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高齢者の宅食には補助金が出る?在宅高齢者の低栄養問題

作成日:2023年9月11日

高齢者の宅食には補助金が出る?在宅高齢者の低栄養問題

宅食は、食事が自宅などに配達されるサービスのことです。

栄養に配慮した食事を摂ることが難しい場合には便利なサービスであり、宅食の会社も増加しています。

特に在宅で生活する高齢者の中には、食事の用意することが困難なケースもあり、高齢者の低栄養は社会的な問題ともなっています。

今回は主に高齢者を対象とした宅食のサービスについて紹介します。

こちらの記事もおススメです。
→【配食サービスは介護保険外、介護保険の申請方法と配食サービスの利用についてわかりやすく解説

 

宅食とはどんなサービス?

宅食は栄養バランスに配慮された食事が、自宅や職場などに配達される食事配達サービスです。

おかずと主食がセットになったものやおかずだけのもの、すぐに食べられる状態で届くものや冷蔵や冷凍で届くものなど、いろいろなタイプがあります。

宅食の多くは健康な成人を対象に栄養バランスが整えられていますが、宅食の会社によっては、ダイエットやトレーニングをしている人を対象にエネルギーやたんぱく質の調整に注目したものや、塩分や糖分に配慮したもの、国産の食材を使用するなど安心や安全にこだわったものなど、それぞれに特徴もあります。

宅食の多くは1食ずつの注文ではなく、異なったメニューが数食分セットになっていたり、定期購入ができるものもあります。

宅食と配食との違い

宅食と似た言葉に「配食」があります。

宅食と配食に厳密な定義の違いはありませんが、一般的に配食は、高齢者や障がい者などに配慮した内容の食事を、自宅の他に施設などにも配達しているものを指します。

栄養バランスが考えられており、疾患による食事療法に対応しているものや、摂食嚥下機能に合わせた食事形態の調整がされたものもあります。

宅食と同様に異なったメニューが数食分、冷凍などの状態で届くのものありますが、食事時にすぐに食べられる状態で配達員が届けてくれるものもあります。

また施設向けの配食では、同じメニューを必要な食数分注文できるものもあります。

宅食と出前やデリバリーとの違い

出前やデリバリーは一般的な飲食店やレストランなどで作った料理を自宅に届けてくれるサービスです。

「デリバリー」は英語で「配達」の意味で、出前と同義語として使われています。食べる人が食べたいときに、食べたいものをその都度注文することができますが、栄養面について特別な配慮はされていないことが多いため、食べる人が自分で考える必要があります。

高齢者の低栄養とフレイル対策

東京健康長寿医療センターが行った調査では、高齢者の8.7%がフレイル、40.8%がプレフレイルの状態にあるという結果があります。

フレイルとは加齢とともに心身の機能が低下し、要介護状態になる可能性が高まっている状態です。

早期に食事や運動など、適切な生活習慣に改善することによって健康な状態を維持することができますが、高齢者ではさまざまな理由で食事が摂りにくくなっていることがあります。

過体重(メタボリックシンドローム)であっても、「体重を減らしたい」「コレステロール値が高くなった」などを理由に間違った方法で食事を減らしたり、食事の回数を減らしたりすることで低栄養となり、フレイルの原因となることもあります。

高齢者の低栄養とフレイル対策

高齢者の食事の課題

加齢とともに自然と食事の量が減ってくることもありますが、高齢者ではさまざまな原因で食事量が減少し、自覚がないまま体重や筋肉量が減少していることがあります。

高齢者の食事にはどのような課題があるのでしょうか。

疾患による食欲低下

重大な疾患ではなくても、風邪や便秘などきっかけに食欲がなくなることがあります。

また、慢性疾患の治療のために飲んでいる薬の副作用として食欲が減退することもありますし、認知症やうつ病の症状として食欲がなくなることもあります。

さらに、口内炎や入れ歯の不具合によって食欲がなくなることもあります。

食事の環境

在宅で生活する高齢者の食事の問題点のひとつに「孤食」があります。

孤食は一人だけで食事を摂ることを指しますが、必ずしも一人暮らしの高齢者ということではありません。

家族がいても日中は仕事などで外出しているため、一人きりで食事をする高齢者もいます。調理をすることや栄養面に配慮することが難しいだけでなく、高齢者に限ったことではありませんが、一人で食事を摂ることは味気なく、無意識のうちに食事の量が減少してくることがあります。

食費の節約

経済的な理由で食事の内容が十分でなくなることもあります。

限られた年金だけで生活している高齢者の場合など、生活のために食費を過度に節約してしまい、十分な食事の量が確保されていなかったり、栄養が偏っていることがあります。

食費の節約

食べる機能の低下

歯の欠損や噛む力の低下によって食べにくいものがあったり、食べるために必要な機能が低下することで飲み込みにくくなることがあります。

食事をすることで疲れてしまったり、のどに詰まる、むせて苦しいなどの不快感や苦痛があると、食欲が低下する原因となることがあります。

高齢者が宅食を使うメリット

介護保険のサービスとして宅食や配食はありませんが、市町村では食事の準備や買い物が難しい高齢者や障がい者を対象に、食事の宅配サービスを実施していることがあります。

利用できる条件や料金、詳細については市町村ごとに異なるため、居住地の市町村に確認が必要ですが、高齢者が宅食や配食を利用することは、大きなメリットがあると考えられます。

高齢者が宅食を使うメリット

調理不要

宅食や配食で届く食事は、常温ですぐに食べることができるものや冷凍で届くもの、レトルトパックのものなどいろいろな形状のものがありますが、多くは調理不要で電子レンジなどで温めれば食べることができます。

調理が苦手であったり、疾患の影響などで調理ができない方はもちろん、一時的にケガをしていて調理ができない、買い物に行けないなどの場合にも便利です。

冷凍のお弁当であれば保存ができるので、いつも調理をしてくれる家族がいないときなどのために準備しておくこともできます。

栄養バランス

宅食も配食も、多くの会社ではメニューの作成に管理栄養士などがかかわっており、1食ずつの栄養バランスが整っています。

エネルギー(カロリー)やタンパク質、塩分などが表示されているのもが多く、慢性疾患の食事療法に対応可能なものもあります。

また栄養面だけではなく、噛む・飲み込む機能が低下している方のために、お粥などの介護食に対応しているものもあります。

補助金制度

市町村の宅配や配食サービスでは、条件に該当すれば補助金や助成金によって低価格で食事の配達サービスが受けられることがあります。

利用できる条件や利用方法などは市町村によって異なるため確認が必要です。

また見守りサービスを兼ねている市町村も多く、食事を配達する際に手渡しすることで高齢者の安否確認がされます。

高齢者が宅食を使うデメリット

一方で、宅食や配食にもデメリットがあります。利用する方の心身の状態や環境によってはデメリットの方が強くなってしまう可能性もあります。

食べたいものが届かない

必ずしも食べたいものが届くとは限らず、嗜好に合わないこともあります。

また、アレルギーなどの対応をしている業者はありますが、好き嫌いや味付けについての個人対応は困難なため、好き嫌いが多かったり、食事にこだわりが強い高齢者の場合には、かえって食が進まなくなることもあります。

配達時間や業者が決まっている

市町村の実施している配食サービス事業の場合、配達日時が決まっていることがあります。

また利用できる業者も指定があることが多いため、自分の都合で日時や業者を選ぶのは難しいことがあります。

食中毒などの可能性

特に高齢者は「もったいない」という観念が強く、食べ残した食事を次の食事の時までとっておくということがあります。

食べ物を無駄にしないことは大切ですが、調理後は時間の経過とともに食中毒のリスクは高くなります。

また、いったん解凍した食事を再冷凍することも食中毒のリスクがあります。

食中毒などの可能性

在宅高齢者の低栄養問題

高齢者は食事についてさまざまな問題を抱えていることがあります。

高齢者の低栄養やフレイルは社会問題ともなっており、元気に生活している高齢者の方にもリスクが隠れていることがあります。

市町村では高齢者を対象とした宅食や配食のサービスを実施しており、条件に該当すれば補助金や助成金によって低価格で食事を配達してもらえることがあります。

宅配や配食のサービスを上手に利用することは、高齢者の低栄養やフレイルの予防に役立つと考えられます。

この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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