知っておきたい在宅介護と施設介護の違いとは?
作成日:2022年11月15日
高齢になったご両親に介護が必要になったとき、まず考えるのは、このまま自宅にいて介護を受けることができるのか?
あるいは専門の設備や知識を持つ介護施設で介護を受ける方がよいのか?
ということではないでしょうか?
今回は在宅介護と施設介護の違いや、メリット、デメリットについてご紹介します。
在宅介護とは?
在宅介護とは、家族や訪問看護師、ヘルパーなどの介護を受けながら、自宅での生活を続けていくことです。
デイサービスに通うことはあるにしても、施設介護との最も大きな違いは、生活の基盤は自宅にあるということですね。
介護度が低く、自分で生活の作業の多くをこなせる場合は、あまり問題はないのですが、寝たきりになってしまった場合やトイレに介助が必要な場合、足が不自由になった場合は、自宅内の段差をなくしたり、車いすでも出入りできるトイレや、滑りにくく入りやすい浴室、たたみからフローリングへ変更したりするなど、リフォームも視野に入れなければいけないことがあります。
在宅介護のメリット
家族が介護を行うことができる場合や、一人暮らしであっても要介護度が低く、近隣に頼ることができる家族や親戚、知人がいる場合は、ヘルパーや訪問看護師などの助けをかりて在宅介護を受けながら生活することができます。
慣れた自宅であれば、身の回りのことや趣味の活動も、できる範囲は限られるかもしれませんが、今まで通り行うことができます。
仲の良い近所のお友達とも会いやすく、同居する家族にとっても毎日顔を見て様子を知ることができ、安心ですね。
介護が必要となったとはいえ、今まで築き上げてきた生活のペースの変化を最小限にとどめることができ、できる範囲の身の回りのことを自分で行うことは、リハビリにもつながり、老化の予防となります。
高齢になると、住み慣れた家や町を離れることに不安を感じる方が多くなります。
家族のそばで、ある程度今まで通りのペースで生活し、リラックスして過ごす時間を多く持つことで、今までと変わらない安心感が持てることでしょう。
また、介護施設に入居するとなると施設利用料や入居費の負担が発生します。これらの出費を抑えることができるのも、メリットの一つではないでしょうか?
在宅介護のデメリット
一方、在宅介護にもいくつかのデメリットがあります。
まず、介護を家族が行う場合、家族にはそれなりの負担が発生します。
たとえば、食事に介護食が必要な場合、家族の物とは別のメニューを用意する必要があります。
また、食事をとる時に介助が必要な場合は、誤嚥に注意しながら食べさせてあげたり、こぼれた食事を掃除したりする必要があります。介護の度合いにより、排泄や入浴のサポートが必要なこともありますね。
これらは介護度が増すごとにかかる時間や労力が増え、時間的、体力的、精神的に、介護をするご家族の大きな負担になります。
また、気管切開を行っている場合などは、痰の吸引などの医療介護も覚えなければなりません。
さらに、急な症状の悪化といった不測の事態への対応も必要になります。
もちろん、これらの介助行為をすべて家族が行わなければいけないというわけではありません。
ケアマネージャーに相談し、訪問看護師やヘルパーに依頼することもできます。要介護度により利用できるサービスの内容や補助金額が変わってきますので、その時々の最善の方法で、家族やご両親様の負担を減らし、快適な在宅介護ができるようにプランを立ててもらいましょう。
施設介護とは?
施設介護には、老人ホームや介護サービス付き高齢者向けマンションなどがあります。在宅介護とは違い、生活の基盤がこのような施設となります。
施設により対応できる範囲が異なるため、①認知症の有無 ②医療介護が必要かどうか ③要介護度はどの程度なのか ④寝たきりかどうか ⑤終末期への対応をどうするか?
といった高齢者の今の状態、今後の対応についての希望や双方の意見を確認し、選ぶことになります。
また、入居時は比較的お元気だった方であったとしても、例えば寝たきりになってしまったり、認知症がみられるようになってきたりすると、今いる施設では対応できなくなり、違う施設への転居を求められることがあります。
新たな施設への転居、新たなスタッフから受けるサービスの、ちょっとした手順や言葉遣いの違いなども、高齢者様にとって思わぬストレスになることがあります。
施設を選ぶ時間に余裕がある時は、現在の状況だけでなく、今後の状況をも踏まえて資料の取り寄せや見学などを行っておくとよいですね。
施設介護のメリットとは?
施設スタッフによる料理や洗濯、掃除といった身の回りの世話のほか、看護師による医療介護など、それぞれに専門の知識や経験を持つスタッフが充実しています。
自宅で介護をしたいと思っても、家族の仕事や育児が忙しいなど高齢者様の毎日のケアに充分な時間を取ることができない場合は、施設介護を利用すると安心できますね。
また、認知症による俳諧や数時間おきの医療介護が必要で、夜間も家族がゆっくりと眠ることができない、という方には、施設介護で専門のスタッフに見てもらえるのは大きなメリットです。
さらに、他の入居者と共に行うレクリエーションが充実している施設では、家族以外の方との会話が生まれ、良い刺激になります。
病院に併設されている施設の場合は、いざという時にもすぐに医師の診察を仰ぐことができ、安心ですね。
施設介護のデメリットとは?
施設介護のデメリットとして、費用負担があげられます。
しっかりとしたケアの対価であると考えるとさほど高額だと感じられないかもしれませんが、毎月平均約15万円程度の施設利用料が必要になります。
施設利用料は都道府県や介護度、施設の設備、サービスの内容により大きな開きがありますので、施設を選ぶ際の重要なポイントとなります。
さらに、多くの施設で入居一時金が設定されており、施設により数万円~数千万円となっています。
また、昨今のコロナ禍において、介護施設に入居している家族に気軽に会いに行くことができない、という事態が発生しました。
免疫力が落ち、ひとたび感染すると重症化を招くことも考えられる高齢者を感染から守るためではありますが、自由にご両親に会えないご家族はとても歯がゆい思いをされたことでしょう。
また、メリットの項でご紹介したレクリエーションや食事、入浴の時間など、施設介護では決められたスケジュールで動く必要があります。
マイペースに過ごしたい方には少し負担になることがあるかもしれません。
施設介護のショートステイという選択肢
普段在宅介護を行っている方が、例えば仕事の繁忙期であったり、介護を担当しているご家族が入院しなければならなかったりした場合、ショートステイを利用して高齢者様の介護をしてもらう、という方法があります。
介護施設には、1泊から数週間といった日程のなかで、ショートステイに対応してくれる施設が多くあります。
介護する側が何らかの事情で家を空けなければいけない時に、数日間利用するのも、お互いの気分が変わってよいかもしれません。
受け入れをお願いできる施設を検索し、見学に行ったり、ショートステイに関する契約を済ませておいたりすると、いざという時安心ですよ。
介護の在り方を検討しよう
ご両親に介護が必要になったとき、在宅介護を行うのか、施設介護を選ぶのか、とても大きな問題だと思います。
時々、施設介護は後ろめたさを感じるという声を聞くことがありますが、お互いが快適で健やかに過ごすための選択の一つとして捉えるとよいでしょう。
今回ご紹介した在宅介護と施設介護との違いと要介護度、家族の生活スタイルを参考に、介護の在り方を検討してみてくださいね。
将来的に施設介護を視野に入れている方であれば、先ほどご紹介したショートステイを「施設体験」という風にも捉えることができます。
良いと思った施設をショートステイで利用し、当初の予想との違いがあるかどうかも確認しておいた上で、長期的に利用する施設として選択するのもよいですね。