トリプトファンを豊富に含む食べ物を~梅雨を元気に過ごそう
作成日:2022年5月28日
じとじと蒸し暑い雨の日が続いているのかと思えば急にひんやりと冷たい雨の日があったり、太陽が照り付け、夏のような日があったり…梅雨はとても過ごしにくい季節だと思われるかたも多いのではないでしょうか?
今回はこの過ごしにくい季節を少しでも気持ちよく過ごすために取りたい食材や料理をご紹介します。
目次
梅雨は体調不良になりやすい?
爽やかで過ごしやすい春から一転、雨が降り湿度が高い日が続く、梅雨。じとじとと蒸し暑く、かいた汗がべたべたと気持ち悪かったり、急に肌寒さを感じるしとしととした雨が続いたりすることもあります。
このような季節は体が気温や湿度の変化についていけず、体調不良を起こしやすいものです。
特に湿度が高くむしむしと暑いだけでなく、私たちの体にも、むくみが出やすくなったり、水分が体内に停滞することで胃腸の働きが鈍り、胃もたれや食欲不振、下痢を引き起こしたりするなど、不調が出やすくなります。
また、湿度だけでなく急な蒸し暑さや肌寒さで風邪を引いてしまったり、風邪とまではいかなくても、片頭痛や腰痛、喘息発作を起こしたりしてしまう方もいらっしゃいます。
これらの頭痛や腰痛、喘息発作といった症状は、いわゆる「気象病」と呼ばれるものの場合が多く、湿度や気温の変化に加え、気圧が急激に下がることで現れるとされています。
ではなぜ気圧が下がると気象病の症状が出るのでしょう?
いろいろな要因が考えられるなか、大きな原因の一つとして内耳への気圧の影響があげられます。
内耳とは鼓膜の奥にある耳の組織の一つで、その中に平衡感覚を司る三半規管や蝸牛という器官があります。
この器官で、私たちはまっすぐに立てているかを確認するほか、気圧の変化を繊細に感じ取っています。
梅雨時期には低気圧や前線の影響で相対的に気圧が下がっている日が多くなります。
そうなると、私たちの脳は内耳から受け取る、「気圧が下がった」「天気が悪くなる」という情報と、視覚から入ってくる「薄暗さ」、「雨が降っている(降り始める)」という景色で、私たちの体をリラックスさせ、天候が回復するまでおとなしく過ごす状態に移行します。
しかし、現代の私たちは、雨の日であっても、晴天の日と変わらず日々の仕事や家事をこなさなければなりません。
目や耳からの情報では、体を休ませねばならない、しかし、仕事や家事は休めない、この矛盾した情報のせいで脳が混乱を起こし、頭痛や喘息発作などを引き起こすと言われています。
梅雨はうつになりやすい?
このような脳の混乱のほか、日照不足からうつ状態(季節性うつ病)を引き起こすこともあります。
季節性うつ病は、本来、日照時間が極端に短くなる北欧などで多くみられる症状で、太陽の光を十分に浴びることができない秋から冬に多くみられます。
ところが、長雨が続き、日照時間が短くなる日本では、梅雨時にも発症する場合があります。
季節性のうつ病のうち、日照不足が原因となっているものに関しては、光療法(3,000ルクス~10,000ルクス程度の光を照射し、脳内物質であるセロトニンの分泌を促す)という治療法があります。
なんとなく気分が重くうつ病の兆候を感じる場合は、梅雨の晴れ間には意識して外出したり明るい窓辺で過ごしたりするようにして、太陽の光を浴びるのも予防効果が期待できます。
天候不順が続くときには、あえて室内の照明を明るくしておくのも効果があるということです。
梅雨を快適に過ごすために取りたい食材や栄養素とは?
では、このような梅雨どき、いったいどのような食材を選び、食べるとよいのでしょうか。
少しでも快適に過ごすためにおススメの食材や料理をご紹介します。
湿気が多くてむくみが気になる時は野菜を多めに
湿気が多くてむくみやすいときには、利尿効果が期待できる、きゅうりやとうもろこしなどの夏野菜がおススメです。
夏野菜の多くにはカリウムという、むくみ解消に効果的な栄養素を多く含んでいるものが多く、体の中に溜まった水分を排泄する働きがあります。
温めても冷たくしてもおいしい!野菜のみぞれ和え
今回は利尿効果が期待できる野菜を多めに、食べやすいみぞれ和えに仕上げました。
大根に含まれるジアスターゼは消化吸収を助ける働きがあります。むくみだけでなく、湿気が溜まり働きが鈍る胃腸の消化機能をサポートしてくれますよ。
少し多めに作っておき、蒸し暑い日には冷蔵庫で冷やしておいたものを、ちょっと肌寒い日には温めたものを、と、その日の気温によって調整するのもおすすめです。
【材料】2人分
・なす…1個
・ししとう…4個
・ズッキーニ…1/3本程度
・プチトマト…8個程度
・大根…5cm分程度
・サラダオイル…大さじ1
・かつお昆布だし…100cc(市販の白だしなどを吸い物程度の味になるように薄めたもので代用できます)
・ポン酢…大さじ1~
【作り方】
①なすは一口大の角切りにし、さっと水にさらしておきます。
②ししとうはヘタを取り、がくの余分な部分を切り取り、1㎝程度の切れ目を入れておきます。
③ズッキーニはなすとサイズを合わせ、一口大の角切りにしておきます。
④プチトマトはヘタを取り、お好みで半分に切っておきます。
⑤大根は皮をむき、すりおろしておきます。
⑥耐熱容器に①のなす、②のししとうを入れてサラダオイルを回しかけ、全体にまぶし、600Wで約2分加熱します。
⑦鍋にかつお昆布だしを沸かし、③のズッキーニ、⑥のなすとししとうを加え、再度沸騰したら大根おろし、ポン酢を加え、味を整えます。
急な冷えが気になる時は香味野菜を上手に利用して
むしむしと暑い梅雨の日だけでなく、中には少し肌寒さを感じる雨の日もありますね。
急な気温の変化で冷えてしまい、下痢をしたり、腰痛や節々の痛みを感じたりすることもあるかもしれません。
冷えを感じる日には、体を温める効果がある食材を利用しましょう。
ただし、真冬ではないので温め過ぎは禁物です。薬味を上手に活用して、冷えを予防しましょう。
体を温める働きがある香味野菜には、以下のようなものがあります。
ねぎ
みそ汁や冷ややっこなど、私たちの生活には欠かせない薬味の一つ、ねぎ。
ネギ科の野菜独特の辛み成分は硫化アリルといい、血液をサラサラにして血行を促進し、体を温める効果が、また、ビタミンB1の吸収を助け、疲労回復を促進する働きがあります。
しょうが
しょうがに含まれるジンゲロールという成分は、長時間加熱するとショウガオールという成分に変化します。
ジンゲロールは体の深部の熱を体表に移し、発散する作用があるため、結果的には体を冷やすことになります。
これとは対照に、ショウガオールは血行を促進し、体を芯から温める働きがあります。
みそ汁やスープなどを作る時には煮はじめからしょうがを入れておき、ゆっくりと加熱することでショウガオールの温熱効果を取ることができます。
ニラ
ニラはネギ同様硫化アリルを含んでおり、血行促進に効果があります。
餃子やレバニラ炒めなど、野菜として使われることが多いですが、小口に切ってみそ汁の薬味として利用するのもおすすめです。
パクチー(シャンツァイ・香菜)
パクチーに含まれる独特の香りは気分をすっきりとさせるほか、口臭予防、消化促進効果のほか、体をおだやかに温める働きがあることも知られています。
サラダや、春雨・エビなどを入れたタイ風のスープにレモン汁と共に小口に切って薬味として加えるのがおススメです。
うつ病予防にはトリプトファンを豊富に含む食材を
先ほどもご紹介したとおり、梅雨時に発症しやすいうつ症状は、太陽の光を十分に浴びることができないために発症することがあります。
陽光を十分に浴びることができないと「セロトニン」という物質の合成・分泌が不足してしまいます。
セロトニンはドーパミンやノルアドレナリンの合成を抑え、気持ちを穏やかに鎮める働きがある物質ですが、これらが不足すると精神的な安定を望めなくなり、イライラやうつ症状を引き起こすことがあると考えられています。
セロトニンの合成・分泌に影響があるのは食事もしかり。セロトニンの材料となる物質はトリプトファンといい、かつおやまぐろなどの魚類、鶏肉や、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品、大豆製品に多く含まれています。
和食は季節性うつ病予防に効果がある?
セロトニンの合成には、トリプトファンとともにビタミンB6やマグネシウム、ナイアシンなど、多くの栄養素が必要となります。
ビタミンB6はかつおやゴマ、卵、魚介類に豊富に含まれています。
マグネシウムは大豆製品、魚介類、ほうれん草など、ナイアシンは魚類、レバーや肉類に豊富に含まれています。
かつおぶしで出汁を取ったお吸い物やみそ汁、納豆や豆腐、小鉢に入った青菜の胡麻和え…。
昔ながらの和食を選び、食べることで、トリプトファンをはじめ、セロトニンを合成するために必要な他の栄養素を取ることができますね。
ですが、忙しい私たちの生活の中、出汁とるのはかなりハードルが高いと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?そんな方には、「水だし」という方法がおススメです。
水を入れたポットの中に昆布、煮干しやかつお節を入れ、冷蔵庫に一晩入れておきます。
煮干しやかつお節は水分を含むことで細かく崩れ、かけらが出やすいので、最後に濾すか、あらかじめお茶パックに入れておくとよいでしょう。
【水だしの分量】
・水…500cc
・昆布…10cm×5cm角程度
・かつおぶし…10g(ひとつかみ)
(・煮干しの場合は頭とワタを取ったものを15g程度用意します)
まとめ
今回は過ごしにくい梅雨時期を、食べ物を選ぶことで少しでも快適に過ごす方法について、ご紹介しました。
梅雨に限らず、私たちの体は天候の影響を受けやすく、さまざまな不調に見舞われることがありますね。
そんな時にも対処できる体力と気力を養うためには、上記でご紹介したような和食を中心に、規則正しく、栄養バランスも整った食事をとる必要があります。
しかし、仕事や家事、介護にと忙しい私たちにはなかなか難しいものです。
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高齢者様にも食べやすい和食が中心のメニューが多く普通食以外にもいろいろな種類のお弁当が用意されています。
持病などによる食事制限の方にも選んでいただきやすい、塩分・カロリーが制限されているカロリー調整食、たんぱく質の摂取に指導を受けておられる方向けのたんぱく調整食、また、咀嚼や嚥下に不安がある方向けのムース食や刻み食など、召し上がる方の体調、事情に合わせたピッタリの一食を選んでいただけます。
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