カロリーの計算方法と1日に必要なたんぱく質について
作成日:2023年10月23日
たんぱく質はトレーニングをする人はもちろん、中高年も積極的にとるべき栄養素として注目されるようになっています。
では実際に、どのくらいのたんぱく質を摂取すればよいのか、1日に必要なたんぱく質とカロリーの計算方法をご紹介します。
目次
エネルギー源となる栄養素
食物に含まれる栄養素のうち、たんぱく質・脂質・炭水化物を三大栄養素と呼び、これらはエネルギー源として利用されることから、エネルギー産生栄養素とも呼ばれます。
たんぱく質
たんぱく質は1gあたり4kcalとして計算されます。エネルギー源として利用することができますが、たんぱく質の主要な役割は体を構成することです。
体内でアミノ酸に分解されて吸収され、筋肉や内臓、骨などを構成するために利用されるほか、酵素やホルモン、免疫機能を保つためにも必要です。
脂質
脂質は1gあたり9kcalで計算され、少量で高いエネルギーが得られる効率の良いエネルギー源です。
エネルギー源となるだけではなく、細胞膜やホルモンなどの原料ともなる重要な栄養素ですが、過剰に摂取した分は体脂肪として蓄積されます。
炭水化物
炭水化物は1gあたり4kcalとして計算されます。
炭水化物は体内の消化酵素で消化される糖質と消化されない食物繊維に分けられ、糖質は体内に速やかに吸収されて、脳や体を動かすエネルギー源となります。
エネルギーとして利用されなかった糖質は肝臓や筋肉に貯蔵されて必要に応じて利用されますが、貯蔵量を超えた分は脂質となって肝臓や脂肪組織に蓄積されます。
PFCバランス
PFCバランスのPはたんぱく質、Fは脂質、Cは炭水化物を指し、エネルギー産生栄養素であるたんぱく質・脂質・炭水化物のバランスのことです。
理想的なPFCバランスは、1日の摂取カロリーに対して、P(たんぱく質)が13~20%、F(脂質)20~30%、C(炭水化物)が50~65%です。
例えば、1日の摂取エネルギーが2,000kcalの場合、2,000(kcal)×13~20(%)=260~400(kcal)をたんぱく質から、2,000(kcal)×20~30(%)=400~600(kcal)を脂質から、2,000(kcal)×50~65(%)=1,000~1,300(kcal)を糖質から摂取するのが理想的なバランスということになります。
必要なたんぱく質量の計算
1日に摂取するたんぱく質の量については、いくつかの目安が示されています。
「日本人の食事摂取基準2020年版」では、18歳以上の女性では50g、18歳~64歳の男性は65g、65歳以上の男性は60gのたんぱく質を摂取することが推奨されています。
また1日の運動量によって、体重1㎏あたり0.8g~2gや徐脂肪体重1㎏あたり1.3g~3gなどを目安として計算することもあります。
1日に必要なたんぱく質量は体格や体組成、運動量によって変動し、計算方法によっても異なる数値が算出されます。
さまざまな要素を考慮しながら、自分に合った方法で算出することが理想的です。
必要なたんぱく質量の算出
ここでは自分の身長と体重、体脂肪率から、1日に必要なたんぱく質を算出する方法をご紹介します。
体格や運動量、疾患の有無などによって、全ての人に当てはまるものではないので、必要なたんぱく質量の計算方法のひとつとしてご参考ください。
例)35歳女性、身長157㎝、体重55㎏ 体脂肪率23%の場合
① 徐脂肪体重を計算します。
徐脂肪体重とは脂肪を除いた体重のことで、体脂肪率と体重から計算で算出します。
徐脂肪体重(㎏)=体重(㎏)-体重(㎏)×(体脂肪率/100)の式に当てはめると、
55(㎏)-55(㎏)×0.23=42.35≒42(㎏)
徐脂肪体重は42.㎏です。
②1日に必要なたんぱく質量を徐脂肪体重1㎏あたり2gとすると
42(㎏)×2=84(g)
1日に摂取したいたんぱく質量は84gとなります。
摂取エネルギーとのバランスを確認
次に、算出した必要たんぱく質量が1日の摂取エネルギーのうち、どのくらいの割合を占めるかを確認してみましょう。
③日本人の食事摂取基準から、身体活動レベルを「ふつう(1.75)」として1日に必要なエネルギー量を算出すると、
体重55(㎏)×基礎代謝基準値21.7×1.75=2,089≒2,100(kcal)
④1日の摂取エネルギー量を2,100kcalとしたときに、84gのたんぱく質は
84(g)×4(kcal)=336(kcal)なので、1日2,100kcal中の割合は
336(kcal)÷2,100(kcal)×100=16(%)となり、PFCバランスは適正範囲といえます。
⑤1日の摂取エネルギーから、たんぱく質で摂取するエネルギー量を引くと
2,100(kcal)-336(kcal)=1,764(kcal)となります。1.764(kcal)のうち420~630(kcal)を脂質から、1,050~1,365(kcal)を炭水化物から摂取するようにすると、PFCバランスが整うということになります。
このように、たんぱく質の摂取量が1日に摂取するエネルギー中の何パーセントになるかを算出し、PCFバランスを確認しておくとバランスのよい食事内容になるといえます。
たんぱく質の摂り方について
たんぱく質は1回に吸収できる量が決まっていると考えられています。
またその量も体格や体組成によって異なります。効率よくたんぱく質を摂るために気をつけたいことが、いくつかあります。
毎食摂る
たんぱく質は一度にたくさん摂るよりも、3食に分けて摂る方が効率がよいと考えられています。
特に現代の日本人では、1日に摂取するタンパク質量は昼・夕食に多く、朝食時に不足している傾向があるため、朝食時にも意識的にたんぱく質を摂るようにしましょう。
食事時だけでは摂りきれない場合には、間食でもたんぱく質が摂れる食品を選んで、上手に利用しましょう。
植物性たんぱく質と動物性たんぱく質を一緒に摂る
たんぱく質には植物性たんぱく質と動物性たんぱく質があります。
植物性たんぱく質と動物性たんぱく質を比較すると、動物性たんぱく質の方が必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、吸収率も高い傾向がありますが、植物性たんぱく質の方が一般的に脂質の少ない食品が多く、カロリーを抑えることができます。
また植物性たんぱく質と動物性たんぱく質を一緒に摂ると、吸収のパターンが異なることで効率よく働くということがわかっています。
運動の前後
運動をするときには、その前後にたんぱく質を摂るのが効果的です。
運動前は運動によって消費される水分と糖質を補給しておくことと、分解される筋肉を合成するための血中アミノ酸を補給するためにたんぱく質を摂っておくことで運動効果がアップすると考えられます。
運動後も筋肉の分解と合成は継続しているため、運動後にもたんぱく質を補給しましょう。
1日に必要なたんぱく質の計算方法
1日に必要なたんぱく質の量は、年齢や体格、体組成、運動量などの要素によって変化します。またその算出方法によっても数値が大きく変化することがあります。
たんぱく質は体を構成するために必要であるとともにエネルギー産生栄養素でもあり、たんぱく質1gあたり4kcalとして計算されます。
たんぱく質の摂取量だけに注目して、1日に摂取するエネルギーのバランスが崩れることないように注意しましょう。