一番安い老人ホームの種類とは?入所の条件や費用について
作成日:2022年11月15日
目次
一番安い老人ホームの種類とは
老人ホームに入所するためにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
毎月無理のない支払いをするためには少しでも安い方が安心ですが、老人ホームの種類によって必要な費用には大きな差があります。
今回は、安く利用できる老人ホームの種類についてご紹介します。
老人ホームの種類
老人ホームにはいろいろな種類があります。
利用する方の状態や提供しているサービスの内容によって分類されますが、費用の面からみると大きく公的施設と民間施設に分けられ、一般的には公的施設の方が費用はかからないといえます。
しかし老人ホームの種類によって施設の特徴や入所の条件が異なるため、費用の面だけで選ぶことはできないので注意が必要です。
公的施設と民間施設の違い
公的施設は主な設置団体が地方自治体や社会福祉法人、医療法人などで、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設(2023年度末で廃止予定)、軽費老人ホーム(ケアハウス)などがあります。
一方、民間施設には有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅などがあります。
民間企業が運営しており、施設の設備やサービス内容は充実していますが、費用は高めの設定であることが多くなっています。
公的施設が安い理由
公的施設は社会福祉法人や医療法人や地方自治体が運営していることで公的な補助があり、運営費が抑えられることから、利用料も民間施設と比較して安くなっています。
また施設の立地や建物の築年数も利用料に影響することがあり、駅から遠いなどアクセスが不便な場所にあったり、築年数が古い施設は利用料が安いこともあります。
公的施設の種類と特徴
公的施設のうち介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設は、病院に併設されるなど医療法人が経営主体であること多い施設です。
介護老人保健施設は、主に病気やケガなどで入院して、退院後すぐに自宅での生活が困難な場合に、リハビリや機能訓練を目的として入所する施設です。
入所期間は3~6か月であり回復の状況によって変動しますが、原則として終身利用はできません。
介護医療院は長期的な療養や医療的ケアが必要な方のための施設、介護療養型医療施設は療養病床などを有する病院や診療所であって、どちらも医療が必要な方ための施設です。
介護療養型医療施設は2023年度末で廃止されることが決定しており、その後は介護医療院に統一される予定です。
特別養護老人ホームと軽費老人ホームは経営主体が社会福祉法人であり、自立した生活に困難があったり、介護が必要な方が利用できる施設です。
特別養護老人ホームと軽費老人ホームでは施設の特徴や入所の条件が異なりますが、どちらも生活の場であり、日常的な医療行為が必要ない方のための施設です。
特別養護老人ホームの入所の条件や費用について
特別養護老人ホームは略して「特養」とも呼ばれており、介護を必要とする高齢者が生活するための施設です。
経営主体は原則として自治体または社会福祉法人であり、施設の設置に当たって都道府県知事への届出がされています。看取り介護に対応しており、終身利用が可能です。
入所時の初期費用は不要で老人ホームの中では費用の安い施設であり、国民年金受給者や生活保護受給者も入所できるケースがあるため、施設によっては入所待機者が多いこともあります。
入所の条件
原則として要介護3以上の高齢者が対象で、特例によって要介護1・2の方でも入所できるケースがあります。
看護師の配置はありますが、24時間の配置は義務ではないため、24時間の医療ケアが必要な場合は入所できないことがあります。
また感染症や認知症により集団生活に適応が困難な場合などは、施設生活の実情に照らして入居の可否が判断されることがあります。
費用の内訳
特別養護老人ホームは初期費用が不要なので、入居後の月額費用のみで利用できます。
月額費用には次のような項目がありますが、利用する方やその家族の負担能力に応じて異なるため、具体的な金額は施設に確認する必要があります。
施設介護サービス費
施設介護サービス費は入所している方の要介護度によって変動し、介護度が高いほど高額になります。
また居室のタイプ(多床室・従来型個室・ユニット型個室など)によっても異なるので、実際の金額については施設に確認する必要があります。
介護サービス加算
施設の設備や職員の体制、対応する処置やサービスによって加算される料金です。
施設によって加算される内容が異なりますが、加算されている種類が多いほど、職員の配置やサービス内容が充実しているといえます。
加算の種類は介護職員や看護師の配置、看取り介護、褥瘡ケア、栄養や口腔にかかわるケアなど多岐にわたります。
居住費
居住費は居室の利用料で、居室のタイプや利用者負担段階によっても異なるため、実際の金額については施設に確認する必要があります。
居室にはベッドや収納家具が備え付けられているため、基本的には自分で用意する必要はありません。
食費
特別養護老人ホームでは食費は3食1日分として料金が発生するため、1食を食べなかった場合でも1日分が請求されますが、外泊や入院などで一定期間食事を摂らない場合には、食事を止めることができます。
日常生活費
医療費、日用品費、理美容代、レクリエーション費、通院時の交通費などは基本的に実費の負担となります。
日用品費の中で、おむつや尿取りパッド、クリーニング以外の洗濯にかかる費用などは施設が負担するので含まれません。
特別養護老人ホームの費用の減免や免除
特別養護老人ホームの自己負担額の割合は、「前年の年金収入+その他の所得」から控除や経費を引いた所得額によって決定します。
現役並みの所得がある高齢者では自己負担が2~3割になることがありますが、反対に低所得者の場合、要件を満たせば費用を軽減するために利用できる制度があります。
社会福祉法人による利用者負担の軽減制度
一定の低所得者に対して社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームへの入所について、利用者負担額が軽減されることがあります。
原則として介護サービス費の自己負担額と食費、居住費、の1/4または1/2について社会福祉法人から補助を受けられます。適用には次の要件を満たす必要があります。
・住民税が非課税である
・単身世帯で年間収入が150万円以下である(世帯員ひとりにつき50万円を加算)
・単身世帯で預貯金の額が350万円以下である(世帯員ひとりにつき100万円を加算)
・生活するための範囲を超えた資産がない
・住民税課税者と同居したり扶養されたり、援助を受けたりしていない
・介護保険料の滞納がない
要件を満たしている場合、以下の書類を用意して、自治体の担当窓口に申請しましょう。
・社会福祉法人等利用者負担限度額軽減対象確認申請書
・介護保険被保険者証
・社会福祉法人等利用者負担軽減確認証(すでに交付を受けている場合)
・収入申告書
・世帯全員の収入や資産、扶養状況が確認できる書類
特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)
特別養護老人ホームでは、年金などの収入や資産が一定以下の人に対して「自己負担上限額」が設けられており、この上限額を超えた分の居住費・食費の負担額が介護保険から支給される制度です。
所得水準によって3段階に分けられており、段階によって負担限度額が変わります。負担限度額を超過した分の支給を受けるには、居住地の自治体に申請が必要です。
申請に必要な以下の書類を用意して、自治体の担当窓口に申請しましょう。
・介護保険負担限度額認定申請証
・同意書
・介護保険被保険者証の写し
・被保険者本人、配偶者名義のすべての通帳の写し
・その他預貯金以外の資産(有価証券や投資信託など)の写し
高額介護サービス費
介護保険の対象となる介護サービスの1か月の自己負担額が限度額を超えた場合に、その超過分が支給される制度です。
自己負担限度額は世帯または個人ごとの課税所得などに応じて区分が設定されており、要件を満たすかどうかは自治体によって判断されます。
・高額介護サービス費支給申請書
・介護保険被保険者証の写し
上記の書類を用意して自治体の担当窓口に申請すると、要件を満たした場合、利用月の約3か月後に通知書と申請書が届きます。
いた書類に記入して、自治体の担当窓口に申請しましょう。
軽費老人ホームの種類と費用について
軽費老人ホームは身寄りがなかったり、家族の援助が困難で、自立した生活に不安がある方を対象とした老人ホームのひとつです。
経営主体は原則として自治体または社会福祉法人であり、比較的安く利用できる老人ホームです。
A型、B型、C型の3種類があり、C型はケアハウスと呼ばれます。
ケアハウスはさらに一般型と介護型に分けられており、それぞれ入居条件が異なります。
2008年以降はA型、B型の軽費老人ホームの新設はされないこととなっており、ケアハウスに統一される予定です。
軽費老人ホームA型・B型
軽費老人ホームは、自立した生活に不安があり、身寄りがなかったり、家族の援助が困難な60歳以上の方が入所できる施設です。
食事提供の有無でA型とB型に分けることができ、食事提供があるA型の方が月額費用は高くなります。
B型は食事提供がない分費用は安くなりますが、食事を自分で用意しなくてはなりません。
A型B型ともに掃除や洗濯などの生活サービスはありますが介護サービスはないため、介護が必要な場合は外部の介護事業者を利用することになります。
A型B型とも初期費用として保証金が必要な場合もありますが、月額の費用はA型で6~17万円、B型で3~4万円が目安といわれています。
月額利用料は施設によっても異なるため、実際の費用は施設に確認する必要があります。
軽費老人ホームC型(ケアハウス)
軽費老人ホームのC型をケアハウスと呼び、ケアハウスはさらに自立型と介護型に分けられます。
介護型のケアハウスは介護保険法における「特定入居者生活介護」の指定を受けた施設で、介護職員は24時間常駐し、日中は看護職員の配置も義務付けられています。
自立型ケアハウス
一般型と呼ばれることもあります。自立型のケアハウスは1人暮らしに不安がある60歳以上の方が入居できます。
夫婦で入所することも可能で、その場合はどちらかが60歳以上であれば利用できます。
自立している方だけではなく要介護認定を受けている方も入居が可能ですが、介護度の高い方や重度の認知症の方は入居できないことがあります。
基本的には健康状態には問題がなく、身寄りがなかったり家族の援助が困難で、自立した生活に不安がある方を対象としており、食事サービスのほか掃除や洗濯などの生活サービスはありますが、日常的な介護サービスはありません。
介護サービスが必要な場合は、外部の事業者を利用することができますが、介護の必要性が高くなった場合、退去を求められるケースがあるため、契約書や重要事項説明書などに記載されている退去要件も確認しておくようにしましょう。
介護型ケアハウス
特定型と呼ばれることもあります。介護型のケアハウスは、要介護1以上の65歳以上の高齢者が対象で介護保険が適用される施設です。
生活サービスのほかに入浴や排泄など日常的な介護が必要な方の入居も可能です。
介護型ケアハウスの中には、認知症や看取りが可能な施設もあり、介護度にかかわらず住み続けることができる施設もあります。
都市型軽費老人ホーム
都市型軽費老人ホームは、大都市圏のみに存在します。
都市部は土地代が高いため、低額でサービスを提供することが困難であったことから、ケアハウスの居住面積や設備などの基準を低く設定することで、生活保護受給者などでも入居が可能な費用となっています。
孤立していて自立した生活に不安があり、施設の所在地に住民票がある60歳以上の人が対象の施設で、緊急度の高い人から優先的に入居となります。
都市型軽費老人ホームでは入居金は不要であり、必要に応じて外部の介護サービスを利用することができます。
費用の安い老人ホームに関するまとめ
特別養護老人ホームと軽費老人ホーム(ケアハウス)はどちらも公的施設で、いろいろな種類の老人ホームの中で比較的安費用が安い老人ホームといえます。
さらに特別養護老人ホームでは費用の減免制度などもあるため、さらに費用を低減できる可能性もあります。
特別養護老人ホームも軽費老人ホーム(ケアハウス)も、入所条件が異なるため注意が必要であり、実際にかかる費用は利用する方の介護度や所得などによって異なります。
表示されている料金表には食費などの自己負担金は含まれていないこともあるため、施設に直接確認してみましょう。