生理前の情緒不安定は改善できる!?月経前症候群(PMS)の対策方法とは?
作成日:2023年10月23日
生理前になると気分が落ち込んだり、イライラしたり…。
感情がコントロールできず、情緒不安定になるのは、女性の体の仕組みのせいなのです。
月経前症候群(PMS)と呼ばれる生理前の不調に悩む女性は多く、生理前になると何らかのPMS症状を抱えている女性の割合は日本の生殖年齢の女性の7~8割程度だと言われています。
この記事では、PMSの原因や対策方法などについて解説します!
目次
生理前になると情緒不安定になるのはなぜ?
生理前の不調には月経前症候群(PMS)が関係している可能性があります。
月経前症候群(PMS)とは、「生理前3~10日の間続く、精神的あるいは身体的症状で、生理開始とともに軽快もしくは消失するもの(日本産婦人科学会)」をいいます。
発症の原因ははっきりとは分かっていませんが、女性ホルモンが関わっていると考えられています。
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2つがあり、どちらも卵巣で作られていますが、異なる働きをしています。
エストロゲンは排卵前に多く分泌される性ホルモンです。女性らしい丸みのある体をつくったり、妊娠に備える体をつくったりするほか、骨や関節、血管、皮膚などを健康に保つ作用や自律神経の働きを安定させる作用があります。
プロゲステロンは排卵後に出る性ホルモンです。妊娠を助ける、継続させる作用があり、体内に水分を蓄えたり乳腺を刺激して発達を促したりします。
生理前に体がむくみやすく、乳房に痛みを感じる場合があるのはこの作用によります。
女性の体はこの2つの性ホルモンの影響を受けながら、毎月一定のリズムで排卵を繰り返しています。
妊娠が成立しなければ、エストロゲンとプロゲステロンは排卵から約7~10日後に減少していきます。
この性ホルモンの分泌量が大きく変化するタイミングでPMSが起こるのです。
PMSの症状には個人差があり、同じ人でも月によって違うこともあります。
月経前症候群(PMS)の代表的な症状
<身体的症状>
・胸の張り、痛み ・倦怠感
・肌荒れ ・頭痛
・腰痛 ・下腹部の張り
・むくみ ・眠気、不眠
・食欲不振、過食
<精神的症状>
・情緒不安定 ・イライラ
・落ち着かない ・抑うつ
・集中力の低下
月経前不快気分障害(PMDD)
生理前の心の不安定さが際立って強く出る場合は「月経前不快気分障害(PMDD) 」と診断されます。
月経前不快気分障害(PMDD) の場合は月経前症候群(PMS)よりも抑うつ気分、不安・緊張、情緒不安定、イライラなどの症状が日常生活に支障をきたす程特に重いのが特徴です。
PMDDの原因もPMS同様に未だにはっきりとは分かっていません。しかし、PMSの患者とPMDDの患者とでは排卵後の女性ホルモンの濃度の差がみられず、外的なストレスやストレスとなる様々なライフイベントが関連していることが報告されています。
また、産後うつ病や双極性障害などの精神疾患を経験したことがある人は、そうでない人に比べてPMDDを発症しやすいといった報告もあります。
<PMDDの診断基準(DSM-5)>
月経前不快気分障害(PMDD)の診断基準は、2013年にアメリカの精神医学会により決められています。
①~⑦の項目に該当かつ、②と③の症状について②で1つ以上、③で1つ以上それぞれ当てはまり、②と③の合計が5つ以上であることが診断の条件とされています。
これを参考に医師が患者それぞれの状態をみて診断します。
① ほとんどの月経周期で月経開始1週間前に5つ以上の症状が出現し、症状は月経開始後数日以内に軽減、月経終了後はほぼ消失する |
② 以下の症状のうち、1つまたはそれ以上が存在する。 ・感情が著しく不安定(気分の変動、突然悲しくなったり涙もろくなったりする) ・著しいイライラや怒りの感情、または対人関係の摩擦の増加 ・著しい落ち込み、絶望感、自責感の高まり ・著しい不安、緊張、興奮、いらだち感 |
③ 以下の症状のうち、1つまたはそれ以上が存在し、上記②の症状と合わせると、症状は5つ以上になる。 ・通常の活動(仕事・学業・交友・趣味など)の意欲低下 ・集中力低下 ・倦怠感、疲れやすさ、気力の欠如 ・過食、甘いものが異常に欲しくなるなど食欲の変化 ・過眠または不眠 ・自分を抑えることができないという感覚 ・乳房の圧痛または膨張、関節痛、筋肉痛、体重の増加、むくみなどの身体症状 |
④ 症状には明らかな苦痛が認められ、対人、仕事、学校などの日常生活に大きな支障を及ぼしている(社会活動を回避したり、仕事や学校、家庭における生産性や能率が低下したりする) |
⑤ うつ病、気分変調性障害、パニック障害、パーソナリティ障害の増悪によってだけおこっているわけではない(合併の可能性はある) |
⑥ 月経2周期以上にわたる症状の記録で連動が確認される |
⑦ 症状は、薬物やアルコール、他の病気の影響によるものではない |
月経前症候群(PMS)と月経前不快気分(PMDD)の治療法とは?
PMSとPMDDの治療には薬物療法があります。
薬物療法には、痛みに対しては鎮痛剤、むくみに対しては利尿剤など症状を緩和する対症療法のほか、女性ホルモンの大きな変動を抑えるために排卵を止める排卵抑制剤などがあります。
また、個人の体質に合わせた漢方が処方されることもあります。
PMDDの場合は、精神科や心療内科が治療のメインであり、抗うつ剤や抗不安薬などの薬が処方されます。
PMDDの患者はストレスを感じやすかったり、ストレスへの対応が苦手だったりする特徴を持つ人が多く、そのような場合には認知行動療法やカウンセリングなどの心理療法が有効な場合もあります。
自分でできる月経前症候群(PMS)の対策方法とは?
PMS、PMDDの根本的な改善には生活習慣の改善が欠かせません。自分の生活を見直し、改善できるところはないか考えてみましょう。
・症状日記をつける。
月経周期の何日目に気持ちの変化や症状があったのか、その日の出来事やストレスの内容などを記録しておくことをおすすめします。
記録を続けることで月経周期と症状との関連性から症状が予測しやすくなり、それに対する対処をとることができます。
・規則正しい生活を送る。
ホルモンバランスは生活習慣によっても左右されるため、睡眠や食事のタイミングはできるだけ一定になるようにしましょう。
特に生理前は無理のないスケジュールで、心身ともにゆったりと過ごす時間が大切です。
・バランスの良い食事をとる。
栄養バランスが崩れるとホルモンバランスも乱れます。過度なダイエットは避け、3食バランスよく食べるようにしましょう。
・アルコール、カフェインは控えめにする。
アルコールやカフェインは脳を興奮させてしまうため、緊張や不安感が強くなる原因となります。
・軽い有酸素運動を行う。
軽い有酸素運動は脳内のセロトニンという幸せホルモンを増やすため、ストレスを軽減し、生理前の心身の不調を改善する効果が期待できます。ウォーキングやヨガがおすすめです。
・禁煙をする。
ニコチンは女性ホルモンの正常な分泌を妨げるため、PMSを悪化させる要因になります。
まとめ
生理前の頭痛・倦怠感などの身体症状や、イライラや情緒不安定といった精神症状は、月経前症候群(PMS)の可能性があります。
た、精神症状が日常生活に支障をきたすほど酷い場合を月経前不快気分障害(PMDD)といい、うつ病と同じように治療が必要な症状として扱われています。
生理前の不調は日常生活の改善に加え、薬物治療などを受けることによって症状の緩和が期待できます。月経周期と関連して症状がみられる場合には、医療機関に相談してみましょう。
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