薬膳の秘密 取り入れ方とおすすめレシピをご紹介
作成日:2022年2月22日
最近よく耳にする「薬膳」。
インターネット上ではおいしそうな料理レシピや写真を見るようになりましたが、実際は漢方薬っぽい味なのではないか?や、いろいろと食べて良いもの悪いものがありそうで、とっつきにくいと思っておられる方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな薬膳について、特に更年期の女性に取り入れやすい考え方でご紹介します。
目次
そもそも薬膳とは?
薬膳とは、今から4,000年以上前の中国で生まれた、中医学に基づいて考え、季節や体質に合わせて「何となく調子が悪い」、いわば未病の状態を改善していく養生料理のことを言います。
「薬食同源」という言葉をお聞きになったことがある方も多くいらっしゃると思います。
食べ物は上手に取ることで薬にもなり得る、という意味なのですが、まさにこれを実行していくことが、「薬膳」ということです。
ですが、薬になる食材と言われても、普段スーパーマーケットで見るたくさんの野菜や果物、肉類…いったい何が薬になる食材なのか、どのような疾患に対してどう作用するのか、見極めるのはとても難しそうですね。
まずは薬膳の考え方から見ていきましょう
体を温める?冷やす?五性から考える
よく、「寒いから温かい鍋を食べよう。」また、暑い時には「冷やしたきゅうりを食べると体がスッとする」などということを耳にしたり経験したりされたことがあると思います。
これらはみな、古くから食材が持つ体を温める作用、冷やす作用を体感し、親から子へ、孫へと言い伝えられた結果、「何となく知っている」ことですね。
薬膳でも、五性といってこのように体をあたためるものか、冷やすものか、そのどちらでもないものか、という考え方を大切にしています。
五性の一例
寒涼性食材:体を冷やす効果がある | 平性食材:体を冷やしも温めもしない | 温熱性食材:体を温める効果がある |
小麦粉・そば・セロリ・大根・もやし・きゅうり・昆布・わかめ・緑豆・オレンジ・グレープフルーツ・キウイフルーツ・すいか・アサリ・ハモ・牛タン | うるち米・さといも・小豆・大豆・エリンギ・カリフラワー・キャベツ・小松菜・とうもろこし・にんじん・ブロッコリー・牛肉 | みかん・もも・きんかん・ココナッツ・納豆・玉ねぎ・ねぎ・みょうが・大葉・にら・鯵・いわし・まぐろ・サバ・牛スジ・鶏肉・ラム肉。・味噌 |
これはほんの一例にしかすぎませんが、例えば、この表の中にはもやしやわかめは体を冷やす寒冷性食材として掲載されています。
ということは、寒い季節には、冷え症の方は食べない方がよいのか?と心配になりますね。
しかし、大丈夫です。薬膳では、体を冷やす食材と対象に、体を温める食材も知られています。
もやしを食べたい時には、体を温めるとされるねぎやみょうがを合わせて和え物にする、また、わかめも同様に、体をあたためる味噌を使ったみそ汁にする、などという風に、寒冷性食材と温熱性食材を組み合わせ、足し算引き算して考えると、一年を通していただくことができるようになるのです。
更年期におすすめしたい薬膳
更年期とは?
ところで、しっかりとした名前がつかない、未病の状態というと、更年期を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
更年期とは、女性の場合、閉経前後の約10年を指します。
日常生活には全く支障をきたすことなく、気づけば終わっていた、という方から何となく不調が続く方、また、寝込んでしまう方まで、その重さは様々です。
更年期障害は、卵巣から分泌される女性ホルモン、エストロゲンの分泌が年齢と共に減ってしまうことが発端でおこります。
エストロゲンは卵巣が作り出す女性ホルモンの一つで、女性が妊娠、出産、授乳ができる体になるように体の準備を整える働きがあります。
そのため、いわゆる女性らしい体つきとなります。
体内では、子宮や卵巣に働きかけ、定期的に月経をおこして、子宮内にいつ受精卵が到達してもよいように準備を整えています。
しかし、年齢を経て卵巣機能が衰えると、放出されるエストロゲンの量も徐々に減少していきます。
一方、私たちの体内で放出されているホルモンは、脳によって統制されています。
卵巣から放出されるエストロゲンが減少してしまっていることを察知した脳は、エストロゲンを出すように卵巣に対して指示を出し始めます。
しかし、肝心の卵巣からの反応が鈍く、エストロゲンが放出されることがなくなると、脳は混乱し、暴走はじめます。
ここで発生するのが、更年期の不快な症状であり、日常生活を送るのに支障が出るほどの重症なものを、更年期障害と呼んでいます。
更年期の症状にはさまざまなものがあります。
・イライラ
・ほてりやのぼせ
・発汗
・不眠
・気分の落ち込みや強い不安感
軽い更年期に薬膳をおすすめする理由と、食材の選びかた
その年頃になると、「更年期障害」という名前が付くほど重症ではないものの、上記のような症状が出てしまうことは誰しもが経験されると思います。
病院に行ったところで何ら薬が出るわけではなく、もちろん、病名もつかない。ほっと安心する一方、どうしていいのかわからず、だからといって、市販の薬は何を飲んで良いのかもわからず、かえってモヤモヤとした気持ちになりますね。
そんな時におすすめしたいのが、薬膳です。
薬膳では、先にご紹介したように、食材が体を冷やしたり温めたりする働きを上手に使い分けることができます。
これ以外にも、高揚した気持ちを落ち着かせたり、不安になり、落ち込んだ気持ちを持ち上げたりして、気持ちを楽にする働きを持つ食材も知られています。
これらの性質を上手に組み合わせて取ることで、更年期特有の不安定な心や体のバランスを整える、ということができるようになるのです。
薬膳では、特に更年期に「補陰」という効果がある食材を多用します。
補陰食材とは、のぼせや熱感、口の渇きや性機能減退、また、体液の代謝を調節し、全身に栄養を与えるなどの働きがある食材を指しています。
補陰食材 | やまいも・黒豆・アスパラガス・エリンギ・オクラ・かぶら・にんじん・ほうれん草・あわび・かき・カニ・さより・はまぐり・ぶり・鶏肉・豚肉・卵・チーズ・ヨーグルトなど |
また、イライラとした気持ちをしずめる「理気」作用がある食材を選びます。
「理気」の「気」とは、元気、病気、気が滅入る、気に入る、気合が入る、という言葉が示すように、私たちの心身を健康に保つために働く、目には見えないエネルギーのようなものです。
イライラ・もやもやは、その「気」がスムーズに流れず、滞っているためにおこっていると考えます。
いつまでもイライラ、もやもやとしてしまう時は、その気持ちがずっと心の中に溜まっているということからも、想像しやすいと思います。
そんな「気」を流す働きがある食材には、下記のようなものがあります。
理気食材 | ピーマン・玉ねぎ・きんかん・オレンジ・グレープフルーツ・みかん・ゆず・かじきまぐろ・鮭・ジャスミンティー・赤ワイン・ミントなどのハーブ類 |
また、多くの方が経験すると言われるホットフラッシュ。季節を問わず急に暑さを感じたり、一人赤い顔をして汗をかいたりする症状です。
このホットフラッシュは、薬膳では気や血液の巡りがわるくなっているために起こると考えます。
そのため、体を冷やす働きがある食材と、気や血を流す働きがある理気の食材を合わせて使うことで、症状を緩和していくのです。
レシピ オレンジとミントのゼリー寄せ
今回は、体の熱を取る働きがあるオレンジに、気持ちをスッと楽にする理気食材のミントを合わせてゼリーにしました。
凝固剤にはゼラチンを使用しましたが、ホットフラッシュの症状が強い方、便秘気味の方は、体の熱を取り、胃腸の働きを整える寒天を利用して作るのもおすすめです。
【材料】2カップ分
・オレンジ…1~2個
・ミント…1~2枝
・砂糖…大さじ2
・水…300cc
・ゼラチン…6~7g
※ゼラチンは、メーカーにより若干使用量が変わることがあります。
念のため、購入した商品のパッケージをご確認ください。
【作り方】
①オレンジは皮をむき、果肉を取り出しておきます。
②ミントは飾りの分をのぞき、葉をちぎり取ってザクザクと切っておきます。
③分量の水のうち200ccを耐熱容器に入れ、ゼラチンを振り入れ、ふやかしておきます。
④③を、様子を見ながら電子レンジにかけ、溶かします。
⑤残りの水に砂糖を加え混ぜ溶かし、④に加え混ぜてから氷水にあて、底から混ぜながら、少しとろみがつくまで冷やします。
⑥⑤にとろみがついたら2/3程度を器に入れ、オレンジを入れてざっと混ぜて冷やし固めます。
⑦残したゼリー液に②のミントの葉を入れて⑥のオレンジの果肉入りゼリーの上に静かにながし、さらに冷やして固めます。
※寒天で作る場合はゼラチンの代わりに粉寒天3gを使用します。
作り方④で、水に浸けておいた寒天液を鍋に入れて2分程度沸騰させ、茶こしなどで濾して器に入れ、ゆるいとろみが付いてきたら、①のオレンジと②のミントを加え固めます。
調子が良いと思える日々を過ごすために
今回ご紹介した更年期障害のほかにも、私たちは日々のストレスや天気、さまざまな流行性の疾患、また、持病の影響などで、快適な日々ばかりを過ごせるわけではありませんね。
毎日を健やかに過ごすためには適度な運動、睡眠やストレスを解消するための趣味を持つことなど、多くの要因があります。
その中の一つが、日々の食事です。
ご存じのとおり、私たちの体は食べたものから作られています。そのため、栄養バランスが整った食事をとることはとても大切です。
しかし、忙しい毎日、栄養バランスを考え、きちんと1日3食、家族の好みを考えつつ食事の支度をするということは、とても難しいものです。
そんな方にぜひ試していただきたいのが、まごころ弁当のお弁当です。
まごころ弁当のお弁当は管理栄養士が食べる人のことを考えて作った、食べやすくおいしいお弁当です。
こだわりを持って選んだ食材を使用してつくるメニューの数はとても多く、飽きることなく食べることができます。
また、持病により食事に制限がある方向けのカロリー調整食やたんぱく調整食、さらには咀嚼や嚥下に不安がある方向けの刻み食、ムース食と、メニューもとても豊富で、ピッタリの一品を選ぶことができます。
今なら無料試食キャンペーンを実施中です。この機会にぜひお試しくださいね。
まとめ
日々の食事に取り入れる薬膳。今回はほんのさわりの部分をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?
ごくごく簡単にいうと、今日は○○だからこれを食べよう、と、古くから私たちの生活に取り込まれている食材の選びかたを体系的にまとめ、未病の段階の不調を解消するための、等身大の食事のことです。
今回ご紹介した表に掲載している食材はすぐに手に入るものばかりなので、ぜひ普段の食事に取り入れ、ぜひ、快適な日々を手に入れてくださいね。