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生姜は体を冷やすの?温めるの?上手な使い方とは?

作成日:2022年1月29日

生姜は体を冷やすの?温めるの?上手な使い方とは?

手軽に体を温める食材として知られるしょうが。

おろししょうがを冷ややっこに乗せたり、炒め物を作る時には千切りしょうがを油で炒めてから具材を入れて…と使ったり…日々の生活には欠かせない薬味の一つですね。

しょうがを上手に利用することで、体を温めたり、逆に夏の暑い時には熱を取ったりすることができます。

今回はしょうがの上手な使い方をご紹介します。

体を温める『生姜』とはどんな野菜?

私たちのとても身近にある薬味の一つ、しょうが。生の物のほか、チューブ入りや粉末のものなど、その姿は色々だとは思いますが、どれか一つは必ず家庭の台所、冷蔵庫に常備されているのではないでしょうか?

しょうがを食べると体が温まる、冷えるからしょうがを食べよう、とは、よく聞く言葉ですが、しょうがには体を温める働きと冷やす働き、また、中医学では体のむくみを取る働きがあることも知られています。

しょうがの効能はその使い方次第、というところなのですね。

まずは、しょうがとはいったいどのような植物なのかを知り、そして、しょうがのどの成分が体を冷やし、温める効果があるのかを紐解いてみましょう。

しょうがとはいったいどのような植物なの?

しょうがはショウガ科に属する多年草で、原産地はインドからマレー半島に及ぶ南アジア一帯だと言われています。

ですが、原種、野生種と思われるものはいまだに発見されておらず、詳しいことまでは分っていないのが現実です。

当初、しょうがは野菜・香辛料としてではなく、さまざまな薬効、健康効果があることをうけ、薬として流通していました。

シルクロードを経て中東、ヨーロッパに伝えられ、ローマ帝国では関税対象の輸入品として記録が残っているということです。

中国では生薬のひとつとして古くから利用され、中国最古の薬学書、『神農本草経』にも、生薬としての効能や使用方法が掲載されています。

インドでも熱帯に属する地方が原産のしょうがは、当時、中国には乾燥させた状態で輸入されていたようです。

そのため、『神農本草経』には乾燥品、いわゆる乾姜の効能や使用方法が記されています。

生のしょうがを使用するようになるのは中世以降、しょうがの栽培方法が確立されてからになります。

日本へは中国を経由して伝えられました。はじめは乾燥した状態の乾姜として持ち込まれ、薬の一つとして利用されていました。

魏志倭人伝に日本に生姜があることが記されていることからも、その伝来はとても古い時代であったことが分かりますね。

私たちが普段、いわゆる「しょうが」として食べている部分は塊茎と呼ばれ、肥大した地下茎の部分です。

初夏の旬の時期に収穫された、皮が薄く瑞々しい新生姜は紅生姜や甘酢漬けに加工されています。

収穫後、一定期間保存して皮がしっかりと固くなったものをひねしょうがと呼びます。私たちが普段使用している生姜のことですね。

8世紀頃まで、しょうがは「ハジカミ」と呼ばれていました。

今でも茎がついた小さな生姜(葉生姜・谷中しょうが)の酢漬けを「ハジカミ」と呼ぶ地方があります。

現在は高知県をはじめ熊本県、和歌山県など、国内でも温暖な地方で盛んに栽培されています。

しょうがの出荷量

独立行政法人農畜産業振興機構 野菜ブック2019より

しょうがは体を温めたり冷やしたりすることができる?

ところで、冷えを感じたらしょうがを食べる、風邪を引いたら料理にしょうがを使おう、と、現代の私たちも、まるで薬を使うような感覚でちょっとした不調にしょうがを取り入れようとすることがありますが、実際はどのような成分が効いているのかをご存じでしょうか?

ジンゲロールは体の熱を取る

ジンゲロールは体の熱を取る

ジンゲロールとはしょうがに含まれるフィトケミカルのひとつで、辛み成分の一つです。

生の状態のしょうがに含まれる成分で、酸素に触れると失われてしまうと言われています。

ジンゲロールは殺菌作用や免疫細胞の活性化、胆汁分泌の促進効果をもっています。

寿司や刺身にしょうがの甘酢漬けが添えられるのは、その殺菌作用を期待して、のことなのですね。

また、爽やかな香りと辛みから、胃のむかつきを鎮め、吐き気や頭痛を抑える働きがあります。

しょうがを食べると、毛細血管が拡張して血行が促進され、ポカポカと温まったように感じますね。

ですが、生の生姜には解熱作用も認められ、実際には体の熱をとっていることになりますので、冷え症の方はおろししょうがや針しょうがなど、しょうがの生食は量を控えめにされたほうがよいでしょう。

ショウガオールは体を芯から温める

ショウガオールは体を芯から温める

このジンゲロールは、熱や乾燥などの刺激によって変化しやすい性質を持っています。

変化してできる成分をショウガオールと言います。

ショウガオールはジンゲロールと同じように血行を促進する効果が期待できるだけではなく、消化器系の動きを高めることにより、体を芯から温める働きも持っています。

冷え性で手足の冷えが気になり、温かいお風呂に入っても芯から温まったと思えない方、お風呂に入っても、またすぐに冷えてしまう、という方には、ショウガオールの方が向いているといえますね。

ショウガオールを多く含む乾燥しょうがは、乾姜という生薬として、胃腸の冷えや冷えからくる嘔吐の改善、ゾクゾクする風邪や冷え症の薬として利用されています。

また、肺を温める作用があり、薄い痰が多く出る場合にも有効だと考えられています。

その他、胃腸をあたため、その働きを促進することから、たくさんの漢方薬に処方されています。

空気が乾燥している中国では、スライスしたしょうがをただ乾燥させることで乾姜を作ることがあるようですが、島国で湿度が高い日本では、古くから加熱してから乾燥する方法が主流です。

加熱と乾燥、二つの工程を経ることでショウガオールの生成量が増えることを考慮すると、日本で古くからおこなわれていたこの製法は、とても理にかなっていたのですね。

また、ショウガオールは胃がん細胞を攻撃、破壊する作用があることが研究により確認されているということです。(※1)

体を芯から温める、保存が効く乾姜の作り方

先ほどご紹介した、ショウガオールをたっぷりと含む乾姜は、家庭でも手作りすることができます。

少し手間はかかりますが一度作っておくと長期間保存することができ、みそ汁や鍋、煮物を炊くときにポン!とひとかけら加えるだけで、簡単にショウガオールの効能を取り込むことができるので、まとめて作っておくと便利でよいですよ。

お時間がありそうなときに、ぜひお試しくださいね。

【材料】

・しょうが…適宜

【作り方】

①しょうがはきれいに洗い、好みで皮をむきます。なお、しょうがの皮にはむくみを取る効能があると言われています。日頃むくみを感じやすい方は、皮をむかずに使用するとよいでしょう。

②しょうがの繊維を確認し、繊維の向きに垂直になるように、3mmから5mmの輪切りにします。

作り方②

③蒸し器に湯を沸かし、②のしょうがを入れて約30分、ツンとした香りから柑橘系の香りに変わってくるまで蒸します。(蒸し器がない場合は、大き目の鍋に小鉢などを入れて湯を沸かし、ザルに入れた②のしょうがを、湯につからないように入れて簡易の蒸し器を作って蒸すとよいでしょう。)

作り方③

④③のしょうがが少し濃い色になり、香りが変わってきたら取り出して、重ならないように網や盆ザル、すのこなどにならべ、しっかりと乾燥させます。

作り方④

⑤下の写真のように小さくなれば完成です。乾燥剤を入れた密閉容器に入れて保管します。お好みで、ミルなどで挽き、パウダー状にして使ってもよいでしょう。

作り方⑤

乾姜の上手な使い方

出来上がった乾姜、カチカチに乾燥していて、干しシイタケのように水に戻して使用するのかな?と、迷うかもしれませんね

実はショウガオールは冷水に漬けるとジンゲロールに戻ってしまう、という性質があります。

使用する時、輪切りのまま乾燥したものを使用する時は、みそ汁や鍋料理など煮込むものに加えるのがおすすめです。

他の材料と共に、調理の初めの方から煮汁に加え、炊き込むことでショウガオールをしっかりと取ることができます。

粉末状に挽いたものは、チャーハンの仕上げに振ったり、温かい紅茶に一振りしたりすると、ショウガオールの効果をしっかりと取り込むことができますよ。

乾姜は薬としても使用されていることからわかるように、効果が強いものです。

食べすぎると胃腸が荒れてしまう場合がありますので、量はほどほどに。使用する時は、もとの生姜のサイズをもとに使用量を決めてくださいね。

健康のために栄養バランスを整える

しょうがを上手に使って夏は体の熱を取り、冬にはしっかりと芯から体をあたためることができるようになると、一年を通して健康に過ごすことができそうですね。

体温が一度上がると、免疫力は最大5倍にもなるともいわれています。

風邪などの感染症だけではなく、たとえばガン細胞の増加を抑制することも可能になると言われています(※2)

今回ご紹介したように、生の生姜や乾姜を利用して体温をコントロールするほか、栄養バランスが整った食事をとり、適度な運動を行うことにより、筋肉量を維持することも大切です。

とはいえ、忙しい日々、家族一人一人の健康状態に合わせ、必要な栄養素をしっかりと含んだ食事を用意するのは大変ですね。

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高齢になると、さまざまな理由により運動することが困難になってしまう方もいらっしゃいますが、しっかりと食べることで内臓の働きを高め、できる範囲の運動をしっかりと行うことで、筋肉量の減少を食い止めることができますね。

まとめ

今回ご紹介したしょうがのように、食べ物には私たちの体を温めたり冷やしたり、また、内臓のどの部分に作用するか、や、成長を促進したり、薬になったり、いろいろな作用がありますね。

中医学、薬膳学では、食べ物にはさまざまな性質があると言われています。

薬食同源、医食同源、今日よりも明日、少しずつでも体調が上向きになるように、栄養バランスを整えてしっかりとおいしく食べ、元気に過ごせると良いですね。

参考文献:
(※1)香辛野菜の調理加工による機能性含硫成分生成と体内プロドラッグ効果の検証

(※2)サワイ健康推進課

この記事の作成者:真鍋 実穂(調理師)
この記事の提供元:シルバーライフ

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