渋切り」といってざるに取り、煮汁を捨ててから新しい水で再度炊き始めます。
しかし、品種改良が進み、渋がすくない小豆が多いこと、渋の中には水溶性の栄養素やデトックス作用があるポリフェノールが多く含まれていることから、近年では、渋切りはしてもしなくても良いというのが定説になりつつあります。
手軽に作るために、浮いていたアクを取り除く程度にとどめてもよいでしょう。
小豆粥の炊き方
上品な淡い赤色に染まった小豆粥。ご馳走を食べて疲れた胃腸に優しく、また、デトックス作用を併せ持つ小豆が食べすぎた体を癒してくれそうですね。
小正月に限らず、ちょっと食べすぎたな?体が重い?と感じた時に作るのもよいですね。
【材料】(約2人分)
・小豆(乾燥しているもの)…大さじ3杯分
・米…1/2合
・水…800cc
・塩…適宜
【作り方】
①小豆、米は洗い、米は水600ccに漬けておきます。
②小豆は水(分量外)とともに鍋に入れ、火にかけて沸騰させ、3分程度経ったら好みにより、渋切り(上記参照)します。
③②の小豆を指でつぶしてみて少し芯が残る程度まで炊けたら煮汁と小豆に分けます。煮汁を200cc取り、①の米の鍋に加えます。(煮汁が足りない場合は水を足します。)
④小豆の煮汁を加えた③の米を30分程度吸水させてから火にかけ、中火で煮ます。
⑤鍋底が焦げ付かないように、時折鍋底をさらうように混ぜ、米に少し芯が残る程度まで炊いたら③の小豆を加え、全体が柔らかくなるまで炊きます。
⑥炊き上がったら塩を振り、味を整えます。
※小豆粥は市販の小豆の水煮缶を利用して作ることもできます。米1/2カップの粥を炊いたら、約100cc分の小豆の水煮を缶の中にある水分ごと加え、温まるまで炊きます。
お好みで使いやすい方でお作りくださいね。
小正月についてまとめ
今回は、小正月についての伝承や小豆粥のレシピをご紹介しました。
小さな一粒にしっかりと栄養素を秘め、デトックス作用まで持つ小豆。お正月に食べすぎてお腹周りが気になる時にもよいですね。
私たちの体を健やかに保つには、日ごろから栄養バランスが整った食事をとることも大切です。
これは成長期の子ども、働き盛りの成人だけでなく、年齢を重ねた高齢者であっても同じこと。
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